細部までこだわって作られる。「Babylonica Leather Craft」が手縫いする美しい革財布
- 公開:2021.5.30
- ファッション
緩やかな曲線のフォルムや細かなステッチ、立体的なベルトや装飾…それぞれに思わず見入ってしまうような革財布。馬具を作るための高度な技法で革小物を制作している「Babylonica Leather Craft(バビロニカレザークラフト)」のアイテムです。長く大切に使い続けたくなる美しい革小物をご紹介します。
試行錯誤の末に身につけた技法で作られる革小物
福島県に工房を構える革小物のブランド「Babylonica Leather Craft(バビロニカレザークラフト)」。素材には、国内で鞣され、艶や光沢を与える仕上げのグレージングが施された革を使用。それを、サドルステッチという技法で手縫いして財布やキーケースなどを制作しています。サドルステッチとは通常馬具を作る際に用いられるもので、バッグ作りではエルメスなど限られた一流ブランドが採用している、高い技術が必要な技法です。
そんな方法で制作を行っているのが、柳澤和哉さん。レザークラフトもサドルステッチも、すべて独学で身につけたというから驚きです。
そんな方法で制作を行っているのが、柳澤和哉さん。レザークラフトもサドルステッチも、すべて独学で身につけたというから驚きです。
そうは言っても、最初からうまく作れたわけではなかったそう。
もとは革製品が好きで、いつか作れたらといいなぐらいの気持ちでした。あるとき、仕事で知り合った年下の女性と趣味の話になり、「興味があることをなぜやらないのか?」と聞かれ、「やらなければ何も始まらない」と気付かされたそう。それからキットを買い、本やネットを参考にしながら試行錯誤して作るようになりました。
少しずつうまくできるようになってきたとき、別の女性にコインケースをプレゼントしました。ところがその女性はかなりの革通で、容赦なく一刀両断されてしまったのだとか。「もっと研究するように」と、彼女が愛用する革のたばこケースを渡されました。以降、そのたばこケースはもちろん、さまざまな作品を見て回り研究を重ねたという柳澤さん。何度も失敗を繰り返しながらも、今の技法を身につけて委託販売やネットでの販売を始め、2011年2月にブランドを立ち上げるまでになります。
その矢先の3月、東日本大震災で工房が流されてしまいましたが、幸いにも道具類は無事で、1年後には活動を再開することができたそう。10年が経った今も、制作を続けています。
もとは革製品が好きで、いつか作れたらといいなぐらいの気持ちでした。あるとき、仕事で知り合った年下の女性と趣味の話になり、「興味があることをなぜやらないのか?」と聞かれ、「やらなければ何も始まらない」と気付かされたそう。それからキットを買い、本やネットを参考にしながら試行錯誤して作るようになりました。
少しずつうまくできるようになってきたとき、別の女性にコインケースをプレゼントしました。ところがその女性はかなりの革通で、容赦なく一刀両断されてしまったのだとか。「もっと研究するように」と、彼女が愛用する革のたばこケースを渡されました。以降、そのたばこケースはもちろん、さまざまな作品を見て回り研究を重ねたという柳澤さん。何度も失敗を繰り返しながらも、今の技法を身につけて委託販売やネットでの販売を始め、2011年2月にブランドを立ち上げるまでになります。
その矢先の3月、東日本大震災で工房が流されてしまいましたが、幸いにも道具類は無事で、1年後には活動を再開することができたそう。10年が経った今も、制作を続けています。
革の硬さを見極め、一刺し一刺し糸の入り具合を調整
サドルステッチでは、1本の糸の両端に針をつけ、あらかじめ穴をあけた革の表と裏の両方から交互に針を刺して縫い合わせていきます。そのように糸の両端に針をつけて縫う場合、専用の道具に革を挟み、両手に針を持って縫っていくのが主流です。対して柳澤さんは、片手だけでどんどん縫っています。Instagramに制作の様子を撮影した動画があるのですが、その流れるような素早い動きには感動をおぼえるほどです。
その方法を採用しているのは、縫い目の仕上がりを重視しているから。革は繊維の具合でところどころ硬さが異なり、それを見極めながら縫わないと、糸が食い込みすぎたり逆に緩んだりして、縫い目がばらついてしまうのだそう。それ防ぐため、糸の入り具合を感じ取れるよう左手で革を持ち、右手で縫うようにしているのです。
その方法を採用しているのは、縫い目の仕上がりを重視しているから。革は繊維の具合でところどころ硬さが異なり、それを見極めながら縫わないと、糸が食い込みすぎたり逆に緩んだりして、縫い目がばらついてしまうのだそう。それ防ぐため、糸の入り具合を感じ取れるよう左手で革を持ち、右手で縫うようにしているのです。
