つややかで温かみもある、ほかにはない素材感。「SIRUP」の軽やかな琺瑯ピアス

「SIRUP（シロップ）」は、荒井有紀さんが琺瑯（ほうろう）の薄い板で作るピアス・イヤリングのブランドです。琺瑯とは、鉄などの金属にガラス質を焼き付けたもの。一般的には調理器具の鍋やバットなどに使われていて、アクセサリーではなかなか見ることがありません。

なぜ荒井さんは、琺瑯でアクセサリーを作るようになったのでしょう。
美術大学に通っていた頃、金属を叩いて加工する鍛金（たんきん）などを主に学んでいた荒井さん。卒業後さらにドイツの大学でも金属造形の勉強を続けていたとき、琺瑯の制作技術に出会います。
日本に帰国してから、制作に必要な小型の電気炉を友人たちと個々に所有できることになりました。その記念にと贈り物をしあったとき、荒井さんは琺瑯でピアスを作ります。すると、友人たちが気に入ってくれただけではなく、それを見たほかの人からも欲しいという声が届くように。そうした方たちの喜ぶ顔を見て、自らの作ったもので笑顔になってくれる人がいるならと、継続してアクセサリーを作るようになったそう。

簡単に琺瑯のアクセサリーと言っていますが、制作にはとても手間が掛かっています。

琺瑯のベースには主に鉄が使われ、その上に下地となる釉薬（ゆうやく）を焼成し、さらに白色や青色などの色の釉薬を焼き付けていきます。鉄の素地が露出するとサビが出てしまうことがあるため、釉薬が全体をしっかりと覆うよう、すべての欠片に穴を開けて吊り下げて焼成しているのだそう。
また焼きあがって電気炉から取り出すと、釉薬と釉薬が押し合った結果その境の線に強弱が現れ、それが味わい深い印象をもたらすことも。荒井さんはそうした複雑さを考慮しながら工夫を重ね、一つひとつ異なる表情を引き出すことができたときに喜びを感じると語っています。

「人の顔周りにくるものなので、アクセサリーが強くなりすぎないよう、温かみのあるものになるように。また、可愛らしいデザインもありますが、琺瑯の持つ素材感を大切に、すっきりとした印象にすることも心がけています」（荒井さん）

そうしてできるアクセサリーは、ほかの素材とは異なる存在感を発揮。つるりとした表面でひんやりとした質感ながら、どこか優しさを感じられるようなものとなっています。

こちらは定番として作られ続けている、人気の「3粒ピアス／イヤリング」。シンプルですが、長いフックの先で、軽い雫型の琺瑯パーツが揺れる印象的なデザインです。3つの粒が同じ色で揃っているものと、異なる色のものとがあるので、お好きな色の組み合わせを選んでください。
これからの温かな季節には、写真左のようにくっきりとしたブルーやレッド、または写真右のように爽やかなグリーンやイエローが使われたものもおすすめです。

3粒ピアス　ブルー・白・赤　8,140円（税込）
3粒イヤリング　エメラルドグリーン・黄・白　10,780円（税込）

こちらは「静かな星ピアス」。ペアのピアスでも左右が異なるカラーやデザインになることの多いSIRUPでは貴重な、同じ配色と大きさのペアです。それでも左右で少しずつ形が異なるのが、手作りならではの味わい。
中央のグリーンやレッドの部分から光が発せられているような目を引くデザイン。まるで抽象画のアートを身に着けているようにも見えます。鮮やかな色は夏の日差しにも似合いそう。

静かな星ピアス　白・青・緑／白・茶・赤　各9,900円（税込）

SIRUPでは個展やイベントのテーマごとに、都度新たなデザインも生まれています。
写真左は「羽根とほうろう」をテーマとした展示販売の「羽根折りピアス」。薄くて軽い琺瑯でできたパーツは体を動かすたびにふわふわと揺られ、羽根が風に舞っている姿と重なります。
こちらはシングルのピアスとしての販売なので、左右で異なる色やデザインでペアにしても楽しいもの。例えば写真右のように「羽根チェーンピアス」と組み合わせると、変化が生まれて装いのアクセントに。あなたらしくコーディネートをしてみてくださいね。

羽根折りピアス　水色／紫／ブルー／ピンク　各6,160円（税込）
羽根チェーンピアス　ピンク・グレー・水色／ピンク・ベージュ・紫　各7,700 円（税込）

SIRUPのピアスやイヤリングは、個展やイベント出展の際に購入することができます。また、iichiでの販売のほかに、不定期で公式オンラインショップもオープン。現在は「静かな時間」をテーマにしたアイテムが5月20日（水）まで注文できるようになっています。今回ご紹介した3粒ピアスや羽根モチーフのピアスはそのオンラインショップで販売されており、静かな星ピアスはiichiから購入が可能です。
こうした個展やオンラインショップの情報と新作のピアスなどはInstagram（@sirup_enamel）にて確認できるので、気になる方はチェックしてみてくださいね。

ほかにはない琺瑯のアクセサリー。装いのポイントに、ひとつ加えてみてはいかがでしょうか？