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猫が教えてくれること「生きる術」/ガラス作家・松本裕子さんの場合vol.1

猫の猫らしい行動に、自分の生き方を重ねてハッとする瞬間があります。ガラス作家の松本裕子さんもその一人。初対面の時からお腹を見せるほど愛想がよく、お行儀のいい元野良猫の「雨」。雨が雨らしくなった理由に、松本さんは思いを馳せます。

猫が教えてくれること「生きる術」/ガラス作家・松本裕子さんの場合vol.1

おじいちゃんに間違われて

ガラス作家・松本裕子さんに抱かれる猫「雨」

「雨」(推定5歳・オス)は元野良猫。2年前、地域猫の面倒をみている方に保護され、去勢手術を受けて(耳先のカットは不妊・去勢済みの証)、元いた場所に帰されるはずでしたが…。

「保護してくださった方は、雨の穏やかな性格と今の半分くらいだった体重、ヨレヨレした動作などから、雨を相当な老猫だと判断。元いた場所にリリースしたら死んでしまうかも…と、ご自宅で面倒をみることにしたのだそうです」

ガラス作家・松本裕子さんの愛猫「雨」が横たわる姿1

「でも、しばらくすると、雨の体重はみるみる増え、獣医さんに詳しく診てもらうと、推定2・3歳であることが判明。これならば安心!と改めてインターネットで里親募集をかけられました」

こう話すのは、その里親募集を見て、雨を引き取ることに決めた、ガラス作家の松本裕子さんです。松本さんは自宅の一室にあるアトリエ・涙ガラス制作所で、ガラスのアクセサリーを作っています。

雨の性格は、そのまま雨の生きる術

ガラス作家・松本裕子さんに撫でられる猫「雨」

1年半前、保護した方に連れられて、雨が松本さんの家にやって来たのは、ちょうど雨の日でした。

「キャリーバッグから恐る恐る出てきた雨が、パッと飛び込んだのは、うちで亡くなった先住猫の猫ちぐら。すると、保護されていた方が、その様子を見て言うんです。『そのおうちはもう雨ちゃん一人のものだからね。いいんだよ、いいんだよ』って何度も。

聞くと、その方の家には、病気や老衰で元いた場所に帰せない猫がたくさんいて、他の猫との争いを好まなかった雨は、いつも遠慮して小さくなっていたと。だから、もう誰に遠慮することもなく、伸び伸びさせてあげられることが嬉しいと」

ガラス作家・松本裕子さんに抱かれる猫「雨」の足元

「雨は野良猫として生きていたのが信じられないほど穏やかで、うちで暮らし始めてからも家族はもちろん、エアコンを修理にしに来た電気屋さんにまで平等に愛想よくして、『これはダメなの』とお願いしたことは二度やらない。

雨が保護されるまで、どうやって生きてきたかはわかりませんが、雨の健気さは、そのまま雨の生きる術だったのかなと想像します」

雨の手抜きはしあわせの証

ガラス作家・松本裕子さんの愛猫「雨」が横たわる姿2

「うちに来て1年くらい経った頃から、雨はエサを食べる前に振り返って、エサを狙う他の猫がいないかどうか確認するのを止めました。たくさんの保護猫たちと暮らしていた時、争いを避ける術として身に付けたクセがようやく抜けたんです。私たち夫婦への接待とも思えるようなお愛想も、ちょっとずつ手を抜くようになりました(笑)。ここでは何をどうしたって愛されるということに、ようやく気づいてくれたのかもしれません」

ガラス作家・松本裕子さんの愛猫「雨」の寝顔

松本さんが雨から教わったのは「生きる術」です。

「雨は争いを避けること、猫にも人にも愛想よく、お行儀よくすることで生き延びてきました。私のようにものを作ってというのではなく、自分の持っているものだけで、厳しい環境を生きてきた。雨はすごいです」

いつもニコニコしているのも、いつもカリカリしているのも、その人が生きるために身につけた術なのかも…そんな想像力は、周りの人たちとの人間関係を少し丸くしてくれるかもしれません。さて、次回は、松本さんがお空に見送った先住猫ちゃんたちのお話です。お楽しみに!

photo / 筒井聖子

この記事を書いた人

宇佐見明日香 編集者・ライター。女性の「生き方」「暮らし方」などライフスタイルにまつわるインタビューを中心に、企業人や起業家のインタビューを得意とする。“しつもんは愛だ”を...

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