「どうすれば受け取った人が喜んでくれるのか、宝物として大事にしてもらえるか。それを常に考えて仕事をしています。レビューをもらうまで安心できません」と語る柳澤さん。
一切の妥協をせずに生み出されるアイテムは、まさに馬具のような気品や風格を感じさせる美しさを持っています。ここからは、どんなアイテムが作られているか見ていきましょう。
一切の妥協をせずに生み出されるアイテムは、まさに馬具のような気品や風格を感じさせる美しさを持っています。ここからは、どんなアイテムが作られているか見ていきましょう。
ベルトがアクセントのショートウォレット
こちらは、シンプルな「ショートウォレット」。中央のベルトがアクセントになり、キュッと引き締まった印象を添えています。
内側にはお札入れと小銭入れが1つずつ、カード用ポケットと隠しポケットが3つあり、コンパクトでも十分な収納力。小銭入れのフラップやカード用ポケットの曲線を帯びた形も凝っていて、使うたびにうれしい気持ちになれそう。
ショートウォレット(フラップ)
26,800円(税込)
内側にはお札入れと小銭入れが1つずつ、カード用ポケットと隠しポケットが3つあり、コンパクトでも十分な収納力。小銭入れのフラップやカード用ポケットの曲線を帯びた形も凝っていて、使うたびにうれしい気持ちになれそう。
ショートウォレット(フラップ)
26,800円(税込)
カーブの装飾がクラシカルなロングウォレット
「お札を折らず収納したい」「カードも多めに入れたい」という方にぴったりの「ロングウォレット」。面積が広くなるので、両端にこんなカーブの装飾を入れたタイプを選んでみると、クラシカルな雰囲気がアップします。本体をぐるりと一周する立体感あるベルトもポイントです。
こちらにはお札入れとフラップ付きの小銭入れが1つずつと、カード用ポケットが6つ。さらにファスナー付きスペースなども付いていて、レシートなどの収納にも便利です。
ロングウォレット(アレンジ)
31,800円(税込)
こちらにはお札入れとフラップ付きの小銭入れが1つずつと、カード用ポケットが6つ。さらにファスナー付きスペースなども付いていて、レシートなどの収納にも便利です。
ロングウォレット(アレンジ)
31,800円(税込)
片側のみに装飾を入れたハーフウォレット
ショートとロングの中間サイズ「ハーフウォレット」もあります。こちらはベルトを右側に寄せ、左の隅にカーブの装飾をつけたタイプで、遊び心を感じるデザインが目を引きます。同様のアレンジはロングウォレットでも可能です。
上の2つの財布と共通で、お札入れとフラップ付きの小銭入れが1つずつ。カード用ポケットは4つで、ロングウォレットと同じくファスナー付きスペース1つあり、ほどよい収納力です。
ハーフウォレット(ライダース)
28,300円(税込)
上の2つの財布と共通で、お札入れとフラップ付きの小銭入れが1つずつ。カード用ポケットは4つで、ロングウォレットと同じくファスナー付きスペース1つあり、ほどよい収納力です。
ハーフウォレット(ライダース)
28,300円(税込)
革や糸の色を選んでカスタマイズも可能
財布はほかに、谷型のカーブが印象的なロングウォレットや、コンチョという飾りボタンを使ったタイプ、ベルトのないシンプルな小銭入れなど種類が豊富です。
レザーはナチュラルカラーのほかに、ブラックやチョコを展開。さらに、ステッチの糸はマスタードやレッド、ターコイズなどの12色から選ぶことができます。
レザーはナチュラルカラーのほかに、ブラックやチョコを展開。さらに、ステッチの糸はマスタードやレッド、ターコイズなどの12色から選ぶことができます。
財布以外にもバッグやカードケース、キーケースなどが充実。名入れの刻印のほか、カード用ポケットを増やしたり、左利きに使いやすいよう中の構造を反転したりといった相談も受け付けているので、自分だけのアイテムを作ってもらうことができます。
オーダーを受けて一つひとつ丁寧に作られる小物の数々。革のしなやかさ、糸の具合が揃った縫い目、滑らかなコバ(縁)…目で見ても、手で触れても質の高さが感じられ、大切にしたくなるはずです。長く使い続けられるアイテムをお探しの方は、ぜひ手にしてみてはいかがでしょうか?
オーダーを受けて一つひとつ丁寧に作られる小物の数々。革のしなやかさ、糸の具合が揃った縫い目、滑らかなコバ(縁)…目で見ても、手で触れても質の高さが感じられ、大切にしたくなるはずです。長く使い続けられるアイテムをお探しの方は、ぜひ手にしてみてはいかがでしょうか?
photo / Babylonica Leather Craft
Babylonica Leather Craft(バビロニカレザークラフト)