日本人のもの作りの良さを愛し、気持ちを共有する空間「baku」が北千住にオープン
- 公開:2019.5.2
- インテリア・生活雑貨
私たちの周囲にあるさまざまな雑貨。お気に入りのものが身近にあるだけで、生活に彩りが加わります。そんな雑貨を探している人におすすめなのが東京・北千住にある「baku(バク)」。オーナーが一つひとつ厳選して商品を集めているお店を訪ねてみました。
自分が好きなものの良さをみんなに伝えたい
JRや東京メトロ、私鉄など5つの路線が乗り入れる北千住駅。そこから徒歩5分ほどのところに2019年2月select gallery & bar「baku」がオープンしました。駅近の商店街を抜けた住宅街の一角。もとは民家だった建物をリノベーションした店内に並ぶ品々は、ほどよい距離感、手に取りやすい位置にレイアウトされていて、店名のとおりギャラリーのようです。この雑貨のセレクトショップで扱う商品を集めているのは店長兼バイヤーのTさん。bakuを開く前はバーなどの飲食業にかかわっていたのだとか。
「母親が磁器作家なので、子供の頃からもの作りのすばらしさ、喜び、苦しさなどはずっと感じていました。一時はもの作りの道に進もうかと思ったこともあります。しかし、自分は作るより見る方が好きだと気づいて、いつか自分が好きなものの良さをみんなに伝える仕事をしたいなと思っていました」(Tさん)
「母親が磁器作家なので、子供の頃からもの作りのすばらしさ、喜び、苦しさなどはずっと感じていました。一時はもの作りの道に進もうかと思ったこともあります。しかし、自分は作るより見る方が好きだと気づいて、いつか自分が好きなものの良さをみんなに伝える仕事をしたいなと思っていました」(Tさん)
作家の思いがわかれば、もっと大切に使いたくなるはず
いずれ、自分の店を持ちたいと持っていたTさんは、飲食業の仕事の傍ら10年ぐらいの時間をかけ、日本全国のもの作りの現場を訪ねて、ものを見たり話を聞いたりしてきたのだとか。
「ものは、それを作っている作家の思いを知ってこそ、より価値があるものになります。使う側も、作家の思いを知れば、もっともっとそれを大切にしようと思うのは当然でしょう。もの作りをしている人の中には、そういう思いを表現するのが得意ではない人もいるので、この場所がそれを伝える場所になればいいなと思いました」(Tさん)
そんなTさんの思いを形にしたのが、併設のバーカウンター。雑貨のセレクトショップにバーカウンター。一見不思議な組み合わせに思えますが、好きなものについて語り合い、気持ちを共有するスぺースになればということで作ったのだそうです。
「ものは、それを作っている作家の思いを知ってこそ、より価値があるものになります。使う側も、作家の思いを知れば、もっともっとそれを大切にしようと思うのは当然でしょう。もの作りをしている人の中には、そういう思いを表現するのが得意ではない人もいるので、この場所がそれを伝える場所になればいいなと思いました」(Tさん)
そんなTさんの思いを形にしたのが、併設のバーカウンター。雑貨のセレクトショップにバーカウンター。一見不思議な組み合わせに思えますが、好きなものについて語り合い、気持ちを共有するスぺースになればということで作ったのだそうです。
ものを見たときに何かひっかかりを感じ取ってほしい
Tさんと一緒にbakuを運営するオーナーのKさんは、カメラマンとして働いた後にギャラリーで写真作品を販売する仕事に従事していたのだとか。Tさんの熱意に共感して一緒にお店を持つことになりました。
「私も写真という作品を作っていたからわかるんですが、作家はものすごく長い時間をかけて考え、心も体も削ってものを作っています。それを知らずに、買う側が『かわいい!』と、印象だけで買うのでは寂しいじゃないですか?だから、お客様がものを見たときに何か『ひっかかり』を感じてもらえるようなエッセンスを作家から引き出し、投げかけてあげること。それがギャラリストの役目なんです。それはどのように作られていて、どんな風に使うのがいいのか、どんな風に便利なのか。そのものの本質を見てもらえるような説明を心がけています」(Kさん)
「私も写真という作品を作っていたからわかるんですが、作家はものすごく長い時間をかけて考え、心も体も削ってものを作っています。それを知らずに、買う側が『かわいい!』と、印象だけで買うのでは寂しいじゃないですか?だから、お客様がものを見たときに何か『ひっかかり』を感じてもらえるようなエッセンスを作家から引き出し、投げかけてあげること。それがギャラリストの役目なんです。それはどのように作られていて、どんな風に使うのがいいのか、どんな風に便利なのか。そのものの本質を見てもらえるような説明を心がけています」(Kさん)
