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ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

およそ222種の哺乳類と15,000種の植物が茂るボルネオ島。これだけの命を育めたのは熱帯雨林のおかげです。でも、この半世紀でジャングルの面積は1/3に減少(2015年時点)。
その現実をいち早く知った「サラヤ」は2004年から環境保全と持続可能なものづくりに尽力しています。同社が取り組む現場を、共に活動する「ボルネオ保全トラスト・ジャパン」の中西宣夫さんと巡りました。

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

1970年代から急速に拡大したプランテーション

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

どこを見ても木でいっぱい!サバ州サンダカンの道中ではおなじみの光景です。一見すると豊かな緑に囲まれているという印象を受けます。でも、これは熱帯雨林を伐採して拓かれたプランテーション(大規模農園)なのです。

「サラヤ ボルネオ調査員」として2004年から現地に通う中西宣夫さん曰く「かつてこの地域は天然ゴムの生産で栄えていました。ところが石油系合成ゴムが市場を席巻するにつれて、衰退。次なる生活の糧を模索していた頃に、アフリカで自生するアブラヤシから油が取れるという情報が入りました。実験的に植林すると、外来種であるがゆえに病害虫の原因となるものもなく、すくすくと成長。期待していた以上に油が獲れたのです」。

タフなだけでなく年に3度も収穫できる!

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

農園では樹齢3〜4ヶ月の苗木を植樹し、アフリカから輸入したゾウムシで受粉をさせます。そうして樹齢6ヶ月を迎える頃に実は完熟。1本の木から3個の実が落ちたら収穫の時期を迎えたサインになるそう。

「手間がかからずたくさんの油が取れると分かり、瞬く間に広がりました。当初は処分していた種からも搾油できると知り、しかもそれがココヤシの油と似た組成を持っていた。そのため石鹸や洗剤の原料として重宝されるようになります。さらに果肉から取れる油は、チョコレートやインスタントラーメンなど食品にも活用されるので、パーム油の需要はうなぎ上りとなりました」

アブラヤシがジャングルを埋め尽くす

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

「『サラヤ』がヤシノミ洗剤を発売したのは1971年です。『人と地球にやさしい』をコンセプトにココヤシの油から作った植物系洗剤でした。80年代になると気候に左右されるヤシ油よりも供給が安定しているアブラヤシから採れるパーム核油も使うようになりました。洗った後の排水は微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、環境にも負荷がかかりません。日本を代表するエコな洗剤だと評価されていました」と、中西さんは語ります。

ところが、2004年に転機が訪れます。原産地であるボルネオ島では、違法に熱帯雨林が伐採されアブラヤシの農園が拡大していました。それによりボルネオゾウやオランウータンなどの野生動物が絶滅危機にあるというのを報道するテレビ番組に対し、ほとんどの企業が拒否する中、唯一、パーム油を使用する企業として取材を受けたのです。

「社長の更家(悠介)からすると、ボルネオ島の状況は寝耳に水でした。番組を通じてジャングルを取り巻く過酷な現実を知り、いてもたってもいられなくなったそうです。『サラヤ』として何ができるか。状況を把握するために、当時、大学院で国際協力を学んでいた僕に声がかかり、現地へ赴くことになりました」

豊かな自然を蘇らせながら、働く人の生活も持続できるように

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

ボルネオのジャングルに足を踏み入れ、想像以上に衝撃的な現実を目の当たりに。農園に仕掛けられたワナに引っ掛かるボルネオゾウが後を絶たなくなっていたのです。そして、本来であれば絶滅危惧種ゆえに保護される存在が、害獣として扱われていました。

また、リサーチを進めるにつれてパーム油の使い道は食用が約85%、非食用は約15%であることも分かります。

「石けん・洗剤メーカーの中で大きな企業ではない『サラヤ』がパーム油を使うのを止めても、状況は何も変わりません。また、マレーシアは世界2位のパーム油生産国でおよそ57万人が従事しています。環境を守りながら人々の暮らしも続ける方法を考えてサポートするのが、私たちにできることだという結論に達しました」

