東京で楽しく学べて、体験もできちゃう!伝統と革新を兼ね備えた日本画の展覧会3選
- 公開:2018.4.28
- アート・カルチャー
東京では、西洋美術や現代アートなど様々な美術展が開催されています。そんな中、日本画は、私たちの身近にあるにも関わらず、盲点となっているのではないでしょうか。今回は、明治維新から近代国家の波にのり、美術界も大きく動いた時代の日本画にフォーカスした展覧会を3つご紹介します。
身近であるはずの日本美術
スペインやフランスなどで盛えた西洋美術や、社会通念の批判を盛り込んだ現代アートなど、東京では様々なジャンルの美術展が開催されています。西洋美術の美しさに魅了されたり、現代アートの面白さに触れるのはとても楽しいことですが…私たちの一番身近であるはずの日本美術はどうでしょうか。意外と身近ではないという人も多いでは?
そんな人におすすめなのが、明治維新から近代国家へと移りゆく時代の日本画。西洋諸国に恥じない芸術の体裁を整えようと洋画が成立し、その一方でそれまでの日本画は衰退の歩みを進めるなど日本の美術史は大きく動いた時代で、画家たちの熱い想いや工夫が感じ取れます。
きっと、激動の中だからこそ、新たな時代における新たな絵画の創出を志したのではないでしょうか。洋画の要素と、豊かな色彩美や大胆な構図といった浮世絵の要素の両方が感じられて面白いですよ。
加山又造 おぼろ 1986年 個人蔵 ©️『Re 又造 MATAZO KAYAMA』出品作品
そんな人におすすめなのが、明治維新から近代国家へと移りゆく時代の日本画。西洋諸国に恥じない芸術の体裁を整えようと洋画が成立し、その一方でそれまでの日本画は衰退の歩みを進めるなど日本の美術史は大きく動いた時代で、画家たちの熱い想いや工夫が感じ取れます。
きっと、激動の中だからこそ、新たな時代における新たな絵画の創出を志したのではないでしょうか。洋画の要素と、豊かな色彩美や大胆な構図といった浮世絵の要素の両方が感じられて面白いですよ。
加山又造 おぼろ 1986年 個人蔵 ©️『Re 又造 MATAZO KAYAMA』出品作品
『生誕150年 横山大観展』
はじめにご紹介するのは、東京メトロ東西線竹橋駅1b出口より徒歩3分のところにある、東京都国立近代美術館にて開催される『生誕150年 横山大観展』。近代日本画壇の巨匠・横山大観の生誕150年を記念して開催される大回顧展で、重要文化財の、長さ40メートルを超える日本一長い画巻《生々流転》をはじめとする総出品数約90点が展示されます。
大観が活躍したのは明治から昭和初期頃、西洋文化の煽りを受ける時代でした。その中で、大観は日本絵画の伝統的な技法を継承しつつ、新たな時代における新たな絵画の創出に取り組み《生々流転》をはじめとする、数々の大作を生み出しました。本展覧会では、横山大観の代表作品を網羅的に鑑賞し、制作の過程から彼の芸術の本質を探ることができます。
大観が活躍したのは明治から昭和初期頃、西洋文化の煽りを受ける時代でした。その中で、大観は日本絵画の伝統的な技法を継承しつつ、新たな時代における新たな絵画の創出に取り組み《生々流転》をはじめとする、数々の大作を生み出しました。本展覧会では、横山大観の代表作品を網羅的に鑑賞し、制作の過程から彼の芸術の本質を探ることができます。
『東西美人画の名作 《序の舞》への系譜』
続いてご紹介するのは、JR上野駅下車公園口改札から徒歩10分にある、東京藝術大学大学美術館にて開催中の『東西美人画の名作 《序の舞》への系譜』。上村松園の《序の舞》を中心に、その歴史を探るため江戸時代初期の風俗画や浮世絵もあわせて展示されています。
見どころはもちろん、修理が完成したのをきっかけに今回初めて一般公開される《序の舞》。柔らかい表情でありながら凛とした佇まいで、近代美人画の最高傑作とも言うべき作品です。
その作者である上村松園は、女性が画家を志すことが世間で認められなかった時代に、女性の日本画家として竹内栖鳳らに学びながら独自の美人画様式を確立した画家。
「女性は美しければよい、という気持ちで描いたことは一度もない。一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」と語り、生涯を通じて女性たちの姿を描き続け、その活躍が認められて女性としてはじめての文化勲章を受章しました。
「女は嫁に行き家を守ることが最上の美徳」とされていた明治時代において、それを跳ね除けるように活躍していった彼女。そんな冴え渡る絵筆で描かれた作品から勇気をもらえることでしょう。
左)上村松園《序の舞》重要文化財 昭和11年(1936)
右)上村松園《鼓の音》昭和15年(1940)
