2人の建築家の人生を美しき映像で綴る『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』
- 公開:2017.10.14
- アート・カルチャー
10月14日より『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』が公開されます。近代建築の巨匠、ル・コルビュジエと、彼が生涯で唯一才能を認めたとされる女性、アイリーン・グレイの2人の建築家が、惹かれながらも相克しあう人生を映像で綴った映画をご紹介します。
惹かれながらも相克し合う、2人の建築家
近代的な建築が主流の1920年代、のちの近代建築の巨匠 ル・コルビュジエは、気鋭の家具デザイナーとして活躍していたアイリーン・グレイに出会います。彼女は、恋人である建築評論家のジャン・バドヴィッチとコンビを組み、建築デビュー作である海辺のヴィラ「E.1027」を手掛けていました。陽光煌めく南フランスのカップ・マルタンに完成したその家は、ル・コルビュジエが提唱してきた「近代建築の5原則」を具現化し、モダニズムの記念碑といえる完成度の高い傑作として生み出されました。当初はアイリーンに惹かれ絶賛していたル・コルビュジエですが、称賛の想いは徐々に嫉妬へと変化していきます。
そして1938年、事件は起こります。ル・コルビュジエは、アイリーンに断わりなく、邸内に卑猥なフレスコ画を描いてしまいます。これを知った彼女はル・コルビュジエの行為を「野蛮な行為」として批難し、彼らの亀裂は決定的なものになりました。
その後、大戦とともに「E.1027」は人々から忘れられ、打ち捨てられた後、競売にかけらてしまいます。そして、海運王アリストテレス・オナシスも参加したこの物件を買い戻すために奔走したのは、他でもないル・コルビュジエでしたー。
そして1938年、事件は起こります。ル・コルビュジエは、アイリーンに断わりなく、邸内に卑猥なフレスコ画を描いてしまいます。これを知った彼女はル・コルビュジエの行為を「野蛮な行為」として批難し、彼らの亀裂は決定的なものになりました。
その後、大戦とともに「E.1027」は人々から忘れられ、打ち捨てられた後、競売にかけらてしまいます。そして、海運王アリストテレス・オナシスも参加したこの物件を買い戻すために奔走したのは、他でもないル・コルビュジエでしたー。
創造に愛を込める、アイリーン・グレイ
昨年、上野の国立西洋美術館が世界文化遺産に登録されたことも記憶に新しい近代建築の巨匠、ル・コルビュジエ。彼の生涯で唯一才能を羨んだと言われる存在のアイリーン・グレイは、生涯に渡り自らのスタイルを貫きつづけ、気高く勇敢な女性です。2009年にクリスティーズで行われた「イヴ・サンローラン&ピエール・ベルジェ・コレクション 世紀のオークション」では、当時史上最高額の約28億円で落札された椅子を手掛けたことでも知られるアイルランド出身のデザイナー、建築家です。
彼女は、シンプルなデザインと多機能を誇り、建物と調和して住む人々の快適さを追求したインテリア作品を数多くデザインしました。そのほとんどは、自身の建築作品「E.1027」から生まれています。そんな南仏の海辺に立つ「E.1027」はモダニズム建築史上に残る傑作です。しかし、そこは長くル・コルビュジエの作とされ、アイリーンの存在は歴史の影に覆い隠されてきました。
彼女は、シンプルなデザインと多機能を誇り、建物と調和して住む人々の快適さを追求したインテリア作品を数多くデザインしました。そのほとんどは、自身の建築作品「E.1027」から生まれています。そんな南仏の海辺に立つ「E.1027」はモダニズム建築史上に残る傑作です。しかし、そこは長くル・コルビュジエの作とされ、アイリーンの存在は歴史の影に覆い隠されてきました。
オシャレなインテリア家具に注目
アイリーン・グレイは「何かをクリエイトするためには、常に疑問を持たなければならない」というモットーを持ち、人と家具との関係性を研究したり、制作において新しい素材を使用したり、常に積極的であり挑戦的な人物だったそうです。
時に日本の漆工芸に学んだり、様々な文化を吸収しては、自分のスタイルに適応させ、モダンインテリアの先駆けとなる作品を輩出していきました。作中に登場する数々のインテリア家具は試行錯誤によって生み出されたものです。彼女自らが椅子の高さを調整するシーンでは、妥協のない職人的な側面が汲み取れることでしょう。
時に日本の漆工芸に学んだり、様々な文化を吸収しては、自分のスタイルに適応させ、モダンインテリアの先駆けとなる作品を輩出していきました。作中に登場する数々のインテリア家具は試行錯誤によって生み出されたものです。彼女自らが椅子の高さを調整するシーンでは、妥協のない職人的な側面が汲み取れることでしょう。
“建築”の本質を考える
海辺のヴィラ「E.1027」は、思想と愛憎が広がる、ル・コルビュジエとアイリーン・グレイが“建築”について交わした場所です。「住宅とは、住むための機械である」というル・コルビュジエの言葉を引用するもよし、「営みを包む殻」というアイリーン・グレイの言葉を引合するもよし…。あなた自身が“建築”とは何かを考えてみる素晴らしい機会です。そこにはあなたのライフスタイルを豊かにするヒントが隠されているかもしれません。
photo / ©️ 2014 EG Film Productions / Saga Film©Julian Lennon 2014. All rights reserved.
『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』
10/14(土)よりBunkamuraル・シネマ他にて全国順次公開
監督:メアリー・マクガキアン
キャスト:オーラ・ブラディ、ヴァンサン・ペレーズ、ドミニク・ピノン、アラニス・モリセット
配給:トランスフォーマー
作品情報2015年/ベルギー・アイルランド/108分
『アイリーン・グレイ 孤高のデザイナー』
Bunkamuraル・シネマにて10月28日(土)より
※アイリーン・グレイの肖像に迫るドキュメンタリーも公開決定