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150年の画業を巡る大規模展覧会『ブリューゲル展 画家一家 150年の系譜』

現在、東京都美術館で開催されている『ブリューゲル展 画家一家 150年の系譜』。16世紀から17世紀のヨーロッパで、大きな影響を持った画家一家の一つだったブリューゲル一族。そんな150年以上にわたって続いた一族の絵画作品を中心に紹介する本展覧会をレポートします。

150年の画業を巡る大規模展覧会『ブリューゲル展 画家一家 150年の系譜』

150年以上の歴史を誇る、画家一族

有名画家一族の作品のコレクション

16世紀のフランドル地方(現在のベルギーに相当する地域)を代表する画家、ピーテル・ブリューゲル1世にはじまり、150年以上にわたって画家を生み出してきたブリューゲル一族。

東京都美術館で開催中の『ブリューゲル展 画家一家 150年の系譜』は、2人の息子や孫、さらにひ孫の世代まで、一族に連なる9人の画家の作品を見比べられることはもちろん、個性的な一族の全体像を見ることのできる貴重な展覧会です。その系譜を巡りながら、風景画、風俗画、花の静物画、通常見ることはできない個人コレクションの絵画など約100点を鑑賞することができます。

一族の祖、ピーテル・ブリューゲル1世

ピーテル・ブリューゲル1世が下絵を手掛けた作品「最後の審判」

150年以上の歴史を誇るブリューゲル一族は、ピーテル・ブリューゲル1世からはじまりました。彼は雄大な風景や、悪魔や怪物が略動する作品で知られるヒエロニムス・ボス風の幻想世界を描き、「第2のボス」との名声を確立した画家です。ピーテル1世が下絵を手掛けた作品のひとつ「最後の審判」(画像上)は、ボスと同じように悪魔や怪物たちが描かれています。しかしボスとは違って、道徳的なメッセージ性が薄く、現実の世界を忠実に描こうとする姿勢が映し出されています。

宗教画が中心だった時代にも関わらず、人生の最後の6年間には同時期の農民たちを描き、“農民画”とでも呼ぶべき風景画を描いた革新的な人物でした。

画像:ピーテル・ブリューゲル1 世 [下絵] ピーテル・ファン・デル・ヘイデン [彫版]《最後の審判》 1558年 Private Collection

子、ピーテル・ブリューゲル2世とヤン・ブリューゲル1世

ヤン・ブリューゲル1世とヤン・ブリューゲル2世の作品「机の上の花瓶に入ったチューリップと薔薇」

ピーテル・ブリューゲル1世の2人の息子、ピーテル・ブリューゲル2世とヤン・ブリューゲル1世もまた画家になります。
長男のピーテル・ブリューゲル2世は、生涯にわたり父の作品の模倣作を作り続け、父の作風を世に広めた画家です。現在の感覚では“コピー”は否定的な印象が持たれがちですが、当時では優れた画家によるコピーにそれなりの評価が与えられました。ただ、ブリューゲル2世の作品は人気が高かったものの、高値で売れることはなく、家賃の支払いが滞ってしまうこともあったそうです。

一方で、次男のヤン・ブリューゲル1世は独自の作風を確立させていきました。父譲りの風景画をはじめとし様々な作品を描きましたが、花の静物画で有名になり、“花のブリューゲル”とも呼ばれました。自身の息子であるヤン・ブリューゲル2世とともに描いた「机の上の花瓶に入ったチューリップと薔薇」(写真上)は、チューリップの縞模様が描かれており、実はモザイク病というウイルス性の病気にかかったためでしたが、当時はそれが分からず希少なものとして珍重されたそうです。そんなヤン・ブリューゲル1世は貴族や聖職者を顧客に持ち、6軒もの家を所有するなど経済的に大きな成功を収めました。

孫、ひ孫と続いていく才能

東京都美術館で開催中の『ブリューゲル展 画家一家 150年の系譜』で展示されている作品1

ヤン・ブリューゲル2世は父と似た作風で、風景画や花の静物画を描いたほか、父ヤン1世の作品のコピーはもちろんですが、父ヤン1世が急に亡くなった後にその工房を引き継ぎ、派生作品なども描きました。人間の五感を表した「聴覚の寓意」も、父であるヤン1世とその友人パーテル・バウル・ルーベンスの共作をもとにしています。

ヤン1世の孫にあたるヤン・ファン・ケッセル1世は、昆虫や小さな生き物を写実的に描いた習作が有名です。本展覧会でも「蝶、カブトムシ、コウモリの習作」、「蝶、コウモリ、カマキリの習作」が展示されています。この作品は、大理石に描かれた非常に珍しい作品で大理石が蝶の羽の透明感を際立たせています。

代々受け継がれていく描写

東京都美術館で開催中の『ブリューゲル展 画家一家 150年の系譜』で展示されている作品2

上記で紹介した以外にも、ピーテル1世のひ孫世代で故郷を離れたアブラハム・ブリューゲルやダーフィット・テニールス2世など、ブリューゲル一族の個性的な画家たちの作品が多数展示されます。現実世界を冷静に見つめ、人間の日常生活を何の偏見もなく、ありのままに表現した観察眼は、子から孫、ひ孫へと受け継がれ、一族の絵画様式と伝統を築き上げていきます。代々受け継がれた細密な描写は必見です!

そして、展示作品の多くが普段公開されることない個人コレクションなので、ほとんどが日本初出展という貴重な機会です。また、会場ではデジタルコンテンツとともに観る、ピーテル2世の「野外での婚礼の踊り」がスクリーンに映し出され、当時の農民が生き生きと踊る様子がとても感動的です。父親の世界観を受け継いだ息子の心意気に、親子の絆を感じに足を運んでみてはいかがでしょうか。

photo / 新麻記子

『ブリューゲル展 画家一家 150年の系譜』

会期:2018年1月23日(火)~4月1日(日)
会場:東京都美術館
   台東区上野公園8-36
休室日:月曜日
時間:9:30~17:30
   金曜日は9:30~20:00
   ※入室は各閉室30分前まで

http://www.ntv.co.jp/brueghel/

この記事を書いた人

新 麻記子 大阪出身、横浜在住。作詞の仕事をベースに置きながら、WEBサイト運営、編集、ライターを経て、フリーランスに転身。ライフスタイルを豊かにする"文化の向上"を掲げ、ア...

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