海の恵みから生まれたレザーで作られる。「tototo」の表情豊かな二つ折り財布
- 公開:2021.4.17
- ファッション
牛革や豚革、羊革など、あらゆるレザーで財布やバッグが作られていますが、今回ご紹介する「tototo(ととと)」の財布には、それらとは異なるレザーが使用されています。どんなものなのかチェックしてみませんか?
「tototo」が作る、これまでにないレザーアイテム
独特の質感をもつレザーの財布。実は、通常なら廃棄されてしまう魚の皮から作られた、フィッシュレザー(魚の革)でできているんです。
魚と聞くと、「生臭くないの?」「壊れやすいのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、フィッシュレザーも牛革や豚革と同じような工程を経て作られた素材。ほかの革と同じような香りで、バッグなどに使えるしっかりとした強度をもっています。
この革素材から製品を作っているのが、漁業文化が根付いた富山県氷見市で活動するブランド「tototo(ととと)」。その名前には、魚を示す 「魚々(とと)」に「~と」の文字を加え、「 魚たちと私たちが共存する豊かな未来を創っていく」という意志が込められています。
魚と聞くと、「生臭くないの?」「壊れやすいのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、フィッシュレザーも牛革や豚革と同じような工程を経て作られた素材。ほかの革と同じような香りで、バッグなどに使えるしっかりとした強度をもっています。
この革素材から製品を作っているのが、漁業文化が根付いた富山県氷見市で活動するブランド「tototo(ととと)」。その名前には、魚を示す 「魚々(とと)」に「~と」の文字を加え、「 魚たちと私たちが共存する豊かな未来を創っていく」という意志が込められています。
魚の皮を革素材に。3年をかけた研究の道のり
フィッシュレザーを使って製品を作るという驚きの発想。どうやって浮かんだのかが気になる方も多いのではないでしょうか?
この活動を始めたのは、現在tototoの代表を務める野口朋寿さん。当時は富山県の大学で漆工芸の研究をしていて、趣味でレザークラフトをしていたそうです。そこで漆とレザーを組み合わせた作品を作ろうとしているうちに、皮をバッグなどの素材になる革にする「鞣し(なめし)加工」にも興味を持つように。鶏肉の皮でも鞣し加工ができると知ってスーパーに立ち寄ったとき、目に入ってきたのが、鮮魚コーナーに並ぶ魚でした。
ふと「魚の皮からでも革は作れるのだろうか?」と思い、スズキで試してみたところ、最初は脂がべとべとで生臭く、とても製品にできるものではなかったのだとか。
この活動を始めたのは、現在tototoの代表を務める野口朋寿さん。当時は富山県の大学で漆工芸の研究をしていて、趣味でレザークラフトをしていたそうです。そこで漆とレザーを組み合わせた作品を作ろうとしているうちに、皮をバッグなどの素材になる革にする「鞣し(なめし)加工」にも興味を持つように。鶏肉の皮でも鞣し加工ができると知ってスーパーに立ち寄ったとき、目に入ってきたのが、鮮魚コーナーに並ぶ魚でした。
ふと「魚の皮からでも革は作れるのだろうか?」と思い、スズキで試してみたところ、最初は脂がべとべとで生臭く、とても製品にできるものではなかったのだとか。
それでもあきらめずに魚の皮の鞣し加工を繰り返していたとき、氷見市で魚の皮を廃棄せずに資源として活かそうと活動する人たちのことを知り、会いに行くことに。そこで、アートNPOと協力してフィッシュレザーサンダルを作る「トトサン」プロジェクトを行う靴職人・敦賀愛さんと知り合い、一緒に研究するようになります。
それからさまざまなところから魚の皮を譲ってもらい加工を続けること3年。革なめし専門の会社、川村通商や東京都立皮革技術センターの協力も得ながら、ようやく魚の革作りに成功します。
2019年に製品をクラウドファンディングで販売すると、目標金額を大きく超える支援を受け、ブランドをスタート。2020年4月から公式サイトでの販売も始めて今に至ります。
それからさまざまなところから魚の皮を譲ってもらい加工を続けること3年。革なめし専門の会社、川村通商や東京都立皮革技術センターの協力も得ながら、ようやく魚の革作りに成功します。
2019年に製品をクラウドファンディングで販売すると、目標金額を大きく超える支援を受け、ブランドをスタート。2020年4月から公式サイトでの販売も始めて今に至ります。
丁寧な手作業で作られるフィッシュレザー
冒頭でフィッシュレザーはほかの革と同じように作られるとご紹介しました。言葉でいうと簡単ですが、いくつもの細かな工程を経てできるのです。
