気負わず、与えられた環境を受け入れる、「TOKIIRO」の多肉植物的生き方
- 公開:2017.2.24
- ライフスタイル
流行の多肉植物に特化したアレンジを手掛けるユニット「TOKIIRO(ときいろ)」。台湾で行ったワークショップは大好評。さらに2017年はNYでの個展を視野に入れて活動中だとか。好きなことを仕事にし、人々を笑顔にする、そんな夫婦ふたりの活動に注目してみました。
きっかけは一番身近なパートナーが喜ぶ顔
「TOKIIRO(ときいろ)」は多肉植物に特化したアレンジメントを手掛ける近藤義展さん、友美さんご夫妻によるユニット。おふたりが多肉植物に出会ったのは2008年。園芸家の故柳生真吾氏が運営する八ヶ岳倶楽部を訪れたときのことです。友美さんが、多肉植物で作られたリースに一目惚れ。購入したいと義展さんに相談したところあえなく却下。「当時の僕たちは、誰でも育てられるというポトスさえ枯らしてしまうほど、植物には縁がなかったんです。だから、育てられるかどうかも分からないものを買うのは、どうかと思ったんです」と義展さん。その代わり、帰宅した翌日に多肉植物を探し求め、柳生さんの著書を片手に人生初の多肉植物のリースを完成させました。それを見た友美さんが想像以上に喜んでくれたことが嬉しくて、義展さんは次々と作品を作り続けました。「僕のモチベーションはとにかく彼女を喜ばせたいってことだったんです。その時はまさかこれが仕事になるなんて、思ってもいませんでした」と義展さんは笑います。
多肉植物にできること
義展さんは、中学時代からバンドを組むほどの音楽好きでした。大学をやめてプロの道を選んだとき、せっかく好きなことを仕事に出来たのに正直それほど楽しくはなかったと言います。本来音楽は、自分が作った曲を聞いた人が「勇気が出た」「この曲に出会えてよかった」と、何かを感じてくれたり、誰かの役に立つということに喜びがあるはず。でも、その時は、「音楽を突き詰める」と気負いすぎたことで辛くなったそうです。多肉植物のアレンジは音楽のときとは違い、自分が好きなことではなく、友美さんを喜ばせたいというところからスタートしたことで、ここまで続けられたのだと義展さん。人の人生に何らかのエッセンスを与えたい、誰かの役に立てたらという思いがあったからこそ、「TOKIIRO」の作品は多くの人の心を動かし、人気を呼んでいるのかもしれません。
多肉植物の魅力を語り出したら止まらないという近藤さんご夫妻。中でも、ふたりを惹きつけるのは多肉植物の「受け入れる力」だそう。人間はとかくうまくいかないことを置かれた環境のせいにしがちです。でも、過酷な環境を生き抜いてきた多肉植物は、雨が少ないだとか、暑すぎるなどと環境のせいにせず、置かれた環境を受け入れ、命を繋ぐために長い時間をかけて進化をしてきました。そんな多肉植物と向き合うことで、生きていく上でとても大切なことを学んでいるという彼らにはこんなエピソードがあります。
2016年に行われた台湾でのワークショップ。年間を通して温暖な台湾には日本のように紅葉する品種はほとんどありません。ですから当初は日本から紅葉した多肉植物を持っていくことも考えたそう。しかし、それでは「与えられた場所で力強く生きる力」を伝えたいという思いとは異なってしまうため、あえて現地の農家を回り、現地の多肉植物を調達したのです。
2016年に行われた台湾でのワークショップ。年間を通して温暖な台湾には日本のように紅葉する品種はほとんどありません。ですから当初は日本から紅葉した多肉植物を持っていくことも考えたそう。しかし、それでは「与えられた場所で力強く生きる力」を伝えたいという思いとは異なってしまうため、あえて現地の農家を回り、現地の多肉植物を調達したのです。
生きる元気を与えてくれる多肉植物のある生活を!
義展さんは自分たちの作品は盆栽と生け花の中間のような存在だと言います。アレンジした作品は自分たちと陶芸作家とのコラボレーション。しかし、作品はそこで完成するわけでなく、買った人や、置かれた環境によってそれぞれの進化を遂げる。つまり、買った人と作品の新しいコラボレーションが始まるということ。辛いことがあったり、くじけそうになったとき、「TOKIIRO」の作品を見ると、癒されて元気をもらえる気がします。そんな「TOKIIRO」作品とのコラボレーションをあなたも始めてみませんか?
photo / カオリーヌ
TOKIIRO(ときいろ)
千葉県浦安市東野 2-5-29
047 704 8483
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家に帰るのが楽しくなる、「TOKIIRO」の多肉植物アレンジ