やりたいという気持ちが大切。偶然の出会いからカフェオーナーに!?
- 公開:2016.3.30
- ライフスタイル
「夢は見るものではなく、叶えるもの」というのはドラマか小説の中で主人公が言う夢物語、現実はそんなに甘くないと、思ったことはありませんか? でも「夢」「好き」をかなえてしまった素敵なカフェが東京の下町にあるんです。
「経験ゼロ」「計画ゼロ」からカフェオーナーに
東京メトロ銀座線の田原町駅から徒歩数分、浅草寺から程近い商店街の裏通りに「イリヤプラスカフェ@カスタム倉庫」という、カフェ好きで知らない人はいない人気店があります。このカフェは入谷にある「イリヤプラスカフェ」の2号店。これら2軒のカフェのオーナー、今村ナオミさんは自分がカフェオーナーになるなんて夢にも思っていなかったと言います。では、夢を現実にするきっかけとは何なのか? もともとフリーライターだった今村さんが夢を実現し、カフェオーナーとして成功するまでのお話を伺ってみました。
ひと目ぼれした物件を目的も決めずに賃貸契約
もともとフリーでライターや編集の仕事をしていた今村さんは、手がけていた仕事がひと段落して、何か新しいことに挑戦したいと思いながら、ご近所をふらふらと散歩していました。そこで目にしたのが古い2階建て民家の「貸家」の張り紙。そこで運命的な何かを感じた今村さんは、すぐに不動産屋さんに電話をして、その日のうちに中を見せてもらうことに。室内は、どこもかしこもほこりだらけでぼろぼろ。でも、広くて、天井が高い。こんな物件には、もう一生出会えないかも! と、何に使うのか目的も計画もないまま賃貸契約をしたのでした。
決断の理由は「好き」という気持ち
今村さんは飲食店で働いた経験はゼロ。カフェが大好きで、以前、2年ほど住んだことのあるNYでよくカフェ巡りはしていたそうですが、まさか自分がカフェを始めるとは、みじんも思っていなかったそう。2005年12月、賃貸契約を結んだ後は、トイレ回りや電気配線など、プロの手がどうしても必要な部分はなじみの工務店さんにお願いして、壁や床のペンキ塗りや掃除は、友人知人に手伝ってもらって、この家の本来の魅力を残すかたちで、清潔に整えました。その後は、月に1、2回ほど展覧会やイベントを行う程度で、あっという間に2年がすぎて、契約更新の時期を迎えたのでした。
不安よりもやりたいという気持ちを大切に
そんな時、「私には、ここをもっとひらかれた場所にすべき責任がある、それには、大好きなカフェしかない!」という思いが突然、降ってきたと言います。しかしカフェを始めるには、それなりにお金もかかる、しかも出版業界一筋で生きてきた今村さんは飲食店で働いた経験はゼロ。失敗したら無一文になるかも、と不安が頭をよぎったのもつかの間、次の瞬間、「これからはリスクを負った生き方の方がかっこいい。かっこいいと思うことに向かっていこう」と考えを180度転換。「イリヤプラスカフェ」をオープンさせました。はじめはお客様が全く来ない日もあったそう。でも、持ち前の前向きさと、何より自分の「好き」を大切にする今村さんは、NYのお気に入りのカフェのメニューなどを参考に試行錯誤。ついには2号店の「イリヤプラスカフェ@カスタム倉庫」を出すまでに。
音楽イベントから、認知症予防イベントまで、人をつなぐカフェ
そして、現在、今村さんはまた新たな「好き」を形にしています。取材に訪れた日は、夕方から、カフェの2階でなにやら楽しそうなライブ。 4、5年ほど前、今村さんが友人のバーで知り合ったゴンドウトモヒコ氏。彼は高橋幸宏ひきるバンド「METAFIVE」の一員でもある日本のトップミュージシャンのひとり。でも、そんな肩書は関係なく「なんだかおもしろそうだから、うちのカフェでライブをやって!」とお願いしたところ、ゴンドウ氏は快諾。彼がプロディースするスパニッシュテイストの音楽を中心に活動するバンド「THE GINSENG」のライブが「イリヤプラスカフェ@カスタム倉庫」の2階で行われました。この他、「認知症予防カフェ」と題するイベントや、「野谷久仁子さん・革の教室」の展示会を行ったりと、カフェを通して「好き」の縁をつないでいます。
小さな「好き」も積もり積もれば、大きな夢に!
古びた一軒家にひと目ぼれしたことから始まったご縁は、今、いろいろな場所で花を咲かせています。自分の中に確かな「好き」があれば、その思いはきっと次のステップへつながっていく。そんなことを感じさせてくれるカフェに、出かけてみませんか?
photo / カオリーヌ
イリヤプラスカフェ@カスタム倉庫
東京都台東区寿4-7-11
03-5830-3863
※東京メトロ銀座線 田原町駅から徒歩3分