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装飾とは何かを問う『装飾は流転する ー「今」と向きあう7つの方法ー 』

半年ぶりに再オープンした東京都庭園美術館で開催されている『装飾は流転するー「今」と向きあう7つの方法 』。年齢も国籍もジャンルも異なる7組のアーティストによる、時代とともに新しい意味を伴い変化を繰り返してきた“装飾”にフォーカスを当てた本展覧会をご紹介します。

装飾とは何かを問う『装飾は流転する ー「今」と向きあう7つの方法ー 』

変化を繰り返している“装飾”

弔いの儀式や呪術的なタトゥーなどからはじまった“装飾”

弔いの儀式や呪術的なタトゥーなどからはじまった“装飾”は、ときにその意義が忘れられたりしながらも、時代とともに新しい意味を伴い変化を繰り返してきました。
この展覧会では、年齢も国籍もジャンルも異なる7組のアーティストの作品が展示されます。全く異なる時代や価値観を対峙させたり、実際には存在しない世界を思い描いたり、日常においての装飾を読み取ろうとしたりして生まれた彼らの作品。多様な装飾表現と向き合うことができます。

古き装飾をアップデートして作られた作品

ヴィム・ヴォワとニンケ・コスターの作品

消費社会を象徴する数々の挑戦的なプロジェクトを手掛けるヴィム・ヴォワは、古典的な建築装飾を再構築する作品も手掛けています。本展覧会で展示されるのはイスラム文様のスーツケースや西洋中世文様のタイヤ。そして、ゴシック建築の装飾で型取りされたトレーラーなど、作品も見れば見るほど、細やかな装飾に圧倒されます。

日本で初めて紹介されるニンケ・コスターは、建築物の一端をシリコーンゴムでそのまま写しとり、家具や彫刻に生まれ変わらせる作品を制作するアーティスト。今回展示している、歴史的建造物の天井や壁の装飾を写しとった椅子「時のエレメント」は、自由に座ることができます。アートとデザイン、時代や形式を超えて、建築の機微を体験することができる作品でした。

上記のアーティスト2名の作品は、私たちが利用できるかたちで、古き良き装飾を蘇らせてくれています。ニンケ・コスターの椅子「時のエレメント」に座りながら、コア・ポアの異なる時代と文化をミックスしたペルシャ絨毯を眺めていると不思議な気持ちになりました。

生の装飾、死の装飾

山本麻紀子とアラヤー・ラートチャムルーンスックの作品

参加者を巻き込むプロジェクトを数多く手掛ける現代美術作家の山本麻紀子。日常に埋もれてしまった事象や人が無意識に行う行為を、フィールドワークやリサーチ、ワークショップを通じて顕在化する試みをしています。
会場内の作品「Throught The Windows」は、山本さんがある部屋の窓の中の風景を思い描いて書いた作品を、その部屋の住人が自分の生活のワンシーンだと納得してもらえたらその部屋に作品を置いて写真を撮影するというプロジェクトです。

タイ・チェンマイを拠点とし、東南アジアを代表する映像・写真家、アラヤー・ラートチャムルーンスックは、アイデンティティや生と死、個人と社会といった普遍的なテーマにアプローチする作風で知られています。会場で上映されている映像作品「タイ・メドレー」は、鮮やかな花柄の布がかけられた身元不明の女性の遺体に向けて、タイの伝統的な舞踊歌唱劇「イナオ」の恋の物語が読み歌い聴かせられる作品です。

上記のアーティスト2名が制作した作品を目にし、生死という対照的テーマが色濃く、鑑賞していると様々な感情が駆け巡りました。現在、山本さんの作品はロンドンに引きつづき庭園美術館の近隣でも同プロジェクトを展開中したそうです。

“装飾”に隠されたメッセージ

デザイナーの山縣良和と高田安規子・政子の作品

ファッションブランド「writtenafterwards」の代表であり、デザイナーの山縣良和。装飾性が高く過剰な造形に加え、ファッションの意義や起源に言及するメタ的な視点に立った服作りで、ファッションのみならずアートの分野で注目を浴びています。本展覧会ではこれまでのコレクションの振り返りと、最新コレクション三部作などが展示されています。

一卵性双生児のアーティストユニットである高田安規子・政子。自然の風景や建造物といった大きなものを、チョークや糸巻きなど小さな日用品で表現したり、高価な美術工芸品を安価な材料で表現したりと、見る者の尺度や基準を揺るがす装飾を展示しています。

時代・文化をミックスする装飾

コア・ポアが制作した絵画

『フォーブス』誌の「30歳以下の注目の30人」にも選出されている注目のアーティストであるコア・ポア。
ペルシア絨毯の修復職人だったイラン系イギリス人の父親を持つことから、幼少期の記憶と結びつくペルシア絨毯に着想を得て、異なる時代や文化圏のモチーフを引用、リミックスしながら制作した絵画を発表しています。
伝統的なペルシャ絨毯の制作工程や経年の傷跡や質感を表現するために幾重にも重ねられた色彩。パステルカラーで描かれた絨毯をよく見てみると、それぞれのモチーフは中国やエジプト、中南米の神話や浮世絵などが描かれています。

装飾から現在を読み取る

旧朝香宮邸の庭園美術館

アールデコ様式の美術館内を巡りながら、アーティストたちの多彩なアプローチに接するという行為が、複雑な現実を認識するための、必要な切り札だということに気付くことでしょう。

会期中には、山本麻紀子による小学生を対象としたワークショップや、TTM: IGNITION BOXの一環として、DOMMUNEのイベント「EXTREME QUIET VILLAGE vol.02 〜装飾の生命線」も開催されます。

是非、美しい建築様式で知られている旧朝香宮邸の庭園美術館と、7組のアーティストによる作品のマッチングを堪能してみてはいかがでしょうか。

photo / 新麻記子

装飾は流転する―「今」と向きあう7つの方法

会期:2017年11月18日(土)〜2018年2月25日(日)
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
休館日:第2・第4水曜日および年末年始(2017年12月27日(水)〜2018年1月4日(木))
開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館30分前まで)

http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/171118-180225_decoration.html

この記事を書いた人

新 麻記子 大阪出身、横浜在住。作詞の仕事をベースに置きながら、WEBサイト運営、編集、ライターを経て、フリーランスに転身。ライフスタイルを豊かにする"文化の向上"を掲げ、ア...

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