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肖像で権力はいかに描く?「ルーヴル美術館展 肖像芸術ー人は人をどう表現してきたか」

現在、国立新美術館で「ルーヴル美術館展 肖像芸術ー人は人をどう表現してきたか」が開催されています。3000年以上前の古代エジプトの棺用マスクに始まり、歴代フランス国王、マリー・アントワネット、ナポレオン、クレオパトラなど、ルーヴルが誇る肖像の数々が展示されています。

肖像で権力はいかに描く?「ルーヴル美術館展 肖像芸術ー人は人をどう表現してきたか」

時の権力者ナポレオンの肖像を通して激動の人生を知る

国立新美術館で開催中の「ルーヴル美術館展」の様子1

かつて肖像は、権力を誇示するという目的を持っていたため、権力者が多く描かれていました。本展覧会「ルーヴル美術館展 肖像芸術ー人は人をどう表現してきたか」では、歴代フランス国王、マリー・アントワネット、クレオパトラなど、歴史上有名な人物の肖像が展示されています。中でも注目は、時の権力者であったナポレオン・ボナパルト(ナポレオン1世)。激動の人生を物語る作品5点が展示されています。

若きナポレオンと戴冠式のナポレオン

国立新美術館で開催中の「ルーヴル美術館展」の様子2

左の写真は1796年、当時27歳のナポレオンがイタリア遠征軍総司令官だった時の姿を描いた肖像画です。描かれているのは、軍が立ち往生する中、馬に乗って兵を振り返り、士気を高めたと言われている姿。風になびく髪、眉を寄せた引き締まった顔立ちからも躍動感が伝わってきます。
この時代のナポレオンは血気盛んだったため、肖像のために長時間同じ姿勢をとることを嫌ったそう。画家はナポレオンの戦いの様子を見て、瞬時に特徴をつかみ素早く描くことが求められました。

右の写真は、1827年制作の、戴冠式(たいかんしき)に正装をしたナポレオンを描いた肖像画です。27歳の頃の躍動感はなく、落ち着いているように見えます。頭の金の月桂冠は古代ローマ皇帝を手本にし、皇帝の色である緋色のビロードに、ミツバチの文様をちりばめたマントを身に着けています。フランス王家はユリを紋章としてきましたが、ナポレオンはフランス最古の王朝の紋章を制定しました。冷徹さと尊大さに支配された肖像画に変化しています。

(写真左)アントワーヌ=ジャン・グロ 《アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)》1796年
(写真右)アンヌ=ルイ・ジロデ・ド・ルシー=トリオゾンの工房 《戴冠式の正装のナポレオン1世の肖像》1827年 アジャクシオ、国立ナポレオン生家博物館に寄託

大理石で表現された戴冠式のナポレオン装束は権威の象徴

国立新美術館で開催中の「ルーヴル美術館展」の様子3

この肖像は、1813年制作の、ナポレオンがフランス皇帝に即位した戴冠式の時の姿です。
身にまとっている白テンの毛皮は、歴代フランス王室ゆかりの品です。横から見るとボリュームに加え、しなやかなドレープの表現がまるで本物のようです。ビロードのマントも、古代の理想に連なるフランスの正当な君主であることを表現しています。また、頭の月桂冠は古代ローマ皇帝に由来します。権力者ナポレオンのイメージ作りを戦略的に行っていることがうかがえます。

彫刻家は、装束を忠実に再現することが求められ、新たな試みを加えることは禁じられました。大理石であることを忘れさせる、流れるようなマントのヒダ、白テンの毛皮の質感、繊細な首回りのレースなどは一番の見せ場です。周回しながらじっくりみてみてください。
(写真)クロード・ラメ 《戴冠式の正装のナポレオン1世》 1813年

コードによって権威を誇示

国立新美術館で開催中の「ルーヴル美術館展」の様子4

起源前から、権力者たちが肖像制作するにあたり「コード」と言われるものが存在していました。コードとは、君主とわかるように、特徴を表わす上で決まった表現やルールのこと。
手前の肖像は、アレクサンドロスの肖像。アレクサンドロス大王のコードは、ライオンをイメージして前髪を立てることだったそうです。

ナポレオンも、古代の皇帝や国王のコードを自分の肖像に巧みに取り入れました。先ほどご紹介したような月桂樹の冠、豪勢なマント……このような装束を、権威の象徴としてリアルに表現したのです。ナポレオンの肖像によって作り上げられたイメージは、今の時代になっても私たちの中に息づいています。

(写真左)《アレクサンドロス大王の肖像》、通称《アザラのヘルメス柱》 2世紀前半、リュシッポスによる原作 (前330年頃)に基づきイタリアで制作 イタリア、ティヴォリ出土
(写真右)《ミトリダテス6世エウバトルの肖像》、前世紀末、ギリシアで制作された原作に基づく、出土地不詳

肖像画は権力を示すことにも利用されましたが、その表現方法は、表情だけでなく持ち物やあしらわれたマークなどで伝えるという工夫がされていました。展覧会にでかけて、そのメッセージを読み取ってみてはいかがでしょうか?



※写真の無断転載を禁じます

photo / コロコロ

「ルーヴル美術館展 肖像芸術ー人は人をどう表現してきたか」

会期:5/30(水)~9/3(月) ※毎週火曜日休館、8/14(火)は開館
時間:10:00~18:00(金・土は6月は20:00まで、7~9月は21:00まで開館)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)

http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/louvre2018/

この記事を書いた人

コロコロ ライター。著書は10冊ほど。ここではその専門分野についてではなく、趣味の美術鑑賞の情報発信にチャレンジします。最近はビジネスに活かすアート鑑賞も注目されていま...
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