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猫が教えてくれること「贅沢な暮らし」/フリーランス編集者・古庄修さんの場合vol.2

猫の猫らしい行動に自分の生き方を重ね、ハッとする瞬間があります。雑誌『天然生活』の元編集長・古庄修さんも、その一人。何も考えていない(ように見える)兄弟猫から、つい考えすぎてしまう古庄さんが学んだ「贅沢」についての話です。

猫が教えてくれること「贅沢な暮らし」/フリーランス編集者・古庄修さんの場合vol.2

兄弟猫と古庄さんご夫婦の関係

サバトラとキジトラの兄弟猫

生後間もなく神社に捨てられた兄弟猫は、縁あって雑誌『天然生活』の元編集長・古庄修さんに飼われることになりました。福(ふく・オス・7歳)と楽(らく・オス・7歳)との生活が8年目に突入した今、猫を飼ってよかったと思う瞬間について聞きました。

「二匹を楽しそうに追いかけ回す妻を見たり、ソファで眠りこける三匹(…うち一匹は妻ですが)を見た時ですかね。
猫たちのブラッシングにしても爪切りにしても、妻はちょっとしつこいんですよ(笑)。でも、一向に嫌われない。我が家のヒエラルキーは『妻 > 楽 > 福 > 私』と明確なので、私が妻と同じ事をしたら目も当てられないでしょうね。抱っこだって猫たちの気が向いて自ら膝に乗ってきてくれるのを待つ身ですから」

嫌われたくないと古庄さんは言いますが、楽は古庄さんの膝の上でお尻をトントンしてもらうのが大好きだとか。古庄さんが椅子に座る瞬間を今か今かと待ち構え、座った瞬間に膝を独占するそうです。肩身が狭いなどと言いながら、古庄さんのポジションはなかなかおいしいのでは?

おっとり福とやんちゃな楽

階段から様子をうかがうキジトラのかわいい猫

キジトラの福はおっとりしていてマイペース。楽にはいつもやられっぱなしだそう。でも、食い意地が張っていて、お腹が空くと気が荒くなり形勢逆転。楽を追いかけ回します。なぜかビニール袋が大好きで、スーパーの袋をしゃりしゃりと舐めるのが趣味です。

天然生活・元編集長の飼い猫

サバトラの楽はやってほしくないことばかりする、やんちゃ坊主。タオルや洋服などから糸を引き出すいたずらが大のお気に入り。天井の梁の奥を自分のテリトリーと決めていて、福が侵入しようとすると怒って追い出す気の強さがあります。しかし、お客さんが来ると怖がって隠れてしまう内弁慶。

「二匹で飼っていると比較することができるから、それぞれの性格がよくわかります。でも、当の本人たちは自分たちを比べたり、より気に入られようとしたりは当然しないんです。何にも考えていない。それでいてお気に入りの場所、好きなもの、好きな過ごし方など個々の贅沢を謳歌しています」

人気雑誌の編集長を辞めて、今、思う贅沢について

雑誌・天然生活の元編集長、古庄さん

「コーヒーでも淹れましょうか」と言って立ち上がり、キッチンへ向かう古庄さん。お気に入りというコーヒー豆を丁寧に挽き、ペーパーをセットして挽きたての粉を入れ、そこに細い湯を落としながら「今日はうまく淹れられるかな?」と独り言のようにつぶやきました。猫たちの贅沢を受けて「今、古庄さんが思う贅沢」を聞いてみました。

「会社員を辞めた今だから思うことかもしれませんが、これからは非効率に生きようかなって。編集者は効率や段取りが仕事のようなものだから、職業病として体に染みついているそれらを一回止めてみようと思っています。物事にあたるときにスピードや結果ではなく、その過程を楽しむために、あえて遠回りすることが今思う贅沢です」

やり遂げること、またいかに早くやり遂げるかではなく、その過程を楽しむことを目的にしてみる。同じ豆、同じやり方で淹れても、毎日違う味がするという古庄さんのコーヒーは、古庄さんのかけた手間や思いまでが抽出された贅沢な味がしました。美味しかったです。
さて、次回は福と楽の教えを受けて、古庄さんが手放したものについての最終回です。お楽しみに!

photo/筒井聖子

この記事を書いた人

宇佐見明日香 編集者・ライター。女性の「生き方」「暮らし方」などライフスタイルにまつわるインタビューを中心に、企業人や起業家のインタビューを得意とする。“しつもんは愛だ”を...

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