クラフトビールの魅力は自由であること。自由に好みの味を、好みのスタイルで楽しめる場所を。「さかづきBrewing」
- 公開:2016.8.20
- ライフスタイル
2016年3月、東京・北千住の商店街を少し脇にそれたところに、醸造所併設のビアパブ「さかづきBrewing」がオープン。連日地元の人や会社帰りのサラリーマンなどで賑わっています。ここを作ったのは元ビールメーカーで醸造を担当していた女性。オープンまでの経緯やクラフトビールの魅力などについて伺いました。
最初は苦手だと思っていたビールの奥深さに目覚めて
さかづきBrewingの代表・金山尚子さんは、最初はビールは苦手だったと言います。大学のサークルの飲み会でも乾杯の最初の一杯でさえ飲みきるのが大変だったとか。「居酒屋でアルバイトしていたときに、サラリーマンの方たちが、美味しそうにジョッキを飲み干すのを毎日見ているうちに、美味しそうだなあ、自分もああいう風に飲めたら良いのに…と思ってました」。その後、舌を通さず喉でゴクゴク飲むという方法を知って「プッハー!」とできるようになったとき、ビールに対する興味が俄然わいてきたそうです。「その頃、ベルギービールが日本でも飲まれるようになってきて、チェリービールに出会ったときは、それまで飲んでいたビールとは明らかに違っていてなんだこれは? と思いましたね。ビールの奥深さに、頭をガツンとやられた感じでした」。
大手ビールメーカーに就職するも、迷いが出てきて…
大学、そして大学院で微生物学を学んだ金山さんは、卒業後、ビールメーカー大手のアサヒビール株式会社に入社します。「最初は醸造部門に配属されて、茨城や博多のビール工場で醸造の勉強をしました。工場で4年過ごした後、研究所に移って新商品開発を担当するようになったんです」。その頃、アサヒビールでは、世界各国の伝統的な製法のビールを限定醸造する「アサヒ世界ビール紀行」というシリーズが始まっていて、それに関わったことも金山さんのビール熱をさらに煽ることになったようです。でも、そんな中、金山さんの中にはある葛藤が芽生えてきて…。「このままサラリーマンとして、定年までここで闘い続けていくのは、自分にとってどうなんだろう?せっかくの人生なんだから、自分で納得してできることをした方がいいんじゃないかと思い、会社を辞めることにしました」。
自分が飲みたいビールを作って、みんなに楽しんで欲しい
会社を辞めて、じゃあ何をする?と考えたとき、金山さんは自分にはビールしかない!と思ったそうです。そこで、自分のビールを作り、みんなに飲んでもらう店をオープンしようと決意しました。「今、小さな醸造所で作るビール、いわゆるクラフトビールのブールが来ていると言われますが、その魅力は何と言っても自由なことです。作る人によって、また作る時期によってもビールの味は変わってきます。ビールマニアじゃなくても、初めてクラフトビールというものを飲むと言う人も、自由に“これは好き”“これはちょっと好みじゃないかも”などと言いながら、自分の好きなものを見つけていけばいい。それがクラフトビールを飲む楽しさなんですから」。
ビールの可能性は無限大。新しいビールを作り続けていきたい
店を開店してから4ヶ月余り、幸い毎日お客様は引きも切らず、ビールの生産が追いつかないこともあるのだとか。「まだまだこれからですね。やりたいことはいっぱいあるのに、全然できていないんです。麦芽やホップの種類は数え切れないほどあるし、副原料もフルーツやコーヒー、紅茶、ハーブなどさまざま。その組み合わせを考えたら、それこそビールの可能性は無限大です」。ビールと言えば、何と言っても夏!と思いがちですが、年間を通じて楽しめるビールを作っていくのも金山さんの目標。「季節によってラインナップも変えていきますよ。冬になったらアルコール度数も高めで、ゴクゴクいかずにゆっくり飲むようなビールも考えています」。楽しくて仕方がないというようにこれからの展望を語る金山さんの元気にひかれてやってくるお客さんも多いのでは?と思わせる笑顔でした。
photo / カオリーヌ
さかづきBrewing
東京都足立区千住旭町11-10
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