葛飾北斎が描いた華やかな美人画が勢揃い「 Hokusai Beautyー華やぐ江戸の女たちー」
- 公開:2018.3.24
- アート・カルチャー
すみだ北斎美術館で開催中の「Hokusai Beautyー華やぐ江戸の女たちー」。今では『冨嶽三十六景』などの風景画が有名な浮世絵師 葛飾北斎ですが、当時は美人画の名手としても知られていました。葛飾北斎の描く美人画の魅力と華やかな江戸美人の世界を堪能することができる本展覧会をご紹介します。
北斎と200人を超える北斎一門が描いた華やかな江戸美人
『冨嶽三十六景』などの風景画で知られる葛飾北斎。壮年期には、「美人画家の北斎」として当時の洒落本でも取り上げられるほど有名だったそうです。北斎の美人画は、雲や松などの着物の模様や髪型、装飾品などの細部までよく描き込まれていて、江戸の華やかな女性美を表現しています。
北斎には孫弟子まで含めると200人にも及ぶ門人がいたとされています。70年にもわたる北斎の画風の変遷に合わせて門人の画風も様々なものでした。北斎一門の艶やかな美人画からは北斎の画風が受け継がれていることがわかります。
本展覧会「Hokusai Beautyー華やぐ江戸の女たちー」では、すみだ北斎美術館に収蔵されている北斎とその一門の描いた美人画および、ポーラ文化研究所所蔵の結髪雛型、装飾品、化粧道具といった江戸の女性風俗を伝える資料と作品が130点ほど展示されています。展示されている作品と資料からは、北斎が手掛けた美人画の魅力や華やかな江戸美人の世界を堪能することができますよ。
北斎には孫弟子まで含めると200人にも及ぶ門人がいたとされています。70年にもわたる北斎の画風の変遷に合わせて門人の画風も様々なものでした。北斎一門の艶やかな美人画からは北斎の画風が受け継がれていることがわかります。
本展覧会「Hokusai Beautyー華やぐ江戸の女たちー」では、すみだ北斎美術館に収蔵されている北斎とその一門の描いた美人画および、ポーラ文化研究所所蔵の結髪雛型、装飾品、化粧道具といった江戸の女性風俗を伝える資料と作品が130点ほど展示されています。展示されている作品と資料からは、北斎が手掛けた美人画の魅力や華やかな江戸美人の世界を堪能することができますよ。
北斎の美人画の変遷をたどる
北斎は70年に及ぶ画風の変遷において、独特な美人画のスタイルを確立させていきます。初期には、美人画の名手である鳥居清長に強く影響を受け、輪郭に丸みを持たせた可愛らしい女性などを描いていましたが、次第に輪郭がシャープな「うりざね顔」の女性を描くようになりました。
展示室では、北斎の画風の特徴を分かりやすく解説したパネルもあるので、自分が鑑賞している作品が、北斎の画業のどの時代のもので、どのような特徴があるのかを確かめることができます。北斎の作品の特徴でもある大胆な発想や構図と、非常に繊細な描き込みや筆使いの両方を鑑賞することができます。その特色は美人画においても発揮されており、人物に目がいくように余白を意識した配置や構図、細かな衣装の模様や装飾品の描写などにも注目してご鑑賞ください。
展示室では、北斎の画風の特徴を分かりやすく解説したパネルもあるので、自分が鑑賞している作品が、北斎の画業のどの時代のもので、どのような特徴があるのかを確かめることができます。北斎の作品の特徴でもある大胆な発想や構図と、非常に繊細な描き込みや筆使いの両方を鑑賞することができます。その特色は美人画においても発揮されており、人物に目がいくように余白を意識した配置や構図、細かな衣装の模様や装飾品の描写などにも注目してご鑑賞ください。
美を探求する女性たち
使用していた簪(かんざし)や櫛(くし)、素肌に付けていた化粧品から、存在が浮かび上がってくる江戸に生きる女性たち。
