食材を育て、加工し、届けるまでを自分たちで。「カネサオーガニック味噌工房」のこだわり食品

東京世田谷区にあるお店「カネサオーガニック味噌工房 松陰神社前（以下、カネサ）」。中に入ると、お米や大豆のほか、味噌や甘酒といった発酵食品などがずらりと並んでいます。
こちらのお店、体によい食品を集めて置いているというだけではありません。「手づくり、手わたし」をモットーに、食材を育て、加工し、販売して届けるところまでを一貫して行っているのです。

カネサでは、なぜ生産から加工・販売まで自分たちで行っているのでしょうか？それは、多くの人の食生活を、心から安心できる豊かなものにしたいという思いがあるからです。

カネサのお米や大豆は、店主の安部美佐さんのご実家が営む宮城県の有機農園で作られていて、農薬や化学肥料を使っていないので、環境にも人にもやさしいのが特徴です。

生産した食材はカネサの工房で加工し、発酵食品や調味料として店頭に並びます。精製していない国産の砂糖など、厳選した素材を用い、無添加・無着色にこだわって手づくりした加工食品は、素材本来の味が活きたものばかりです。

カネサは、そうした食材や食品をお客さんに近い場所で、できるかぎり手渡しで届けることを心掛けています。

「自身がお店に立ってお客さまと話すことが、農園のことや自分たちで作っている食品のことをしっかりと伝えられる方法だと思ったんです。」（安部さん、以下同）

食材や食品の特徴を作っている人から直接聞くことができれば、その想いが伝わり、より興味が沸いてきます。

私もお話を伺って、商品を購入しました。ひとつが、カネサの自社農園で育てられた有機大豆の「生味噌」。生味噌とは、製造段階で添加物を加えず、加熱もしない、本当に生のままの味噌のことです。

「時間をかけてじっくり発酵させたままの生味噌には、大豆のコクや甘みが感じられます。お味噌汁を作る時にも、お鍋できちんと出汁をとらなくても大丈夫。旨みがあるとろろ昆布などとお好きな具をカップに入れて、お味噌をお湯でとくだけでも十分おいしいですよ。」

そのアドバイスのとおり、早速お茶碗に切り干し大根とお豆腐を入れて即席のお味噌汁を作ってみると、出汁をとっていないのに、しっかりと旨みが感じられて驚きました。

お店にはほかにも、国産丸大豆醤油に糀を加えて発酵させた調味料や、さまざまな種類の甘酒などがあります。どれにも説明や調理例を紹介したポップなどが添えられ、一つひとつが大切に作られていることが伝わってきますよ。オンラインショップから購入できるものもあるので、遠方の方もぜひチェックしてみてください。

お店では、定期的に味噌づくりのワークショップなども行われています。大切に育て、丁寧に加工した食品を、安心して食べられるよう食卓に届ける。その意思が貫かれている素敵なお店へ、足を運んでみてはいかがでしょうか。毎日の食事がより豊かなものになる出合いがきっと待っていますよ。