アートとテクノロジーの表現を追う『岡本太郎とメディアアート 山口勝弘ー受け継がれるもの』
- 公開:2017.11.17
- アート・カルチャー
11月3日から、川崎市岡本太郎美術館で開催されている『岡本太郎とメディアアート 山口勝弘ー受け継がれるもの』。アヴァンギャルドの一匹狼である岡本太郎の精神を受け継ぎ、独自の表現を確立していった芸術家 山口勝弘、そして最新のメディアアートを担う現代アーティスト10人による本展覧会をご紹介します。
絆によって結ばれた作品
戦後、日本の美術界に反発してきた芸術家 岡本太郎は、同時代に分野を超えた芸術の展開を求める活動の中で、若い芸術家たちに惜しみない支援をしたと言われています。そんな彼の精神を受け継ぎ、アートとテクノロジー、そして社会との関わりを掘り下げ、新たな表現に挑んだのが芸術家 山口勝弘です。
そんな2人の芸術家の最初の出会いは、1948年のお茶ノ水の文化学院で開かれた講習会。その後、日本の芸術活動の先駆けとなった「実験工房」で二人の絆が深まったと言います。「実験工房」とは、美術、音楽、舞台、演劇、映画など、個々で創作している若きアーティストたちが集い、分野を超えてコラボレーションを展開し、一つの作品として集結させる表現に取り組み、現代のメディアアートの礎です。2人は弟子や門下というような師弟関係ではなく、岡本太郎の表現に依存しない、山口勝弘の神聖な感性を引き立て、自由な精神を広げていくような関係でした。現代のメディアアートという分野を切り拓いた山口勝弘の原点には、岡本太郎という欠くことのできない存在があったのです。
本展覧会『岡本太郎とメディアアート 山口勝弘ー受け継がれるもの』では、岡本太郎の作品とその作品からインスピレーションを受けて制作した山口勝弘の作品を並べて展示しています。ぜひ両作品を見比べながら、2人の関係を探ってみてください。
そんな2人の芸術家の最初の出会いは、1948年のお茶ノ水の文化学院で開かれた講習会。その後、日本の芸術活動の先駆けとなった「実験工房」で二人の絆が深まったと言います。「実験工房」とは、美術、音楽、舞台、演劇、映画など、個々で創作している若きアーティストたちが集い、分野を超えてコラボレーションを展開し、一つの作品として集結させる表現に取り組み、現代のメディアアートの礎です。2人は弟子や門下というような師弟関係ではなく、岡本太郎の表現に依存しない、山口勝弘の神聖な感性を引き立て、自由な精神を広げていくような関係でした。現代のメディアアートという分野を切り拓いた山口勝弘の原点には、岡本太郎という欠くことのできない存在があったのです。
本展覧会『岡本太郎とメディアアート 山口勝弘ー受け継がれるもの』では、岡本太郎の作品とその作品からインスピレーションを受けて制作した山口勝弘の作品を並べて展示しています。ぜひ両作品を見比べながら、2人の関係を探ってみてください。
楽しく体験できる現代アーティストの作品
会場では、山口勝弘が岡本太郎に捧げたオマージュ作品をはじめとし、彼らの活動の先に開花した、最先端のメディアアートを担う現代アーティスト10人の作品も紹介しています。
森脇裕之の代表作である「レイヨ=グラフィー」(写真:左)は、私たちの影を光センサーが関知して光る作品です。私たちの動きに合わせてリアルタイムに光が移動するので、作品の前で思いのまま縦横無尽に動いてみると面白いですよ。原田大三郎の「TARO360°」(写真:右)は、岡本太郎にインスパイアされて創られたVR映像作品です。360°映像によって生み出された空間に、生き物のようにうごめく岡本太郎作品は必見です!
森脇裕之の代表作である「レイヨ=グラフィー」(写真:左)は、私たちの影を光センサーが関知して光る作品です。私たちの動きに合わせてリアルタイムに光が移動するので、作品の前で思いのまま縦横無尽に動いてみると面白いですよ。原田大三郎の「TARO360°」(写真:右)は、岡本太郎にインスパイアされて創られたVR映像作品です。360°映像によって生み出された空間に、生き物のようにうごめく岡本太郎作品は必見です!
デジタルテクノロジーによって進化する作品
デジタルテクノロジーによって生み出された作品は、従来の鑑賞方法にとらわれる必要はありません。ネット上で作品を鑑賞したり、作品に触れたり、ペイントしたりと、新しい繋がりを創造することが可能になりました。
光・環境造形作家の田中敬一が手掛ける「Light Ambient Cloud」(写真:左)は、宇宙や深海を彷彿させるような、幻想的な世界を作り出しています。時間を忘れてレーザー光線による空間作品を楽しんでみてください。東京駅のプロジェクションマッピングを手がけたことでも知られているP.I.C.S.TECHの「digital sculpture 樹人」(写真:右)は、岡本太郎の「樹人」に、3Dプロジェクションマッピングを施しています。岡本太郎が追求し続けてきた生命力がデジタルテクノロジーによって生き生きと甦ります。
光・環境造形作家の田中敬一が手掛ける「Light Ambient Cloud」(写真:左)は、宇宙や深海を彷彿させるような、幻想的な世界を作り出しています。時間を忘れてレーザー光線による空間作品を楽しんでみてください。東京駅のプロジェクションマッピングを手がけたことでも知られているP.I.C.S.TECHの「digital sculpture 樹人」(写真:右)は、岡本太郎の「樹人」に、3Dプロジェクションマッピングを施しています。岡本太郎が追求し続けてきた生命力がデジタルテクノロジーによって生き生きと甦ります。
自然×アート×テクノロジー
本展覧会では、戦後の日本の現代美術からはじまり、アートとテクノロジーの融合、新しい芸術分野であるメディアアートの歴史を鑑賞することができます。岡本太郎とその精神を引き継いだ山口勝弘から学び、活動を開花させていったデジタルテクノロジーを駆使する現代アーティストたちが何を感じ、インスピレーションを受けて、新たな表現を生み出していったのか?ぜひあなたの目で確かめてみてください。会期中にはワークショップや映像上映会などの関連イベントが企画されているので、こちらも要チェックです。
木々の間から優しい木漏れ日が降り注ぎ、自然に触れられる生田緑地を散策しながら、川崎市岡本太郎美術館に足を運んでみてはいかがでしょうか。
木々の間から優しい木漏れ日が降り注ぎ、自然に触れられる生田緑地を散策しながら、川崎市岡本太郎美術館に足を運んでみてはいかがでしょうか。
photo / 新麻記子
「岡本太郎とメディアアート 山口勝弘-受け継がれるもの」
会期:2017 年11月3日(金・祝)~ 2018年1月28日(日)
※休館日:月曜日(1月8日を除く)、11月24日、12月29日~1月3日、1月9日
会場:川崎市岡本太郎美術館 常設展示室
時間:9:30~17:00(入館は16:30)
料金:一般900円、高校・大学生・65歳以上700円、中学生以下無料