老舗料亭が作るポテトチップス。手土産にもおすすめのお菓子「TSUKINOHAHEN -月乃破片-」

「こんなに味わって食べたポテトチップスは初めて」「もはや日本料理」といった声がSNSに上がっている「TSUKINOHAHEN -月乃破片-」。漁業が盛んな富山県魚津市で、1908年から続く料亭「海風亭」の料理長・美浪呂哉（みなみともや）さんが生み出したポテトチップスです。国産のじゃがいもと、地元で獲れた新鮮な魚介類などで作られていて、スナック菓子というにはなんとも贅沢。私も気になって食べてみたのですが、たしかにこれまで食べたポテトチップスとは違う味わいに驚きました。
でも、なぜ料亭がポテトチップスを販売し始めたのでしょうか。

きっかけは、新型コロナウイルスの流行でした。お客さんにお店に来てもらうのが難しいなか、美浪さんは富山・魚津の味を楽しめるギフト作りに踏み出したのです。
当初は郷土料理のばい貝の炊き込みご飯「ばいめし」や海鮮丼など（写真）、お店のメニューを通販で届けたいと考えましたが、冷凍庫のスペースの問題で断念。次のアイデアの瓶詰のおつまみも、ほかの商品に埋もれてしまう懸念がありました。そこでたどり着いたのが、常温で保存でき、意外性のあるポテトチップスだったのです。

ところが、試作してみるとさまざまな課題が。例えば、ポテトチップスをカラッと揚げるには糖度の低いじゃがいもが適しているとわかったものの、安定して同じ品種のじゃがいもを仕入れるのは難しいことでした。
そこで、出汁で下茹ですることで糖を流し出し、二日間漬け込むことで味を浸透させる手法をとることに。さらに、オリーブオイルや鴨の脂をブレンドした油で揚げ、さっぱりとしながらも、香りがよくコクもある味わいを完成させました。出汁や鴨の脂を使う案は、日本料理の技術によるもの。料理人である美浪さんならではのアイデアで、ほかにはないポテトチップスができあがったのです。

気になる味は3種類。まず味わいたいのが「プレーン」です。
利尻昆布や鰹節などから丁寧にとった出汁の旨味と、じゃがいもの味をダイレクトに感じられる一品。私が食べたのもこちらです。微粒子状と粗いおかか状の鰹節がまぶされていて、日本食らしい奥深い香りや味わいが後を引きます。しっかりした濃い味に、日本酒を合わせたい…！と感じました。

プレーン
700円（税込）

ほかの2種類は、地元の海の幸を活かしたもの。
出汁などはプレーンと共通のポテトチップスに、富山名物「ますの寿司」にも使われる桜鱒のふりかけを加えたのが「夕月」です。ほどよく脂ののった桜鱒を乾燥させ、粉末にしたものを鍋で煎ったふりかけには、約1ヵ月かけて作られる自家製のからすみもプラス。口にすれば、まろやかな塩味や濃厚な旨味に、広大な海の香りを感じます。

夕月
800円（税込）

もうひとつは「海月」。地元で古くから塩焼きや粕漬けなどにして親しまれてきた、真鯛のふりかけがまぶされたポテトチップスです。お刺身にできるほど新鮮な天然の真鯛を醤油漬けにして作られた粉末に、富山のみで漁ができることから「富山湾の宝石」とも呼ばれる白えびのわたを合わせてあります。粗めの粉末から、真鯛の旨味や白えびの香ばしさなどがしっかりと感じられます。

海月
800円（税込）

こだわりのポテトチップスは、パッケージにも特別感があります。プレーンは月を思わせる金、夕月は桜鱒などの深みに通じる銅、海月は海の波や白えびの輝きとも重なる銀で、洗練された印象です。
3種がクリアケースに入ったセットも販売されています。今の時期なら、甘いものが苦手な方やお酒が好きな方へのバレンタインギフトにもおすすめです。

魚津の郷土料理を受け継ぎ、アップデートして伝え続けたいという美浪さん。公式オンラインショップでは注文を受けてから作り、できたてを袋詰めしています。人気でSOLD OUTになることもありますが、再開についてはSNSで告知していく予定とのこと。ぜひチェックして、唯一無二のポテトチップスを味わってみてはいかがでしょうか。