オリーブオイルにもシングルオリジンの風。神宮前「セドリック・カサノヴァ」で新たな出会いを
- 公開:2018.2.14
- グルメ・食
コーヒーやチョコレートで近頃注目を集めている「シングルオリジン(単一品種)」というコンセプト。オリーブオイルの世界でそれを実現したのがセドリック・カサノヴァです。パリに本店を持つ同店が、神宮前に日本初出店となる店舗がオープンしたのでうかがってみました。
本当に美味しいオリーブオイルを確かな舌の持ち主に届けるために
父はシチリア出身のイタリア人、母はフランス人で元シルク・ド・ソレイユの綱渡り芸人のセドリック・カサノヴァにとって、シチリアは生地・フランスに次ぐ第二の故郷でした。彼がその地を訪れたとき、高品質のオリーブオイルが、市場が定めた安い価格で買い取られていくのがもったいないと思ったのです。しかも、単一畑・単一品種、つまりシングルオリジンに絞れば、その農園のオリーブの木の個性が顕著に表れるため、よりオリーブオイルの価値が上がるのではないか。その価値を正当に評価してくれる人に味わってもらいたいと考え、セドリックがオーナーとなってパリにオープンしたのが「ラ・テット・ダン・レ・ゾリーブ(頭はすっかりオリーブ漬けという意味)」、シチリア原産のオリーブオイルと食材の店です。
パリの一流シェフたちも絶賛のオリーブオイル
「シチリアのオリーブ農家では、子孫が食べるオリーブに一生困らないようにと敷地にオリーブの木を植え、オリーブオイルは自家製でまかなっています。でも、最近の核家族化で家族の人数が少なくなり、オリーブオイルは各農家で余るようになりました。一口にオリーブオイルと言っても、農家によって味の異なる、非常に個性的なオリーブオイルが採れます。自分たちが使うオイルは自家でまかない、さらに余りつつあるシチリアでは、その価値がさほど重視されないので、評価は低くなりがちです。せっかくの個性的な深い味わいのオリーブオイルが、その他大勢のものといっしょくたにされて売られるのはもったいない。そう考えたセドリックは、パリへ持っていくことにしたんです」(セドリック・カサノヴァ店主の勅使河原さん)。セドリックのその目論見は見事に当たり、パリでは一流レストランのシェフたちがこぞってセドリックのオリーブオイルを使うようになっているそうです。
シチリアと日本の食文化にはお互いに通じるものがある!?
パリで2店舗、イギリスで1店舗を出店し成功を収めているセドリックが、次の出店先に日本を選んだのは、フレンチの有名シェフ、アラン・デュカスの招きで日本に来たときに行った居酒屋が印象的だったから。
「ソースなどで味を作るのではなく、素材そのものを活かして食を楽しむ、その方法がシチリアの食文化に通じるものがあると思ったのだそうです。パリでの評判を聞いて輸入したいというオファーもあったそうですが全て断り、文化と文化の出会いの場を自分で作りたいと考え、自分の名前で店を作りました」(勅使河原さん)。
「ソースなどで味を作るのではなく、素材そのものを活かして食を楽しむ、その方法がシチリアの食文化に通じるものがあると思ったのだそうです。パリでの評判を聞いて輸入したいというオファーもあったそうですが全て断り、文化と文化の出会いの場を自分で作りたいと考え、自分の名前で店を作りました」(勅使河原さん)。
ドライトマトなど、シチリア原産の魅力的な食材も
本店で取り扱っているのは平均15種類と、バラエティ豊かなカサノヴァのオリーブオイルですが、日本の店で買えるのは常時8種類ほど。中には樹齢400年近いオリーブの木から採れたものもあるのだとか。そのうち200mlで量り売りしているのは2種類、あとは500mlの瓶詰めです。他には、トマトソースや古代小麦の全粒粉を使用したパスタなど、シチリア原産の魅力的な食材が並んでいます。
「人気はドライトマトです。わざと水をあげないで育てて完熟したトマトを、3日間天日干しして作られているので、とっても味が濃いんですよ。また、バジルの花を枝ごと束ねてドライフラワーにしたバジルブーケは、バジルの葉より香りが高くて、パスタやサラダに振りかけるととっても美味しいのでオススメです」(勅使河原さん)。
「人気はドライトマトです。わざと水をあげないで育てて完熟したトマトを、3日間天日干しして作られているので、とっても味が濃いんですよ。また、バジルの花を枝ごと束ねてドライフラワーにしたバジルブーケは、バジルの葉より香りが高くて、パスタやサラダに振りかけるととっても美味しいのでオススメです」(勅使河原さん)。
店内の商品の美味しい使い方が学べるプライベートディナー
オリーブオイルは、揚げたり焼いたりする調理用の油としてではなく、調味料としても使えるとよく言われますが、勅使河原さんは、冬なら肉まんやおでんにかけるのもオススメだとのこと。セドリック・カサノヴァでは、昼(12~17時)は2名から、夜(18~20時30分)は4~8名の予約で、オリーブオイルと店内の食材を使ったシンプルな小皿料理のコースを楽しめる「ターブル・ユニーク」という食事会を開催しています(予約制。1名3,000円、ドリンク別)。ドリンクはシチリアのワインの他、意外に日本酒も合うということで別料金で提供してもらえるのだとか。私もこの「ターブル・ユニーク」を早速予約して、自分の知らないシチリア食材の味わい、組み合わせと出会ってみたいと思いました。
photo / セドリック・カサノヴァ、reeeko
セドリック・カサノヴァ
東京都渋谷区神宮前3-1-14 1F
OPEN 12:00~20:00