傷ついたボルネオゾウを救うために熱帯雨林へ

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

「初めての任務はケガをしたボルネオゾウの救出でした。右も左も分からないジャングルを彷徨ったものです」と、中西さんは感慨深そうに話してくれました。サバ州の野生生物局と連携し、森の中をパトロール。傷を負ってしまったボルネオゾウを麻酔銃で眠らせて施設へ運んで治療と保護をする施設を運営していました。

オランウータンが森を移動するための「命の吊り橋プロジェクト」

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

中西さんのミッションはボルネオゾウのレスキューにとどまりません。森林伐採によって行動範囲が狭くなり、泳ぐことができないオランウータンが川向こうの森へと渡れるように、吊り橋を架けるプロジェクトも並行していました。メナンゴール川をはじめキナバタンガン川の支流に6つの橋を架けていきます。「サラヤ」の本社がある大阪府東住吉区の消防署から廃棄予定の消防ホースを譲り受けて、製作。

「用心深いオランウータンに川向こうの森に行ける橋だと分かってもらうために、僕が最初に渡りました。姿は現さなくても、樹上から彼らはこの吊り橋をじっと見ていると思ったんですよ」

失われた森を取り戻す「緑の回廊プロジェクト」

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

活動を続けるうちに対症療法では問題の解決は難しいと悟ります。「サラヤ」はさらにアクションの内容を広げます。まずは「緑の回廊プロジェクト」を始動。キナバタンガン川沿いに点在する野生動物保護区の周辺の農地を所有者から買い戻します。そして森を拡大させて動物の生息地を確保し、ボルネオゾウやオランウータンが絶滅する道を閉ざしていくのです。

「試算すると農地の買い戻しには200億円くらいかかることが分かりました。サラヤ一社で賄える金額ではありません。そこで2006年に環境保全団体『ボルネオ保全トラスト』を設立しました。ボルネオ島を守ろうと奔走する企業や団体と手をつなぐことにしたのです」

ボルネオゾウが森でまたのびのびと暮らせる未来を夢見て

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

2013年に「サラヤ」はゾウのリハビリ施設「ボルネオ・エレファント・サンクチュアリ 」の建設にも尽力します。野生生物局管轄の下、現在はオス4頭とメス2頭が保護されています。ただ残念なことに新型コロナの流行で資金ショートが起こり、2022年に建設は一旦ストップ。今年中の再開を目指しています。今後はボルネオゾウの病院もできる予定。

「まだ、企画段階ではあるのですが『ゾウのフードコリドープロジェクト』を政府や専門家と練っています。キナバタンガン川沿いにボルネオゾウが好むネピアグラスという草を植えます。彼らの移動する道と食糧を確保する試みです。ただ、近隣の住民にとってボルネオゾウはせっかく育てた作物を荒らして家も壊すという脅威の存在であるのも事実。一極に集中するとどんなことが起こるのか……。という地元の人の恐怖心を取り除くために、丁寧に話し合いを重ねる必要もあります」

サスティナブルなパーム油であるために

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

「2005年1月に『サラヤ』は日本企業で初めて『RSPO』に加入します。当時はルール作りの真っ最中。サラヤも会議に出席して意見を出していました」

RSPOとは Roundtable on Sustainable Palm Oil の略で、日本語では「持続可能なパーム油のための円卓会議」と訳されます。パーム油産業にまつわる7つの業種が手を組んで、自然と労働環境に配慮された生産を続けるための知恵を絞っています。4段階の基準を設け、クリアした品物にはマークが印字されています。私たち消費者は「RSPO認証マーク」がある製品を購入することで、エシカルで持続可能なパーム油の生産を支援できます。さらには熱帯雨林の保護にもつながるのです。

「2007年にルールが整備され、2010年から施行されます。『サラヤ』ではスタートと同時に『RSPO認証マーク』のパーム油を原料にした製品を流通させました。『RSPO』発足時は加盟数は64団体でした。環境保全運動の高まりと共に、理解を示す人々が増え、今では世界でおよそ5,780団体(2023年時点)まで広がっています」

「RSPO」を取得したサバ州最大の「サウィット キナバル農園」

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

サバ州の中でも大規模農園のひとつである「サウィット キナバル農園」。東京ドーム約598個分に相当する面積の畑を持ち、アブラヤシのほかにドリアンやココナッツも栽培しています。「RSPO」認証とマレーシア政府が設けたアブラヤシ保全のルール「MSPO」も取得。いわば、プランテーションのお手本なのです。

