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近くて遠い国「韓国」を知るのにぴったりな映画『1987、ある闘いの真実』に注目

「第3次韓流ブーム」に沸く昨今。さらに詳しく韓国を知りたいと感じている方もいらっしゃるのでは?そんな方におすすめしたい映画『1987、ある闘いの真実』が9月8日(土)から公開されます。映画を通じて歴史や文化を知れば、近くて遠い国への理解が深まるかもしれません。

近くて遠い国「韓国」を知るのにぴったりな映画『1987、ある闘いの真実』に注目

韓国の近代史を知るのにおすすめな映画が公開

『1987、ある闘いの真実』のワンシーン5

BTS(防弾少年団)やTWICEといったK-POP、チーズタッカルビやインスタ映えするスイーツなどのグルメからファッション、メイクまで。ブームに沸く「韓国」に関心をもっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?知っているようで実はあまり知らないお隣りの国。文化や歴史にも興味をもったなら、9月8日(土)公開予定の映画『1987、ある闘いの真実』をぜひご覧ください。韓国の近代史や韓国の方の気質を知るのにぴったりな映画なのです。

映画『1987、ある闘いの真実』はどんな物語?

『1987、ある闘いの真実』のワンシーン3

『1987、ある闘いの真実』は、1987年に実際に起こった一人の学生の死をきっかけに、国民の国への不信と怒りが爆発し、やがて市民蜂起へと繋がる様を描いています。実話が基になっている社会派ドラマのあらすじを簡単に説明しましょう。

『1987、ある闘いの真実』のワンシーン4

1987年1月14日ソウル。政権勢力の取り締まりを強化するパク警察所長(キム・ユンソク)は、尋問の最中、死亡したソウル大学の学生の死因を心臓麻痺として事件をもみ消そうとします。しかし担当検事のチェ検事(ハ・ジョンウ)によって事件は明るみに。ところが政府がとった対応は、現場にいた2人の刑事の責任にして、事件を闇に葬ろうとします。そんな政府の対応に不信と怒りを覚えた、新聞記者(イ・ヒジュン)、刑務所看守(ユ・ヘジン)、学生イ・ハニョル(カン・ドンウォン)、ソウル大学生の死を悲しむ学生たちが声を上げます。その動きは次第に国民の総意になっていきますが…。

映画を観る時に役立つ1987年の時代背景を紹介

『1987、ある闘いの真実』のワンシーン2

当時は、軍人出身の全斗煥(チョン・ドゥファン)が大統領を務めていた軍事政権でした。在任7年の間で、国民所得を2.3倍に増加、貿易収入を黒字に転換、1986年アジア競技大会や韓国に初めてオリンピックを誘致するなど、経済を大いに発展させた一方で、民主化を望む国民には強硬な姿勢を辞しませんでした。民主化運動のひとつとして知られる光州事件(5.18光州民主化運動)に至っては、武力によって鎮圧。2000人以上の犠牲者が出たとも言われていますが、当時は報道規制がひかれ、その事実を国民は知ることができませんでした。そんな政権の実態が徐々に明るみになるにつれ民主化を望む国民の怒りが爆発。映画で描かれている「6月民主抗争」を引き起こすことになります。

『1987、ある闘いの真実』のワンシーン6

1987年1月、名門大学ソウル大の学生パク・ジョンチョルさんが活動家をかくまった嫌疑で連行され、水拷問で死亡。政府が隠ぺいしたこの事件が明るみになると、500万人の国民が参加したデモ「6月民主抗争」が各地で勃発。ついに、政府は非を認めて「6.29宣言」を発足。国民が民主主義を勝ち取ったのです。

『1987、ある闘いの真実』のワンシーン7

政府の過ちを国民によって正す。韓国の方のパワーと行動力に身に摘まされる思いがするのではないでしょうか?ちなみに朴槿恵(パク・クネ)前大統領を退任に追い込んだ、2016年の「ろうそく集会」も民意の力によるもの。過去の韓国社会を冷静に見つめ、エンターテイメントとして描いてしまうところが韓国映画の魅力の一つでもあります。

その頃の日本といえば、バブル好景気に国中が沸いた時代。NTTが携帯電話サービスを開始し、世の女性はワンレン・ボディコン姿。日本映画といえば、日本アカデミー賞を始め数々の作品賞に輝いた『マルサの女』。国中が浮足立っていた頃、お隣りの国ではこのような出来事が起きていたとは驚きです。

徹底的なリサーチと時代考証のおかげで物語展開はドラマチック

『1987、ある闘いの真実』のワンシーン8

監督を手掛けたのは、『ファイ 悪魔に育てられた少年』(13)のチャン・ジュナン監督。「史実を正確に伝えることを心がけた」といい、徹底的なリサーチと時代考証を行なったそう。前半部分の撮影には、フィルム映画がメーンだった80年代のカルジャイジュハイスピードレンズを使用。フィルム特有の陰影やざらりとした当時の空気感を作り出すのに一役買っています。さらに、手持ちカメラで撮影することで臨場感を演出し、まるでドキュメンタリーを観ているような感覚に。また、望遠ズームと接写レンズを駆使し、キャラクターを活写。感情の機微を細かく映し出しているため、それぞれの苦悩がまざまざと伝わってきます。芸達者な役者たちの健闘、時代検証のもと作られた衣装やメイクなど、細部に渡るこだわりが重厚な物語を際立たせています。骨太なタッチで生々しく映し出した真実は、観ている者の胸にずっしりと迫ってくるようです。
たとえ小さな力でも自ら行動を起こすことで、何かが変わるかもしれない。そんな心持ちになれる作品です。映画を鑑賞して、韓国近代史を学んで、近くて遠い隣国への理解を深めるだけでなく、自分が変わるきっかけにしてみるのもいいかもしれません。

『1987、ある闘いの真実』
監督:チャン・ジュナン
脚本:キム・ギョンチャン
出演:キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ユ・ヘジン、キム・テリ、パク・ヒスン、イ・ヒジュン、ソル・ギョング、カン・ドンウォン、ヨ・ジング(17/韓国/129分)
配給:ツイン
9月8日(土)よりシネマート新宿ほかにて全国公開

http://1987arutatakai-movie.com/

この記事を書いた人

Kotake Aki 編集・ライター。旅行会社、情報誌、カルチャー誌の勤務を経てフリーランスに。カルチャー誌やWEBサイトなどを中心に、日本と韓国のエンターテイメントに関するコラム記...

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