アンチエイジングや美肌に。体に優しく飲み方も自由に楽しめる、女性に人気の「浅草薬酒バー」へ

今年の梅の季節に思い切って梅干しを漬けました。最近、時間をかけないと深みが出てこない漬け物や発酵製品に心惹かれる自分がいます。何でもかんでも「時短」がすべてに優先される今日この頃、時間をかけることの豊かさを忘れてはいませんか？忙しかった一日の終わりに、生薬などを漬け込み、薬効を抽出したお酒「薬酒」があれば、自分の中のスイッチの切り替えもよりスムーズにいきそうな気がします。
そこで、体調を整えたり、健康促進にも効果があると言われる薬酒を味わいに「浅草薬酒バー」を訪ねてみました。

「浅草薬酒バー」で提供されるのは、約50種類ほどある自家製のオリジナル薬酒。漬け込む素材は、ショウガや紫蘇といった誰もが知っているものから、五加皮（ごかひ）といって垣根として使われるウコギの根皮を干したものなど珍しいものまでバラエティに富んでいます。
「お客様にまず勧めるのは、ローズやハイビスカスなど、馴染みのある飲みやすいものからです。薬酒自体はアルコール度数35度の焼酎で漬けているので、生のままでは強いでしょうから、ジンジャエールやトニックウォーター、コーラなどで割ると飲みやすくなります」と語るのはオーナーの飛田朋宏さん。薬酒は、美肌やアンチエイジングに効果的と聞いて、ひとりでここを訪れる女性客も多いのだとか。

飛田さんにオススメの薬酒をひとつ出していただきました。「これは、美肌に効果があるといわれるヨクイニン（ハトムギの成分）に、ローズとハイビスカスを加えてトニックウォーターで割ったものです。ビューティブレンドと呼んでいますが、これは女性に人気で、よく飲まれています」。薄いピンク色で眺めているだけで気分があがる、そのブレンドは、ほんのり甘酸っぱくて、言われなければ薬酒とはわかりません。「酒は百薬の長」と言われる一方で、飲み過ぎはやはり体には良くない…。でも、こんな美味しい薬酒なら、飲むことの罪悪感から解放してくれそうな感じがします。
「お客様は女性が多いのですが、ボーイフレンドを連れてきて飲ませたりして、いろいろ試しながら楽しんでいただいてます。」（飛田さん）。カウンターに座ったお客さんが、隣同士で「これ美味しいですよ」などと良いながらみんなで回し飲み、などというシチュエーションも珍しくないそうです。健康にも良くて、お酒も、コミュニケーションも楽しめるとくれば、それはリピート必至でしょう。

飛田朋宏さんが薬酒に興味を引かれたのは、病を克服した友人から、東洋医学などの勉強をするうちにはまったという薬酒の話を聞いてからだそう。「薬酒の素晴らしさを知った友人は、その良さをもっと広めたいと言って薬酒バーを開店したんです。僕もそれを見て、いいなあ、自分もやってみたいと思いました」。そして、自身が生まれ育った地元・浅草に「浅草薬酒バー」を開店したのが、2012年6月。それから4年あまり。健康ブームで、薬酒の人気もじわじわと高まっている中、常連さんも多く集まるスポットとなっています。

提供している薬酒はすべて自家製というのも安心して飲めるメリット。「漬けるお酒はアルコール度数35度の焼酎。薬効が抽出できるように最低限の甘みは加えますが、生薬の味がしっかりわかるようにするため、余計な物は入れてません。ものによりますが、漬け込んでだいたい１ヶ月ぐらいで飲めるようになります」（飛田さん）。そうやってできたものをロックでそのまま飲んでも良いし、ジンジャエール、オレンジジュース、トニックウォーターなどで割り、それぞれの違いを感じるのも面白そうです。今までで意外な組み合わせで美味しかったのは、ジャスミンのお酒をトニックウォ－ターで割ったものなのだとか。ものすごく美味しくて数量限定で出したら、あっと言う間に完売したそうです。

実は、オーナーの飛田さんはついこの間までコンビを組んで芸人もしていたという多才な方。なんでもやりたがりで、薬酒バーもいろいろな人が集まる場にしたかったのだそうです。人と人をつなげたいという思いで、お店では不定期で手相鑑定やタロット占い、お笑いライブなど、さまざまなイベントも開催しています。占いで恋愛の悩みを打ち明けた後、カウンターでみんなでおしゃべりしたり。日頃の疲れもあっと言う間に吹き飛んでいきそうです。
ちなみに、50種類ほどの自家製薬酒の他、ビールやウィスキー、ワインなど、お酒は豊富に揃っているので、一杯目は薬酒、次はハイボールなどと好きな飲み方ができるのも嬉しいですね。ひとりでも、友達を誘ってでも、行けば何かがありそう。店長も現役の芸人さんなので、是非おしゃべりも楽しんで！