猫が教えてくれること「溢れ出る」/画家&絵本作家・松田奈那子さんの場合vol.2
- 公開:2018.11.4
- ライフスタイル
猫の猫らしい行動に、自分の生き方を重ねてハッとする瞬間があります。画家・絵本作家の松田奈那子さんも、その一人。まるでコントのように面白おかしく愛らしい兄妹猫の日常に、松田さんが教えられたのは、ある感情の際限のなさでした。
タンタンが失敗して、ミミが正解を導き出す
茶トラのタンタン(オス)と三毛猫のミミ(メス)は生後5ヵ月の兄妹猫。飼い主は画家・絵本作家の松田奈那子さんです。好奇心旺盛で猪突猛進、甘えん坊のタンタンと、慎重派で賢く、控えめだけどやる時はやる、肝の据わったミミ。まるで足りない所を補い合うような凸凹兄妹コンビの日常は、まるでコントのようと松田さんは言います。
「私たちが用意した爪とぎに爪を立てるのも、キャットタワーに上るのも、障子に穴を空けるのも(笑)、まだまだ子猫のこの子たちにとって、毎日が初めてのことばかり。
その初めてに、一匹が挑戦すると、それを見ていたもう一匹が真似するんです。好奇心旺盛なタンタンが最初にやってみるパターンが多いような気がします。
でも、タンタンのやり方はだいたい間違ってて…(笑)。たとえば、柱に貼り付けた爪とぎにヒョイっと上ってドヤ顔をしていたりするんです。その様子を見ていたミミが『それ、たぶん違うな』って、正しいやり方にすぐ気づくみたいな。でもそうやって誰に教えられるでもなく、二匹で学んでいく様子を見ていると、兄妹で迎えてよかったなと思います」
その初めてに、一匹が挑戦すると、それを見ていたもう一匹が真似するんです。好奇心旺盛なタンタンが最初にやってみるパターンが多いような気がします。
でも、タンタンのやり方はだいたい間違ってて…(笑)。たとえば、柱に貼り付けた爪とぎにヒョイっと上ってドヤ顔をしていたりするんです。その様子を見ていたミミが『それ、たぶん違うな』って、正しいやり方にすぐ気づくみたいな。でもそうやって誰に教えられるでもなく、二匹で学んでいく様子を見ていると、兄妹で迎えてよかったなと思います」
タンタンとミミの喧嘩
同じ日に生まれたはずなのに、オスだからかタンタンの方がミミよりも一回りほど大きく、見た目はお兄ちゃんのよう。でも、前述の様子からもわかるように、ミミの方が断然お姉さんなんだとか。
「この間も二匹でじゃれ合っているうちに本気の取っ組み合いになって。体格差ではタンタンの方が圧倒的に優位なはずなのに、結果はミミの圧勝でした。
タンタンは『その動きいる!?』って思わず突っ込みたくなるような無駄な動きが多いんですよ(笑)。しかも、そのせいで勝手に疲れちゃう。ミミはそんなタンタンのカラ攻撃をずっと尻尾であしらって、タンタンが疲れてきた隙をついて一撃。
鼻に小さな傷を負ったよれよれのタンタンが、見るからにしょぼくれて『ぼくかわいそうでしょ?もうしんじゃうかもしれないからだっこ~』と、大袈裟に甘えてきたのも含めて、もう可笑しくて(笑)」
「この間も二匹でじゃれ合っているうちに本気の取っ組み合いになって。体格差ではタンタンの方が圧倒的に優位なはずなのに、結果はミミの圧勝でした。
タンタンは『その動きいる!?』って思わず突っ込みたくなるような無駄な動きが多いんですよ(笑)。しかも、そのせいで勝手に疲れちゃう。ミミはそんなタンタンのカラ攻撃をずっと尻尾であしらって、タンタンが疲れてきた隙をついて一撃。
鼻に小さな傷を負ったよれよれのタンタンが、見るからにしょぼくれて『ぼくかわいそうでしょ?もうしんじゃうかもしれないからだっこ~』と、大袈裟に甘えてきたのも含めて、もう可笑しくて(笑)」
愛情は注ぐものでなく、溢れ出てくるもの
凸凹兄妹コンビが日々可愛くて仕方がないと松田さん。猫に教えられたのは「愛情には際限がない」ということでした。
「猫を飼う前は、自分のことでいっぱいいっぱいだったし、家族や今周りにいる人たちへの気持ちで、愛情を使い果たしているような気になっていました。だから、これ以上、何かに愛情を注ぐのは無理だろうって思っていたんです。猫を飼ったとしても、ちゃんと愛情を注ぐことができるだろうか…と不安になったこともあります。
でも、実際に飼ってみてわかったんです。愛情って、注ごうと思って注ぐものではなく、自然に、勝手に、溢れてきちゃうものなんだなって」
「これ以上ない」と思っていた、自分の中の愛情が「どこからこんなに?」と思うほどに溢れ出てくると松田さん。何かに愛情を持ち、自分の中にも底なしの愛があるということに気づけたら、世界の見え方まで変わってきそうです。さて、次回はタンタンとミミを飼うずっと前から、松田さんが絵本で描き続けている猫についてのお話です。お楽しみに!
「猫を飼う前は、自分のことでいっぱいいっぱいだったし、家族や今周りにいる人たちへの気持ちで、愛情を使い果たしているような気になっていました。だから、これ以上、何かに愛情を注ぐのは無理だろうって思っていたんです。猫を飼ったとしても、ちゃんと愛情を注ぐことができるだろうか…と不安になったこともあります。
でも、実際に飼ってみてわかったんです。愛情って、注ごうと思って注ぐものではなく、自然に、勝手に、溢れてきちゃうものなんだなって」
「これ以上ない」と思っていた、自分の中の愛情が「どこからこんなに?」と思うほどに溢れ出てくると松田さん。何かに愛情を持ち、自分の中にも底なしの愛があるということに気づけたら、世界の見え方まで変わってきそうです。さて、次回はタンタンとミミを飼うずっと前から、松田さんが絵本で描き続けている猫についてのお話です。お楽しみに!
筒井聖子
画家・絵本作家/松田奈那子