それをもつことで生活をより楽しめる「もの選び」
店名のbakuは、悪夢を食べるという想像上の動物「獏」からとったのだそう。このお店に来る人の悪夢を食べるところまでいかないまでも、みんなが日々の生活で抱えているモヤモヤとした気持ちを解消し、こんなものがあったらいいなという夢を叶えたい。そんな気持ちが店名にはこもっているのです。
店内に並ぶ商品は、洋服に靴・生活雑貨に音楽(CD)までバラエティ豊か。選ぶ基準はどういったところにあるのでしょうか。
「まず、日本のもの作りの良さを認識できるもの、そして生活に寄り添えるものというのが前提です。たとえば器だったら、せっかく作った料理がきれいに映えるものの方が、楽しく食事ができますよね?たとえば、この磁器作家・田代里見さんによる子供用のお茶碗は、ご飯を残さず食べればひよこの絵が出てくるようになっています。このように、それを持つことで、生活をより楽しめるものをひとつのテーマとして集めています」(Tさん)
店内に並ぶ商品は、洋服に靴・生活雑貨に音楽(CD)までバラエティ豊か。選ぶ基準はどういったところにあるのでしょうか。
「まず、日本のもの作りの良さを認識できるもの、そして生活に寄り添えるものというのが前提です。たとえば器だったら、せっかく作った料理がきれいに映えるものの方が、楽しく食事ができますよね?たとえば、この磁器作家・田代里見さんによる子供用のお茶碗は、ご飯を残さず食べればひよこの絵が出てくるようになっています。このように、それを持つことで、生活をより楽しめるものをひとつのテーマとして集めています」(Tさん)
ものには一つひとつ物語がある
現在、bakuで取り扱っているアイテムはメーカー数にして19。説明をうかがうと、一つひとつのものに、さまざまな物語があることがわかります。
カラフルな色に心地の良い手触りが印象的なストールはCOOVA(コーバ)のもの。東京に住んでいる女性がひとりで設計をし、それを工場で織ってもらって作っているのだそう。機械織りはだめ、手織りの方が価値があるという二元的な考え方ではなく、機械と手の間にクリエイティビティがあると考え、そこを突き詰めるためにあえて機械織りにこだわっているのだとか。確かに、一見手織りのような良い意味での不揃いな部分があったりして、それが温かみに繫がっているような気がします。
カラフルな色に心地の良い手触りが印象的なストールはCOOVA(コーバ)のもの。東京に住んでいる女性がひとりで設計をし、それを工場で織ってもらって作っているのだそう。機械織りはだめ、手織りの方が価値があるという二元的な考え方ではなく、機械と手の間にクリエイティビティがあると考え、そこを突き詰めるためにあえて機械織りにこだわっているのだとか。確かに、一見手織りのような良い意味での不揃いな部分があったりして、それが温かみに繫がっているような気がします。
可愛いパッケージに包まれているのはPonte de pie!(ポンテ・デ・ピエ=立ち上がれという意味)の靴下。和紙を練り込んだ糸が部分的に使用されていて、吸湿性があるのが特徴です。大手メーカーの下請けで大量生産の靴下を作る中で、自分たちの作りたいものをお客様に届けたいという思いでオリジナルブランドを立ち上げたのだそう。出荷前にあえて洗濯機で洗い、天日干ししているので、新品特有のごわつきがなく、すぐに足に馴染んでくれそうです。
シンプルな色・形ながら、独特の雰囲気を纏う洋服は、岡山のOUTIL(ウティ)のもの。洋服も人が使う道具の一部と捉え、使い勝手が良いようにポケットを必ずつけるなど、ユニークなこだわりがあります。メタルを織り込んだ布や、炭やくちなし・お歯黒の材料を染料として使ったりと、ちょっと他にはない特徴も目を引きます。
店の奥にあるバーカウンターは、昼間はお茶を楽しんだり、週末限定でバースペースにもなります(飲み物も国産限定)。近所の方はもちろん、遠くからbakuを目当てにやってこられるお客様の憩いの場になっています。将来的には2階にまでお店を広げて、展示会などもしてみたいとTさん。生活に彩りを加えるものとの出合いを求めて、ふらっと立ち寄りたいお店がまたひとつ増えました。
photo / baku、reeeko
select gallery & bar “baku”
東京都足立区千住旭町21-10
営業時間:
月~木 13:00~20:00
金~日・祝日 13:00~24:00
バータイム
金~日・祝日 18:00~24:00
定休日:不定休