木工作家・高橋綾子さんに聞く、この秋おすすめの木の器と長く愛用するための使い方
- 公開:2019.10.8
- インテリア・生活雑貨
一つひとつ手仕事で作られたお気に入りのものに出合った時に、もっと作家のことが知りたい、作り手の思いに触れてみたいと思ったことはありませんか?今回ご紹介するのは、木工作家の高橋綾子さんが作った木の器。高橋さんは北海道北部の自然豊かな中川町で暮らしながら木工作家として活動しています。
北海道北部の中川町で制作活動
思わず手に取ってみたくなる形。そして、手触りから伝わる素朴な木の質感。木工作家・高橋綾子さんの木の器を手にすると、実際に使ってみたいという気持ちがふつふつと湧いてきます。
木工作家の高橋さんは、地元・北海道の木を使い、器を一つひとつ手作りしています。一体どんな環境、どんな思いでもの作りをしているのでしょうか。
制作活動に適した自然豊かな町
高橋さんが暮らす中川町は、札幌から鉄道で約3時間30分。山々に囲まれ、その中央部を雄大な天塩川が流れる自然豊かな町です。
木工作家になる前、環境調査の仕事をしていたという高橋さん。当時は調査のため山に入ることが多く、間伐などで山の中に放置されたままの木材があることを知ったそうです。そういった、いわゆる「未利用木材」を利用して、生活の中の素敵なものを作っていきたいと思うようになり、木工作家になることを決意。全国各地を訪ね歩いて活動拠点になる場所を探し、現在の中川町に移住して本格的に制作活動を始めました。
木工作家になる前、環境調査の仕事をしていたという高橋さん。当時は調査のため山に入ることが多く、間伐などで山の中に放置されたままの木材があることを知ったそうです。そういった、いわゆる「未利用木材」を利用して、生活の中の素敵なものを作っていきたいと思うようになり、木工作家になることを決意。全国各地を訪ね歩いて活動拠点になる場所を探し、現在の中川町に移住して本格的に制作活動を始めました。
素材の個性を生かしたもの作り
木工作家である高橋さんが語る中川町の森の魅力とは、冬の寒さをじっと耐え忍ぶ様子と、短い夏の間に力いっぱい花を咲かせて実りをもたらす、その姿の美しさにあるといいます。
そんな中川の木材を使った木の器。作る工程にも、高橋さんのこだわりが詰まっています。
「木工作品を作る上で、木材を乾燥させる工程があるのですが、私は、時間をかけてゆっくり乾燥させる天然乾燥にこだわっています。天然乾燥は時間を要するものの、人工乾燥に比べて、木にできるだけストレスを与えず水分を抜いていくことができると考えています。また、化石燃料や電気を使って乾燥させる人工乾燥と違い、過剰なエネルギー利用をせずに済みます。そのため、天然乾燥でも制作が可能な器やアクセサリーなどのような小さなものを中心に作っています」
「木工作品を作る上で、木材を乾燥させる工程があるのですが、私は、時間をかけてゆっくり乾燥させる天然乾燥にこだわっています。天然乾燥は時間を要するものの、人工乾燥に比べて、木にできるだけストレスを与えず水分を抜いていくことができると考えています。また、化石燃料や電気を使って乾燥させる人工乾燥と違い、過剰なエネルギー利用をせずに済みます。そのため、天然乾燥でも制作が可能な器やアクセサリーなどのような小さなものを中心に作っています」
さらに「私が制作に使っている材料は、伐採して出荷される際に出る半端丈の丸太です。木材としては欠点とされる節や枝分かれした部分が多く、処理が難しいのですが、その分、美しい木目で個性豊かなものばかり。そういった個性を最大限に生かしたいんです」と教えてくれました。
高橋さんの器の特徴とおすすめの使い方
ここからは、作り手ならではのアドバイスを交えながら、高橋さんが手掛ける木の器の特徴とおすすめの使い方を聞きました。
まずは、果物を入れたり、インテリアとして棚に置いておくのにもぴったりなサラダボウル。
「大切に長く使っていくためのポイントは、かさつきがあったり、撥水性が鈍ってきたら、植物性オイルや蜜ろうワックスでお手入れしてください。また、サラダのドレッシングとして使われる事も多いオリーブオイルは、木の器の塗膜を強化してくれ、美しく経年変化していく手助けにもなるんですよ」
