ゴッホの足跡を求めて想いを馳せる。『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』
- 公開:2017.11.10
- アート・カルチャー
東京都美術館で開催されている『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』。本展覧会では、日本の美術品に関心を持ったと言われる画家 フィンセント・ファン・ゴッホにフォーカスしています。愛する日本を夢に抱き、光あふれる南仏アルルへと旅立ったゴッホを追体験できます。
大の日本ファンと言われるフィンセント・ファン・ゴッホ
日本に恋焦がれた画家と言われている、フィンセント・ファン・ゴッホ。生涯で数百点にも及ぶ膨大な浮世絵を収集し、模写した作品を多く遺しています。明瞭な染筆や色彩の表現、手前のモティーフを大きく描くなど、浮世絵から多くのことを学んだことでしょう。
本展覧会で注目してほしいのは、展覧会のメインビジュアルにもなっている「花魁(溪斎英泉による)」。こちらの作品は、日本の浮世絵師 溪斎英泉(けいさい えいせん)の「雲龍打掛(うんりゅううちかけ)の花魁」に影響を受けて描いたそうです。2つの作品は、対象的な構図ですが、結った髪に長い櫛や艶やかな着物の模様など、細部に至るまで模写されており、花魁を囲うように自然を愛でる日本の風景が描き込まれています。
このように浮世絵を模写した作品だけでなく、自ら日本の僧侶の姿をした「坊主としての自画像」やフランス人女性を日本人に見立てた描いた「ムスメの肖像」。そして、本展覧会で展示してある背景に浮世絵を散りばめた「タンギー爺さんの肖像」など、ゴッホは日本に関わる絵画作品を多く描きました。そして、彼は浮世絵の中の鮮やかな色彩世界を求めて、フランスにおける日本にあたる南仏アルルへと旅立ちます。
(写真:左)フィンセント・ファン・ゴッホ「花魁(溪斎英泉による)」
ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵
(写真:右)溪斎英泉「雲龍打掛の花魁」 及川茂コレクション
本展覧会で注目してほしいのは、展覧会のメインビジュアルにもなっている「花魁(溪斎英泉による)」。こちらの作品は、日本の浮世絵師 溪斎英泉(けいさい えいせん)の「雲龍打掛(うんりゅううちかけ)の花魁」に影響を受けて描いたそうです。2つの作品は、対象的な構図ですが、結った髪に長い櫛や艶やかな着物の模様など、細部に至るまで模写されており、花魁を囲うように自然を愛でる日本の風景が描き込まれています。
このように浮世絵を模写した作品だけでなく、自ら日本の僧侶の姿をした「坊主としての自画像」やフランス人女性を日本人に見立てた描いた「ムスメの肖像」。そして、本展覧会で展示してある背景に浮世絵を散りばめた「タンギー爺さんの肖像」など、ゴッホは日本に関わる絵画作品を多く描きました。そして、彼は浮世絵の中の鮮やかな色彩世界を求めて、フランスにおける日本にあたる南仏アルルへと旅立ちます。
(写真:左)フィンセント・ファン・ゴッホ「花魁(溪斎英泉による)」
ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵
(写真:右)溪斎英泉「雲龍打掛の花魁」 及川茂コレクション
“日本の夢”を追い求めて
ゴッホは、パリから約700km離れた南仏アルルで1年2ヶ月暮らし、“日本の夢”の中に没入していきながら、多くの傑作を生み出しました。アルルでは、浮世絵にも描かれたような草花が咲き乱れていて、四季折々の移り変わる情景を夢中で描いたそうです。
しかし、アルルは素晴らしい作品が誕生した場所だけではありませんでした。パリで出会った画家仲間を呼び、制作活動に勤しむ場である“芸術家の共同体”を作り、その為に“黄色い家”を借りて、みんなで絵を描くことを夢に見ていたゴッホ。そこで共同生活していたゴーガンとの言い争いが絶えなくなり、同居を解消されてしまいます。混乱してしまったゴッホは、自身の耳を切り落としてしまい、サン=レミにある療養場に入院します。退院後はオーヴェールに引っ越し、37歳で亡くなるまで毎日作品を描き続けました。絵筆を持ち続けたゴッホは何を伝えたかったのでしょうか?会場を巡りながらゴッホの作品とともに想いを馳せてみてください。
(写真:左)フィンセント・ファン・ゴッホ「タラスコンの乗合馬車」
ヘンリー&ローズ・パールマン財団蔵(フィンセント・ファン・ゴッホ財団所蔵)
(写真:右)フィンセント・ファン・ゴッホ「寝室」
ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵
しかし、アルルは素晴らしい作品が誕生した場所だけではありませんでした。パリで出会った画家仲間を呼び、制作活動に勤しむ場である“芸術家の共同体”を作り、その為に“黄色い家”を借りて、みんなで絵を描くことを夢に見ていたゴッホ。そこで共同生活していたゴーガンとの言い争いが絶えなくなり、同居を解消されてしまいます。混乱してしまったゴッホは、自身の耳を切り落としてしまい、サン=レミにある療養場に入院します。退院後はオーヴェールに引っ越し、37歳で亡くなるまで毎日作品を描き続けました。絵筆を持ち続けたゴッホは何を伝えたかったのでしょうか?会場を巡りながらゴッホの作品とともに想いを馳せてみてください。
(写真:左)フィンセント・ファン・ゴッホ「タラスコンの乗合馬車」
ヘンリー&ローズ・パールマン財団蔵(フィンセント・ファン・ゴッホ財団所蔵)
(写真:右)フィンセント・ファン・ゴッホ「寝室」
ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵
ゴッホの足跡を求めた日本人たち
ゴッホの死後、日本では彼を賞賛するようになります。時にはゴッホを看取った医師 ガシェの遺族のもとを訪れる者や、最期に暮らした町 オーヴェールに墓参りに行く者なども。会場では240人もの日本の画家や文学者たちの名前が記されている芳名録や、ゴッホの旅路をなぞらえた貴重な資料や写真の他に、甥との手紙などが展示されています。
洋画家の前田寛治(まえだかんじ)は、ゴッホがテオと仲良く眠っているお墓を訪れた記念に「ゴッホの墓」(写真:右)を制作しました。そして、洋画家の佐伯祐三(さえきゆうぞう)もオーヴェールを訪問して「オーヴェールの教会」(写真:左)を描きました。彼らはゴッホの足跡に想いを馳せて何を感じ取ったのでしょうか。
(写真:左)佐伯祐三「オーヴェールの教会」島根県立博物館蔵
(写真:右)前田寛治「ゴッホの墓」個人蔵
洋画家の前田寛治(まえだかんじ)は、ゴッホがテオと仲良く眠っているお墓を訪れた記念に「ゴッホの墓」(写真:右)を制作しました。そして、洋画家の佐伯祐三(さえきゆうぞう)もオーヴェールを訪問して「オーヴェールの教会」(写真:左)を描きました。彼らはゴッホの足跡に想いを馳せて何を感じ取ったのでしょうか。
(写真:左)佐伯祐三「オーヴェールの教会」島根県立博物館蔵
(写真:右)前田寛治「ゴッホの墓」個人蔵
ゴッホを感じられる展覧会
本展覧会は、フィンセント・ファン・ゴッホの油彩画やデッサン約40点、同時代の画家の作品や浮世絵など約50点に加え、関連資料を通してゴッホと日本の相互関係を探りながら新たな魅力を紹介しています。
また、ミュージアムグッズではロクシタンとのコラボで誕生したゴッホのオリジナル缶に入ったミニハンドクリーム、本展覧会のメインビジュアルである「花魁(溪斎英泉による)」や「黄色い家」から生み出されたソックスなど、思わず手にとってしまう可愛いグッズばかり。是非、お土産にいかがでしょうか?
もっとゴッホに想いを馳せてみたいという方には、11月3日より公開中のゴッホの名画を動く油絵で映像化した、ゴッホの死の真相に迫る絵画サスペンス映画『ゴッホ〜最期の手紙〜』もおすすめです。展覧会に映画にと、ゴッホの旅路を追体験してみてはいかがでしょうか。
また、ミュージアムグッズではロクシタンとのコラボで誕生したゴッホのオリジナル缶に入ったミニハンドクリーム、本展覧会のメインビジュアルである「花魁(溪斎英泉による)」や「黄色い家」から生み出されたソックスなど、思わず手にとってしまう可愛いグッズばかり。是非、お土産にいかがでしょうか?
もっとゴッホに想いを馳せてみたいという方には、11月3日より公開中のゴッホの名画を動く油絵で映像化した、ゴッホの死の真相に迫る絵画サスペンス映画『ゴッホ〜最期の手紙〜』もおすすめです。展覧会に映画にと、ゴッホの旅路を追体験してみてはいかがでしょうか。
photo / 新麻記子
『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』
会期:2017年10月24日(火)~2018年1月8日(月・祝)
会場:東京都美術館
開室時間:9:30~17:30
※会期中の金曜日(入管は閉室の30分前)
休室日:月曜日(1/8を除く)年末年始休館 12月31日(日)、1月1日(月・祝)
観覧料:一般1,600円、大学生・専門学校生1,300円、高校生800円、65歳以上1,000円
※中学生以下は無料