斬新なデザインなのに、どこか懐かしい木のぬくもり。国産素材を使った注目の家具ブランド「KIKOE」
- 公開:2016.3.30
- インテリア・生活雑貨
杢目が大胆に斜めに配され、まるでヨーロッパ製のような斬新なデザインの家具「KIKOE」。実は京都産を主とする国内産の木材を使った、京都発のブランドなんです。自然に優しく、デザイン性に優れた、KIKOEの魅力に迫ります。
京都の老舗家具店が生み出した、モダンで温もりのある家具ブランド
杉箪笥といえば杢目をそろえ、木の節が目立たないように作られたいわゆる和箪笥。そんな今までの常識を覆す家具ブランド「KIKOE」が、家具好きの間で密かな話題となっています。あえて、色の違う無垢材を交互に配し、それを斜めに使った鏡板が特徴のこの家具は、同ブランドの初めてのシリーズ「ヒザシ」。その名の通り、降り注ぐ陽射しを思わせるどこか懐かしい雰囲気が印象的です。
このモダンな家具を作っているのは、京都府の郊外にある、昭和35年創業の老舗家具店、株式会社溝川。もともと、オーダーメイド家具を中心に、国産材を買い付け、製材、天然乾燥、木取り、加工、組み立て、塗装、仕上げまでを通して行い、丹精こめた家具づくりをすることで、顧客の信頼を得てきました。
このモダンな家具を作っているのは、京都府の郊外にある、昭和35年創業の老舗家具店、株式会社溝川。もともと、オーダーメイド家具を中心に、国産材を買い付け、製材、天然乾燥、木取り、加工、組み立て、塗装、仕上げまでを通して行い、丹精こめた家具づくりをすることで、顧客の信頼を得てきました。
京都の若きデザイナーとの出会いが、新たな息吹を
しかし、時代はうつりかわり、世の中は輸入材を使った量産品の家具が主流となっていきます。そんな中、同社では国土の3分の2が森林である日本だからこそ、「身近にある国産材を生活に取り入れることが、この国らしい豊かな暮らし」と考え「国産材を職人が丁寧に仕立てる家具づくり」を目指すことにしました。
そんな中、ある縁で京都で活動していたデザイナー綾利洋氏(o-lab)と出会い、新ブランド立ち上げの話が本格化しました。ただ、どんなにいいものを、高い志で作ったとしても、お客様が使いたいと思ってくれなくては意味がありません。従来の国産材を使った家具は露骨な和テイストのものばかりで、現代のインテリアには合わせづらい。そこで国産の杉や桧をつかった家具といえば昔ながらの高級和ダンスという既成概念をとりはらうことが、キーワードとなりました。
そんな中、ある縁で京都で活動していたデザイナー綾利洋氏(o-lab)と出会い、新ブランド立ち上げの話が本格化しました。ただ、どんなにいいものを、高い志で作ったとしても、お客様が使いたいと思ってくれなくては意味がありません。従来の国産材を使った家具は露骨な和テイストのものばかりで、現代のインテリアには合わせづらい。そこで国産の杉や桧をつかった家具といえば昔ながらの高級和ダンスという既成概念をとりはらうことが、キーワードとなりました。
常識を超えたデザインと、職人技が生み出した「木の声が聴こえる暮らし」
そうして出来上がってきたデザインを見て、溝川の職人たちは驚愕したと言います。木材を斜めに配したデザインはとても美しく斬新ですが、時間の経過とともに乾燥して縮んだり、そり返ってしまうという木の性質を考えると、それは実用的ではなかったからです。それらの問題点を、職人の経験と技術が、ひとつひとつクリアし、何度も綾氏と話し合い、試行錯誤を重ねたそうです。
そして新ブランド構想から2年、ついに思い描いた家具が誕生しました。ブランド名の「KIKOE」は、「木の声が聴こえる暮らし」というコンセプトから名づけられました。素材は京都府産の杉や桧にこだわり、無垢材を使うことを前提とした家具からは、木材の芳香が立ち上り、展示会に訪れる人を笑顔にしたと言います。
そして新ブランド構想から2年、ついに思い描いた家具が誕生しました。ブランド名の「KIKOE」は、「木の声が聴こえる暮らし」というコンセプトから名づけられました。素材は京都府産の杉や桧にこだわり、無垢材を使うことを前提とした家具からは、木材の芳香が立ち上り、展示会に訪れる人を笑顔にしたと言います。
使えば使うほどに自分のものになっていく、暮らしのパートナー
杉は日本の固有種です。日本の気候に最も合った素材を使い、伝統の技術に支えられつつも、今の暮らしにあったデザインの「KIKOE」。無塗装の桧材の表面は、最初は赤ちゃんの肌を思わせるピンク色。やがて使い込むうちに、薄黄色を経て、飴色に変化するといいます。そんな経年変化を楽しめる、使う人の暮らしに長く寄り添ってくれる家具がある空間は、きっと日々の暮らしを豊かにしてくれるはずです。
photo / たやまりこ、綾 利洋
KIKOE(株式会社溝川)
329-2501
京都府京丹後市大宮町口大野104
綾利洋
「o-lab(オーラボ)」代表。
京都大学、米国Yale大学で化学修士号を取得し製薬会社で研究に従事した後、米国のデザイン事務所にてデザイナーとしてのキャリアを開始。その後、ものごとをより良くするための様々な「おぉ」を考えるデザイン事務所「o-lab」を京都にて2011年に設立。日用品や伝統工芸とのコラボレーションから先端医療機器まで、分野を横断してデザイン、ブランディング、ディレクションなどを手がけている。