展示されている現物や北斎の作品が教えてくれるのは、当時の女性風俗だけではなく、彼女たちのスピリットです。現代に生きる私たちにも今なお受け継がれている精神性を感じられることでしょう。
展示されている現物や北斎の作品が教えてくれるのは、当時の女性風俗だけではなく、彼女たちのスピリットです。現代に生きる私たちにも今なお受け継がれている精神性を感じられることでしょう。
優美な江戸メイク
展示室では、引き出しのついた化粧台や装飾が施された手持ち鏡、そして、紅が入れられていた紅猪口(べにちょこ)などの装飾品や化粧道具を鑑賞することができます。当時大流行した化粧品の一つ、濡れた筆や指にとり重ねて塗ることで金緑色に発色した「笹色紅」と呼ばれる紅も展示されています。
また、同展覧会にて展示されている『枕草子を読む娘』の作品からは、描かれている遊女に笹色紅が用いられていたことがわかります。こちらの作品は、禿(かむろ)出身の初々しい遊女である振袖新造が描かれており、見落としてしまいがちですが、女性の唇に注目してみると、上唇は紅色、下唇は緑色と色分けされています。
華麗なヘアスタイル
こちらは「横兵庫(よこひょうご)」と呼ばれた、蝶が羽根を広げたようなヘアスタイルのミニチュア版のかつら。
当時流行していたとはいえ、髪飾りを含めて、総重量3キログラムにもなったそう。その重さに耐えながらも接客に励んでいた遊女たち…。現代の日本人が持つ「オシャレは我慢」の精神は、江戸時代から受け継がれているのかもしれませんね。
ちなみに髪飾りは、江戸の吉原ではべっこうの髪飾りと櫛を中心にスッキリとしたものでしたが、京の島原では花簪やサンゴの飾りがついた櫛などを使った華やかなヘアスタイルが主流だったんだそう。同じ時代でも東西の違いがあったんですね。
江戸時代から今日まで残っている簪(かんざし)や櫛(くし)、素肌に付けていた化粧品の現物と、北斎の描いた美人画とを併せて鑑賞することにより、彼女たちを身近に感じることができます。是非、現物と美人画を見ながら、江戸に生きる女性たちに想いを馳せながら会場を見て回って巡ってみてください。
当時流行していたとはいえ、髪飾りを含めて、総重量3キログラムにもなったそう。その重さに耐えながらも接客に励んでいた遊女たち…。現代の日本人が持つ「オシャレは我慢」の精神は、江戸時代から受け継がれているのかもしれませんね。
ちなみに髪飾りは、江戸の吉原ではべっこうの髪飾りと櫛を中心にスッキリとしたものでしたが、京の島原では花簪やサンゴの飾りがついた櫛などを使った華やかなヘアスタイルが主流だったんだそう。同じ時代でも東西の違いがあったんですね。
江戸時代から今日まで残っている簪(かんざし)や櫛(くし)、素肌に付けていた化粧品の現物と、北斎の描いた美人画とを併せて鑑賞することにより、彼女たちを身近に感じることができます。是非、現物と美人画を見ながら、江戸に生きる女性たちに想いを馳せながら会場を見て回って巡ってみてください。
江戸美人から学ぶもの
本展覧会では、美人画の名手である鳥居清長に強く影響を受け、そして次第に自分自身の画風を確立していった変化とともに、遊女たちのファッションスタイル・ヘアスタイルも移り変わっていく過程を楽しむことができます。さらに、会期中は、着物で来館した場合、団体割引の価格で鑑賞できるそう。
江戸美人の世界を堪能しながら、時におしとやかに、時にアバンギャルドに、お洒落を学んでみてはいかがでしょうか。
江戸美人の世界を堪能しながら、時におしとやかに、時にアバンギャルドに、お洒落を学んでみてはいかがでしょうか。
photo / 新麻記子
『Hokusai Beautyー華やぐ江戸の女たちー』
会期:2018年2月14日(水)〜 2018年4月8日(日)
会場:すみだ北斎美術館
時間:9:30~17:30
休館:毎週月曜日