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出会いを丁寧に積みかさねて。アクセサリー作家、中村なづきさんに学ぶ、自分らしい生き方

植物モチーフの精巧な作品でファンの多いアクセサリーブランド「Nakamura Nazuki(ナカムラナヅキ)」。制作を手がけるのは、作家の中村なづきさんです。作品の魅力をご紹介した前回に続き、今回は中村さんのアトリエで、ライフスタイルやアクセサリー作家になるまでのお話を聞きました。

出会いを丁寧に積みかさねて。アクセサリー作家、中村なづきさんに学ぶ、自分らしい生き方

隅田川沿いに見つけた、風通しの良いアトリエ

隅田川沿いにある「Nakamura Nazuki」の工房

隅田川沿いに佇む築約50年のマンションに、中村なづきさんのアトリエ兼住居はあります。「間取りと写真を見た瞬間、ここだと直感しました」という一室は、窓から東京スカイツリーと隅田川を望める風通しの良い空間。玄関から入ってすぐの部屋をアトリエと打ち合わせスペースに、その奥の和室をリビングと寝室として使っています。「生活にメリハリをつけたくて、仕事場と居住スペースがはっきり分けられる間取りを探しました」。

食事の時間がリズムを作る

中村さんの工房の一室

プライベートと仕事時間の区切りとなる、朝の過ごし方をたずねると、「私はやる気のスイッチを入れるのに時間がかかるので、朝はゆっくり時間をとるようにしています」とのこと。「ちゃんとご飯を食べて、コーヒーを飲みながらゆったり気持ちを整えて、9時頃から仕事を始めます」。
食べることが好き、と笑う中村さん。「朝だけでなく昼も夜も、食事の時間をきちんと取るようにしています。何かをしながらではなくて、キッチンに立ってお料理をして、ちゃんと食べる。そのことで時間の区切りがついて、リフレッシュにもなります」。
お料理や器集めも好きで、展示会で地方を訪ねる際に時間を見つけては、民芸の器屋や古道具屋を回るのだそう。

同じものとは、二度と出会えないかもしれないから

中村さんが愛用している道具たち

中村さんが愛用している箱や木箱などのアイテムたち

器屋や古道具屋めぐりと聞いてアトリエを見回してみると、机や木箱、ショーケース、工具入れなど、味のある古い家具や小物がたくさん。どうしたらこんなに素敵なものを集められるんでしょうか。「古道具や民芸の器って、全く同じものにはおそらく二度と出会えないんですよね。だから、生活用でも展示会用の什器でも、無駄使いじゃなく自分への投資になると思うものなら、即決することが多いんです」。

アパレル業からアクセサリー制作の道へ

アクセサリー作家の中村さん

運命的に出会った物件でお気に入りのものに囲まれ、アクセサリー制作に専念する暮らし。思わず憧れてしまう生活ですが、実は昔から作家の道を志していたわけではなく、活動を本格的に始めたのは20代後半から。
高校を卒業し、文化服装学院のスタイリスト科へ進んだ中村さんは、授業で初めてアクセサリーを作ります。とても楽しかったけれど、当時、自分は作り手になるタイプではないと考えていたので、それを仕事にするとは思いもよらなかったのだそう。卒業後は、希望していたアパレル会社へ就職。やりがいもありましたが、少しずつ、アクセサリー制作を本格的に学ぶために学校へ通いたいという気持ちが膨らんでいきます。
「新しい道へ進むことには、正直迷いや不安もありました。行き詰まりを感じて逃げているだけなのかなと自問したり。『仕事を辞めて今さら学校なんて』と反対されることもありました。でも、行動するなら今だと感じて心を決めたんです」。

本気が伝われば、背中を押してくれる人がいる

アクセサリーを作る作家の中村さん

こうしてアクセサリー制作を学び始めますが、必要な講義がなかなか取れず、イメージする作品を形にできないことで焦りを感じるように。思い悩み、ある鋳造加工会社へ作品の原型を持ち込みます。「もう必死の思いで、この形のアクセサリーを作るには何が必要かをたずねたら、丁寧なアドバイスをくれたんです。社長さんはすごく格好いい女性なんですが、後日、学校のことを相談したら『悩んでるなら辞めちゃいなさいよ。私たちが教えてあげるわよ』と。あっ、そういう選択肢もあるんだとスッキリして、学校を離れ、手探りで制作していくことを決めました」。
本気であることが伝われば、背中を押してくれる人がいると気付けた、と言う中村さん。こちらの会社とはそれ以来のお付き合いで、「今でも目茶目茶ダメ出しされます。自分で模索してから質問しないと怒られますし」と笑います。

踏み出すために大切にしていること

「Nakamura Nazuki」のアクセサリー

「アクセサリー制作で自活するイメージを描いてからは、まっしぐらでした」と話す中村さん。少しずつ仕事も増えていき、念願の一人暮らしを始めたのは30歳のとき。最初は、一人暮らしでやっていけるかなと不安もあったと言います。
そんなときに踏み出すためのアドバイスを聞いてみると、「私も、考えすぎて動けないことがあります。でも思い切って動いてみると、意外にシンプルに、スムーズに進むことも多いんです」との答えが。
やりたいことが見つからない人も、焦らなくていいのでは、と中村さん。「私自身、今の道を選んだのは20代半ばを過ぎてから。やりたいことが見えてから始めればいい、全然遅くないよって思うんです」。

巡ってきてくれた出会いと、丁寧に向き合っていきたい

アクセサリー作家の中村さん

中村さんから強く伝わってくるのは、人に対しても、ものに対しても、一つひとつの出会いをとても大切にされている姿勢。今の暮らしは、巡ってきた出会いに対して真摯に向き合い、丁寧に取り組むことをかさねた先に築かれているのだと感じました。

「一度に拡げようとするより、巡ってくるご縁にひとつずつ応えていく方が、性格に合ってるんでしょうね」と微笑む中村さん。
「いただいた機会に対して、100%の力で向き合うことを大切にしたいんです」。少しはにかみながら、でも真っ直ぐにこちらを見つめて、そう話してくれました。

photo / 谷川 慶典

この記事を書いた人

松崎 雅子 岡山県生まれ。情報誌、WEBメディアのライターを経てフリーランスに。趣味は街のフィールドワーク。地形や地名などから土地の歴史を読み解くのが好きです。愛犬はフレン...

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