アブラヤシの実はカマを使って収穫

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

およそ570人が働く農園で収穫を担うのは118人です。完熟した実をカマで一つずつ採っていきます。「1個あたり30kgの重さがあります。とてもハードな作業になるのですが、彼らは1日に1t近くを切り落としています」

獲れたての果実と種から搾油

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

完熟したアブラヤシは腐敗が早いため、午前中に収穫したらすぐに搾油をします。タンクに入れて高圧蒸気でやわらかくし、油を搾り出します。その後は種と搾りかすを分類。
「一連の過程で出た排水は池に溜めて微生物に分解をさせます。きれいな状態に戻して自然へと還しています」

オーガニック栽培を実践する小さな農園もサポート

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

アブラヤシを中心にさまざまな木が茂るのは、ゾウのリハビリ施設「ボルネオ・エレファント・サンクチュアリ」の近くで親子三代に渡ってアブラヤシを育てるハッサンさんの畑です。

「農園主は『サラヤ』が支援する持続可能なパーム油生産を目指す小規模農家のグループ『ワイルドアジア』で、代表を務めています。父親からオーナーを譲り受けた時に、アブラヤシ農園の未来を見据えて有機栽培に切り替えました。敷地内にアブラヤシ以外の植物を生やしているのも、多様性を尊重しているから。ほかにもさまざまな挑戦をしています」

アブラヤシの木の下でジンジャーを栽培

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

「柵を囲っているエリアでは生姜を育てています」
土壌を豊かにするためにアブラヤシの葉を焼いてバイオ炭にしたものと野菜のクズを混ぜた液肥を使用しています。循環する農業にチャレンジしているため、これらも自作していました。

ボルネオゾウとの共存も模索中

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

「実はアブラヤシ農園における天敵にガムデルマンという大きなきのこが挙げられます。これが生えると果実の4%が無駄になるため、畑を燃やさなくてはいけなくなります。ただ、土壌の微生物が増えればきのこの発生は防げます。その対策として、コンポストを作っています。その内訳は『ボルネオ・エレファント・サンクチュアリ』から譲り受けたボルネオゾウのフンと枯れ葉。まだ実験段階なので、真価は未知数です」

小規模農園から実践し、成果を得られたら大規模農園にも拡大していくつもりとのこと。ボルネオゾウと人間の暮らしが同居できる将来は、すぐ近くにきています。

日本にいてもジャングルの保全に参加できる

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

すべての活動の始まりとなったヤシノミ洗剤。「RSPO認証」を取得し、洗い流した後の排水は微生物によって水と二酸化炭素に分解され地球へと還ります。手肌へのやさしさと汚れの落ちやすさが共存する洗浄濃度16%。売り上げの1%を「ボルネオ保全トラスト」へ寄付。「緑の回廊プロジェクト」などに役立てられます。

左からヤシノミ洗剤 500ml、ヤシノミ洗剤プレミアムパワー 200ml ともにオープン価格

カーボンニュートラルな製品づくりを実現

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

ハッピーエレファントは「RSPO認証」のパーム油と糖を栄養にして天然酵母が発酵すると生み出される天然洗浄成分ソホロと、植物性洗浄成分、食品成分の組み合わせからつくられています。ボトルの一部に植物由来の樹脂を使用。また売り上げの1%は「ボルネオ保全トラスト」へ寄付され、動物と熱帯雨林を守るために使われます。

左から野菜・食器用洗剤 グレープフルーツ 300ml、液体洗たく用洗剤 コンパクトタイプ 600ml ともにオープン価格

洗浄力とやさしさを実感するプレゼント

ボルネオ島の森と生きものを支えて20年目を迎えた「サラヤ」の軌跡と挑戦

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「ボルネオ保全トラスト・ジャパン」理事・中西宣夫さん

2004年に「サラヤ」がボルネオ島の環境問題に乗り出したのをきっかけに、同社の活動に参加。現地での調査やプロジェクトの実施。さらには「RSPO」認証にまつわる業務に携わる。また、国内ではパーム油の啓発活動や講演も行う。

「サラヤ」ボルネオ環境保全活動

https://www.yashinomi.jp/environment/

この記事を書いた人

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