ジャン=マルク・ヴァレ監督最新作。2月公開のおすすめ映画『雨の日は会えない、晴れの日は君を想う』
- 公開:2017.2.2
- アート・カルチャー
『ダラス・バイヤーズクラブ』『わたしに会うまでの1600キロ』のジャン=マルク・ヴァレの待望の最新作。喪失と哀しみ、そして再生を描いた物語『雨の日は会えない、晴れの日は君を想う』についての紹介です。
簡単なストーリー
ウォール街の投資銀行家として出世コースを歩み、富も地位も手に入れた主人公のデイヴィスは、高層タワーの上層階で空虚な数字と向き合う毎日を送っていました。会社へと向かういつもの朝に突然の交通事故により美しい妻を亡くします。妻の死を経験しても一滴の涙も流せなかったデイヴィスは、哀しみにすら無感覚になっていることに気付き、妻に愛情が持っていたのかさえ分からなくなり、答えを出せない自分自身に困惑してしまいます。「心の修理も車の修理も同じことだ。まず隅々まで点検して、組み立て直すんだ。」という義父の言葉が引き金となり、自分の心の在り処を探しはじめます。自動販売機について苦情の手紙を送ったことから顧客サービス担当のカレンと知り合い、カレンとその息子であるクリスに助けられながらも、デイヴィスは一度は手にした身の回りのあらゆるものを破壊しながら、ゼロから人生を再生しようと試みます。すべてをぶち壊して見えてきた、“人生で本当に大切なもの”とは―?
おすすめポイント
主人公デイヴィスを演じたジェイク・ギレンホール
1980年、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス出身。父親が映画監督のスティーヴン・ギレンホール、母親がプロデューサーで脚本家のナオミ・フォナー。そして、姉が若手女優のマギー・ギレンホールという芸能一家で育ちました。91年「シティ・スリッカーズ」で映画デビュー。その後、いくつかの映画、TVに出演し、99年の青春ドラマ「遠い空の向こうに」に主演、ブレイクして注目を集めました。01年には「ドニー・ダーコ」、02年には「ムーンライト・マイル」に主演し、着実に若手演技派として成長。04年にはブロックバスター「デイ・アフター・トゥモロー」に主演。これからのハリウッドを担う存在となります。ゴールデングローブ賞最優秀主演男優賞に輝いた『ナイト・クローラー』の狂気的な演技で人々を魅了したジェイク・ギレンホール。本作では哀しみと虚しさを背負った、空虚な男の脆さを繊細な演技で見事に体現し、新境地を開拓しています。
本作の監督をつとめたジャン=マルク・ヴァレ
『ダラス・バイヤーズクラブ』『わたしに会うまでの1600キロ』のジャン=マルク・ヴァレの待望の最新作。
ー 苦悩と死について語るのは挑発的かもしれない。
感情をさらけ出すことができる人々を称賛したかった。
僕は幸せを表現したかったわけじゃない。人生はつらく、暗いものだ。ー
ー 僕は幸せを掴もうと踠いている人に惹かれる。
この映画は人生を再び始めるための、勇気のいる旅路が美しかったんだ。ー
と、語っています。
何事にも無感覚になっている主人公の心の迷いに寄り添いながら、美しい映像とともにエモーショナルに描き切っているところにも注目してみてください。
ー 苦悩と死について語るのは挑発的かもしれない。
感情をさらけ出すことができる人々を称賛したかった。
僕は幸せを表現したかったわけじゃない。人生はつらく、暗いものだ。ー
ー 僕は幸せを掴もうと踠いている人に惹かれる。
この映画は人生を再び始めるための、勇気のいる旅路が美しかったんだ。ー
と、語っています。
何事にも無感覚になっている主人公の心の迷いに寄り添いながら、美しい映像とともにエモーショナルに描き切っているところにも注目してみてください。
こんな人に観て欲しい
毎日をオートマティックにやり過ごしている"あなた"は、心を修理するための"破壊"をくり返す主人公と似ているかもしれません。一見身の回りのありとあらゆるものを破壊しながらも、自分を取り戻していく主人公の破天荒な行動から共感を得ることは難しいことでしょうが…人間の苦悩と許しを通して、究極の愛を、そして、本当の人生を築いていこうとする姿は、今のあなたが心の奥に秘めている願望ではないでしょうか。また、本作は一般的な結婚に対する先入観や期待に対してだけでなく、富と地位がある特権階級暮らしにも鋭く疑問を投げかけています。自己修復や他者との関係性にまつわる考察へと導いてくれる一本です。
photo / ファントム・フィルム
「雨の日は会えない、晴れの日は君を想う」
2月18日(土)新宿シネマカリテ、渋谷シネパレス、全国ロードショー
監督:ジャン=マルク・ヴァレ
出演:ジェイク・ギレンホール、ナオミ・ワッツ、クリス・クーパー、ジュダ・ルイス
配給:ファントムフィルム