見どころはもちろん、修理が完成したのをきっかけに今回初めて一般公開される《序の舞》。柔らかい表情でありながら凛とした佇まいで、近代美人画の最高傑作とも言うべき作品です。
その作者である上村松園は、女性が画家を志すことが世間で認められなかった時代に、女性の日本画家として竹内栖鳳らに学びながら独自の美人画様式を確立した画家。
「女性は美しければよい、という気持ちで描いたことは一度もない。一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」と語り、生涯を通じて女性たちの姿を描き続け、その活躍が認められて女性としてはじめての文化勲章を受章しました。
「女は嫁に行き家を守ることが最上の美徳」とされていた明治時代において、それを跳ね除けるように活躍していった彼女。そんな冴え渡る絵筆で描かれた作品から勇気をもらえることでしょう。
左)上村松園《序の舞》重要文化財 昭和11年(1936)
右)上村松園《鼓の音》昭和15年(1940)
『Re 又造 MATAZO KAYAMA』
最後に紹介するのは、JR恵比寿駅東口から徒歩約3分にあるEBiS303イベントホールにて開催される、日本画家 加山又造氏の作品を展覧するアート展『Re 又造 MATAZO KAYAMA』。
加山又造は「日本の美術界100年に1人の天才」や「日本のピカソ」と言われた、戦後の日本画の世界に常に新風を吹きこんだ画家。伝統的な絵画に学びながらも、その伝統的な様式美を現代的な感覚で表現し、伝統と革新を作品創作の軸としました。
その卓越した技法と構想力によって、従来までの風景などをそのまま描く日本画とは違い、少し非現実的な風景を切り取った作風で、日本画の新たな可能性を切り拓いています。
本展覧会では、原画作品の展示だけではなく作品とその背景にあるサイドストーリーを連動させて、最新の映像演出や創意工夫によって、加山又造の作品世界に入り込めるような工夫がされています。
いわば「体験型の美術展」なので美術鑑賞だけでは物足りないという方にオススメです!
加山又造 おぼろ(美術陶板+デジタル・映像作品) 1986年 個人蔵 ©️『Re 又造 MATAZO KAYAMA』出品作品
加山又造は「日本の美術界100年に1人の天才」や「日本のピカソ」と言われた、戦後の日本画の世界に常に新風を吹きこんだ画家。伝統的な絵画に学びながらも、その伝統的な様式美を現代的な感覚で表現し、伝統と革新を作品創作の軸としました。
その卓越した技法と構想力によって、従来までの風景などをそのまま描く日本画とは違い、少し非現実的な風景を切り取った作風で、日本画の新たな可能性を切り拓いています。
本展覧会では、原画作品の展示だけではなく作品とその背景にあるサイドストーリーを連動させて、最新の映像演出や創意工夫によって、加山又造の作品世界に入り込めるような工夫がされています。
いわば「体験型の美術展」なので美術鑑賞だけでは物足りないという方にオススメです!
加山又造 おぼろ(美術陶板+デジタル・映像作品) 1986年 個人蔵 ©️『Re 又造 MATAZO KAYAMA』出品作品
日本画に秘められた情熱
いかがでしたか?近代国家へと移りゆく時代は、西洋文化の煽りを受けた日本の美術界に洋画が成立する時代でもありました。そんな中にあって敢えて日本画というジャンルを選択した画家たち。それぞれの画風からは、伝統的な様式を極めた上で、現代的な表現を取り入れ、自分の表現を模索し、高みを目指していこうする姿勢が感じられます。柔らかな筆跡や繊細な画風からは想像できない情熱を宿しているのではないでしょうか。そんな日本画の魅力に触れられる美術展に是非足を運んでみてください。
『生誕150年 横山大観展』
会期:2018年4月13日(金)~ 5月27日(日)
会場:東京国立近代美術館
時間:10:00~17:00(金・土曜日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館:月曜日(ただし4月30日は開館)
『東西美人画の名作 《序の舞》への系譜』
会期:2018年3月31日(土)~5月6日(日)
会場:東京藝術大学大学美術館
時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館:月曜日(※4月30日、5月1日は開館)
『Re 又造 MATAZO KAYAMA』
会期:2018年4月11日(水)~2018年5月5日(土・祝)
会場:EBiS 303 イベントホール/東京都渋谷区恵比寿1-20-8 エビススバルビル3F
時間:11:00~20:00 ※変更の可能性あり