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財布やGo Proケースも。遊び心満載の革のオーダーメイド、リメイク、リペアの店「N i H」

革のオーダーメイドと聞いただけで腰が引けてしまうという人は多いはず。でも日本橋小伝馬町にある「N i H(エヌアイエイチ)」の商品を見たら、その気持ちはきっと変わります!名刺入れから話題のカメラ「Go Pro」の専用ケースまで、どんな相談にも乗ってくれる注目のショップをご紹介します。

財布やGo Proケースも。遊び心満載の革のオーダーメイド、リメイク、リペアの店「N i H」

「まずは見本帳を…」ではなく、お話からスタート

NiHのオーダーメイドの革の色のサンプル

「N i H」は、革のオーダーメイド、リメイク、リペアを行うアトリエ兼ショップ。店頭には革職人、平野さんのブランド「AKIRA HIRANO」の何種類かの商品と縫い糸の見本がいくつか並んでいるだけで、まるでギャラリ―のよう。オーダーメイド店と聞いて、てっきり革や商品の見本だらけなのかと思っていたので、ちょっとびっくりです。
 平野さんは、オーダーメイドのお客様が来ると、サンプルなどを見せるのではなく、相手の話を丁寧に聞くといいます。自分用なのかプレゼントなのか、好きな色はもちろん、職業や生活パターン、趣味などを聞くこともあるそう。時には話が脱線して、依頼とは関係ない話題で盛り上がってしまうことも(実際、取材の時もかなり脱線してしまいました)。でも、こうした時間が平野さんにとっては何よりも大切だと言います。

NiHのオーダーメイドの革の財布

 平野さんがお客様との会話を大切にするのには理由があります。それは使う人にとって何がベストな状態であるのかを聞き出すため。
 たとえば、あるご夫妻が「AKIRA HIRANO」の既存の財布の色違いをペアで作って欲しいと店にやってきました。ところが話をしていくうちに奥様にはサイズが少し大きいということになり、結局カード入れの向きを変更するなどのデザイン変更を行いました。デザインを変えると強度の持たせ方も変わってくるので、ただ向きを変えればいいという問題ではありません。この他、色や質感、革を縫う糸の色までとことん話を聞いた後に、ようやく素材選びが始まります。
 アトリエにある在庫の革を使うこともありますが、話し合いの中で平野さんの頭の中に浮かんだイメージを求めて革屋さんへ赴き、1日、あるいは何日もかけて納得のいく素材を探すことも稀ではありません。そんなに手間をかけるのは使う人それぞれの暮らしに寄り添い、長く使える商品づくりを目指している平野さんが、お客様の声をひとつでも多く聞いて商品に反映させたいと考えているから。

まるでアクセサリーのようなGo Pro専用ケース

財布やGo Proケースも。遊び心満載の革のオーダーメイド、リメイク、リペアの店「N i H」

 平野さんは「これを作りたい」というはっきりしたイメージが自分の中にはないと言います。お客様の声があって、素材が決まり、そこで初めて自分の中にイメージが湧いてくるのだそう。そんな中で生まれた面白いもののひとつが「Go Pro」の専用ケース。「N i H」の近所にスタジオを構えるカメラマンから依頼を受けたときは、正直「Go Pro」がどういうものかもよくわからなかったんだとか。それでも、依頼主の思いを形にすべく試行錯誤を重ね、何度も試作品を作ってようやく完成したのが写真の商品です。単なるケースではなく、人に見せて自慢したくなる可愛いフォルムは、ストラップをつけて首にかければまるでアクセサリーのよう。私は一目見て、このケース欲しさに「Go Pro」を購入しようかと真剣に悩みました。

待つ時間を楽しむという究極の贅沢

NiHのオーダーメイドの革の小物を製作する革職人の店主

 「N i H」の商品は全てクチュールセリエ(総手縫い)。時間はかかりますが、平野さんが考える美しい縫い目と強度を保つためには今のところ総手縫いが一番なのだとか。「でも何がなんでも手縫いと思っているわけではないので、同じように縫えるミシンがあれば使うかもしれません」(平野さん)。平野さんがこだわるのは職人としてのプライドなどではなく、あくまでもお客様ひとりひとりの声に応えるものづくり。
 最近では欲しいものをネットで注文すれば、早ければ当日に手に入れることができる世の中。そんな中で、欲しいものをゼロから考え、素材を探し、出来上がるまで待つという行為は時代に逆行しているかもしれません。だからこそ「待つ時間そのものを楽しんでいただけたら」と平野さんは言います。どんな風に仕上がっているんだろうと待つワクワク、確かに最近では体験する機会も減っていますよね。

ネットショッピングではできない体験をぜひアトリエで

NiHのオーダーメイドの革のGoProカメラケース

 世の中にあるものの中から間に合わせでものを選ぶのではなく、時間をかけて本当に欲しいものを手に入れ、それを大切に使っていく。それこそが本当の贅沢なのではないでしょうか。「N i H」ではオーダーメイドだけでなく、リペアやリメイクも丁寧に相談に乗ってくれます。ぜひ自分だけの1点ものを作りに、平野さんに相談しに出かけてみませんか。

photo / N i H 、Sano Aki、カオリーヌ

N i H
東京都中央区日本橋小伝馬町17−6

http://www.nih-life.com/

この記事を書いた人

カオリーヌ 女性情報誌、グルメ系雑誌などでライターとして執筆。そのほか、文芸小説の編集も担当。担当作品が山本周五郎賞の最終候補作品にノミネートされる。プライベートでは、...

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