魚屋さんで刺身などに加工して出た魚の皮をもらってくると、まず残った身や脂を削ぎ落とします。これが生臭さを取り除くための最も重要な作業のため、一枚一枚手作業で丁寧に行われているそう(写真左)。その後、塩漬けにして余計な水分を落とし、長期間保存できる状態に。さらに脱脂加工用の液に浸け、わずかに残った脂分も落としたら、やっと革にできる準備が整います(写真右)。
魚屋さんで刺身などに加工して出た魚の皮をもらってくると、まず残った身や脂を削ぎ落とします。これが生臭さを取り除くための最も重要な作業のため、一枚一枚手作業で丁寧に行われているそう(写真左)。その後、塩漬けにして余計な水分を落とし、長期間保存できる状態に。さらに脱脂加工用の液に浸け、わずかに残った脂分も落としたら、やっと革にできる準備が整います(写真右)。
その皮を、ミモザから抽出されたタンニン(渋)のパウダーを溶かした液体に漬け込むと(写真左)、繊維が締まった丈夫な革が完成。最後に、日本らしさが感じられる深みのある色に染められ(写真右)、製品作りに使用されます。
できあがった革は、魚たちそれぞれの鱗模様を残しており、すべて異なる表情をもちます。実際に作られた二つ折り財布で、その違いを見てみましょう。
できあがった革は、魚たちそれぞれの鱗模様を残しており、すべて異なる表情をもちます。実際に作られた二つ折り財布で、その違いを見てみましょう。
それぞれで特徴が異なる、豊かな鱗模様
ひとつめは、スズキのレザーで作られた財布です。スズキのレザーは、波が繰り返し行き来する海のゆらめく水面を思わせるような表情が特徴。こちらは春の野花の色をイメージしたというyamabuki iro(山吹色)に染められ、鱗模様の凹凸に橙色も表れたような深みのある色合いとなっています。
続いての財布は、ブリのレザーでできたもの。ブリのレザーは鱗模様がきめ細かくて艶があり、優しい手触りをしています。秋の夕焼け空の色を表現したというennzi iro(臙脂色)は優雅でエレガントな印象。まずは鱗らしさが強すぎないものを選びたいという方にもおすすめのフィッシュレザーアイテムです。
3つめにご紹介するのは、マダイのレザーの財布。マダイのレザーは鱗模様に大きく波打つような立体感があり、力強さが感じられます。sumi iro(墨色)にも負けないたくましい質感で、フィッシュレザーならではの魚らしい雰囲気を存分に楽しみたい方にぴったりです。
3種の魚の革の特徴をお伝えしましたが、もちろん魚それぞれで表情が違い、まったく同じものはひとつもありません。一点もののような感覚で手にすることができます。
3種の魚の革の特徴をお伝えしましたが、もちろん魚それぞれで表情が違い、まったく同じものはひとつもありません。一点もののような感覚で手にすることができます。
財布はシンプルで使いやすい作りも魅力
どの財布も共通して、内側にはしっとりとした牛ヌメ革を採用。スナップボタン付きの小銭れと2つに分かれたお札入れ、カードポケットが全部で9つあり、シンプルで使いやすい構造となっています。
Half Wallet
suzuki/buri/madai
各種 64,350円(税込)
Half Wallet
suzuki/buri/madai
各種 64,350円(税込)
自然の恵みを見つめるきっかけにもなるレザーアイテム
ご紹介した魚の種類で、別の色に染められたアイテムもあります。財布以外にも、スマートフォン用のケースやカードケース(名刺入れ)、キーホルダーなどもあるので、サイトでチェックしてみてください。
アイテムは一つひとつ手作業で作られているので、大量生産ができない貴重なもの。現在SOLDOUTとなっているアイテムは、夏頃に再販を予定しているそうです。また、ブランドで修理も受け付けており(有料)、長く使い続けることができます。
普段おいしく食べたら、当然のように捨ててしまう魚の皮。それを加工し、長く使える革製品にしたtototoのアイテム。手にすると、ほかの動物の革の製品も含めてそのルーツを思い起こさせ、自然の恵みに感謝するきっかけも与えてくれそうです。
そうした意味でも一味違うフィッシュレザーのアイテム。あなたもひとつ、手にしてみませんか?
アイテムは一つひとつ手作業で作られているので、大量生産ができない貴重なもの。現在SOLDOUTとなっているアイテムは、夏頃に再販を予定しているそうです。また、ブランドで修理も受け付けており(有料)、長く使い続けることができます。
普段おいしく食べたら、当然のように捨ててしまう魚の皮。それを加工し、長く使える革製品にしたtototoのアイテム。手にすると、ほかの動物の革の製品も含めてそのルーツを思い起こさせ、自然の恵みに感謝するきっかけも与えてくれそうです。
そうした意味でも一味違うフィッシュレザーのアイテム。あなたもひとつ、手にしてみませんか?
photo / tototo
tototo(ととと)