まずは、果物を入れたり、インテリアとして棚に置いておくのにもぴったりなサラダボウル。
「大切に長く使っていくためのポイントは、かさつきがあったり、撥水性が鈍ってきたら、植物性オイルや蜜ろうワックスでお手入れしてください。また、サラダのドレッシングとして使われる事も多いオリーブオイルは、木の器の塗膜を強化してくれ、美しく経年変化していく手助けにもなるんですよ」
「サラダボウルは様々なサイズや樹種で制作しているので、ご家庭の環境に合ったものがきっと見つかると思います。こちらのサラダボウルは、ニレの木で、大きく浅く作りました。木の強度に影響のない節や穴のない部分を選び、日常使いに耐える器にしています」
これは枝や節によって穴の開いた材料をそのまま器にしているのが大きな特徴の飾り鉢。
「季節の果物や野菜を入れておくのにおすすめです。穴が開いていることによって湿度管理をしてくれる役目もあるんですよ。我が家では、熟成待ちの果物を置いておくのに重宝しています。穴から果物の色が変わっていくのが見えて、それもまた楽しいんです」
木目が複雑な分、温度や湿度による急激な変化によって、木の変形や縮みが起こり大きく変形することがあるのだそう。冬はストーブのそばや水気の多い環境を避けて使用するのがポイントです。
「季節の果物や野菜を入れておくのにおすすめです。穴が開いていることによって湿度管理をしてくれる役目もあるんですよ。我が家では、熟成待ちの果物を置いておくのに重宝しています。穴から果物の色が変わっていくのが見えて、それもまた楽しいんです」
木目が複雑な分、温度や湿度による急激な変化によって、木の変形や縮みが起こり大きく変形することがあるのだそう。冬はストーブのそばや水気の多い環境を避けて使用するのがポイントです。
そしてもう一つのおすすめは、電熱ペンを使ってデザインするウッドバーニングという方法で絵付けしたお皿。
「それぞれの絵付け皿の木は(写真左から)ケヤマハンノキ、オニグルミ、ホオノキ。各お皿の柄には器の樹種が山に生えていた頃の情景を表現しています。ケヤマハンノキは雄花の姿。オニグルミは森の地表に、とある小動物が食べていた木の実が落ちた時の様子を。ホオノキは実がひらいて、種があらわれたところをイメージしています。お皿はアクセサリー置き場所にしたり、晩酌のおつまみにナッツを盛ったりと色々な使い方ができますよ」
「それぞれの絵付け皿の木は(写真左から)ケヤマハンノキ、オニグルミ、ホオノキ。各お皿の柄には器の樹種が山に生えていた頃の情景を表現しています。ケヤマハンノキは雄花の姿。オニグルミは森の地表に、とある小動物が食べていた木の実が落ちた時の様子を。ホオノキは実がひらいて、種があらわれたところをイメージしています。お皿はアクセサリー置き場所にしたり、晩酌のおつまみにナッツを盛ったりと色々な使い方ができますよ」
セレクトショップやネットで購入可
高橋さんの木の器は札幌市の「アトリエsachi」をはじめ、ウェブショップなどで購入することができます。
「展示会などを通して、木工作品の魅力を知ってもらえるよう、個性豊かな木材を使った作品作りに取り組み続けたい」と意気込む高橋さん。木の器の販売はこだわりや思いなどをできるだけ直接伝えながら販売したいという思いから、出店販売や展示会がメインなのだそう。展示会など最新の情報は髙橋さんのウェブサイトでチェックしてみてください。ショップで実際に作品に触れて、作り手のこだわりや性能を確かめてみたり、ウェブショップでお気に入りをチェックしてみてはいかがでしょうか。
「展示会などを通して、木工作品の魅力を知ってもらえるよう、個性豊かな木材を使った作品作りに取り組み続けたい」と意気込む高橋さん。木の器の販売はこだわりや思いなどをできるだけ直接伝えながら販売したいという思いから、出店販売や展示会がメインなのだそう。展示会など最新の情報は髙橋さんのウェブサイトでチェックしてみてください。ショップで実際に作品に触れて、作り手のこだわりや性能を確かめてみたり、ウェブショップでお気に入りをチェックしてみてはいかがでしょうか。
photo / 佐々木育弥
木工作家 髙橋綾子