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猫が教えてくれること「居場所」/地域計画学研究者・江口亜維子さんの場合vol.1

猫の猫らしい行動に、自分の生き方を重ねてハッとする瞬間があります。地域計画学研究者の江口亜維子さんもその一人。お向かいの庭で生まれた4匹の子猫。その中の1匹の「うり」を引き取るきっかけになった、ある晩の事件とは?

猫が教えてくれること「居場所」/地域計画学研究者・江口亜維子さんの場合vol.1

お向かいの家の庭で生まれた4匹の子猫

地域計画学研究者・江口亜維子さんの愛猫・うり2

「うり」(12歳・メス)と江口さんとの出会いは2007年の春。その当時、江口さんが住んでいた阿佐ヶ谷住宅のお向かいの家の庭で生まれたのがうりでした。

「以前からお向かいの家の庭でよく見かけた、まだほんの子猫だと思っていた子が実は母猫で、ある日、よちよち歩きの4匹の子猫を引き連れて登場した時は、『あなたがママなの!?』とびっくりしました。お向かいさんが飼っているのかな?と思いきや、どうやらそうでもなさそうで…。玄関先でエサをあげ始めてからは、私が仕事から帰宅する音を聞きつけては、家族でわらわらとやって来るように」

夜中に子猫の声がして、玄関を開けると…!

地域計画学研究者・江口亜維子さんの愛猫・うりが寝そべった様子

4匹の子猫たちの中でも、一番、引っ込み思案だったうりと江口さんの距離が縮まったのは、出会いから5ヵ月ほど経った頃でした。

「夜中、玄関先で子猫の鳴く声がしたので出てみると、体にネズミとりもちをベッタリと付けたうりがいました。とりもちには、枯れ草などもくっ付いていて、ただ事ではない様子。どうやって助けていいのか分からず、とりもちがついた部分の毛をカットしました。うりは、その間じっとしていて、身ぎれいになってもなかなか側を離れようとしないので、初めてひと晩一緒に眠りました。

翌朝、離れがたくなり、このままうちで飼えたら…とも思ったのですが、その時のうりは首輪をしていて、誰かに世話をされている様子でした。なので、うりの首輪に、毛をカットした事情と自分の連絡先を書いた手紙を巻き付けて帰したんです。すると、ひと晩と置かずにやって来たうりの首輪に新しい手紙が巻かれていました。見ると、近所の食堂のママさんからで、地域猫として近所の散歩仲間とうり一家の面倒を見ていると書いてありました。その後、食堂のママさんとお向かいさんと直接話をして、飼えるなら飼って欲しいという希望を聞き、晴れてうりを引き取ることに」

動物の本能で見つける居場所

地域計画学研究者・江口亜維子さんが話す様子

ネズミとりもちの一件から、うりがわが家で暮らすようになると、母猫は江口さんの家に一切、寄り付かなくなったと言います。

「まるで『あとはお任せします』と託されたような気がしました。4兄弟のうち1匹は行方が分からなくなってしまいましたが、母猫とママが大好きだった兄猫は依然、お向かいさんの庭を寝ぐらにしていました。そして、残りの1匹にも飼い主が決まったと食堂のママさんが教えてくれました」

うりとの出会いの地・阿佐ヶ谷住宅から現在に至るまで、引っ越しを重ねること3回。引っ越しする度に、うりから教えられることがあると江口さんは言います。

「『家につく』と聞いていた猫の方が、私よりも新しい環境に慣れるのが早いんです。引っ越す先々でうりが見つける居心地のいい場所、たとえば外が見えて風の通る窓辺や、日が差し込む玄関、静かな押入れの奥。どんな場所にも自分の居場所を見つけられるうりを頼もしく、見習わなければと思わされます」

地域計画学研究者・江口亜維子さんの愛猫・うりが寝そべる後ろ姿

江口さんはコミュニケーションが生まれる場づくりを研究しています。全国各地を回って、その町で調達した食材を、その町の人たちと調理して、一緒に食べる「カレーキャラバン」や沿道スペースに野菜やハーブなどのプランターを置き、町のみんなで育てて、みんなで食べる(食べられる景観づくり)「エディブルウェイ」などが主な活動です。そんな江口さんだからこそ、誰に教えられることもなく、どんな環境下でも動物の本能で居心地のいい場所を探し出す、そんなうりのたくましさに励まされることも多いのかもしれません。

あなたにとって、居心地のいい場所はどこですか?私たち人間も動物の勘を働かせて、とっておきのマイプレイスを見つけたいものです。さて、次回は、ご近所さんたちから「ヤンママ」と呼ばれていた、うりのお母さんのお話です。お楽しみに!

photo / 江口亜維子、筒井聖子

地域計画学研究者・江口亜維子
(千葉大学大学院 園芸学研究科 博士後期課程)

http://ikoiko.info

この記事を書いた人

宇佐見明日香 編集者・ライター。女性の「生き方」「暮らし方」などライフスタイルにまつわるインタビューを中心に、企業人や起業家のインタビューを得意とする。“しつもんは愛だ”を...

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