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猫が教えてくれること「媚びない」/ショップ&ギャラリー「ウレシカ」さんの場合vol.1

猫の猫らしい行動に、自分の生き方を重ねてハッとする瞬間があります。ショップ&ギャラリー「ウレシカ」を営むダイ小林さんとカマタユリコさんご夫妻もそう。まったくなつかない飼い猫から教わったのは、お店を営んでいく上でも大事にしたいマインドでした。

猫が教えてくれること「媚びない」/ショップ&ギャラリー「ウレシカ」さんの場合vol.1

サビコとダイさん

西荻窪のショップ「ウレシカ」を営む夫婦

サビコ(メス・8歳)とびんすけ(オス・2歳)の飼い主は、東京都杉並区西荻北でショップ&ギャラリー「ウレシカ」を営まれている、ダイ小林さん(以下、ダイさん)とカマタユリコさん(以下、カマタさん)ご夫妻です。お店を経堂から西荻窪に移転して4年半。雑貨店やギャラリーがひしめく西荻窪界隈において、「ウレシカ」を知らない地元の人はいないほど。

「ウレシカ」営業中、二匹は家でお留守番です。取材は営業時間外にご自宅にお邪魔させていただいて行いました。玄関まで出迎えてくれたフレンドリーなびんすけとは対照的に、最後まで一度も姿を現さなかったサビコ。「警戒心が強くて、私以外はダメなんです」とカマタさんが教えてくれました。

飼い猫のたくさんの写真

「窓の外から家の中を見つめていた野良猫のサビコを保護したのは、今から7年前です。動物病院に連れていくと推定1歳と言われました。野良猫として生きて来た年月がそうさせるのかとても警戒心が強く、ダイのところにはいまだに寄りつきません(笑)」(カマタさん)

「サビコのことは僕が見つけたんですけどね…。家の中で僕と遭遇しようものなら走って逃げていきます。でも、そんなサビコの様子を見ても『今日も元気でよかった』と愛おしさしか湧いてこない」(ダイさん)

8年目のある日の出来事

毛づくろいをする猫

「片思いって、案外楽しいもんですよ」。サビコに7年も片思い中のダイさんは言います。

「もともと妻が一人で飼っていた先代のハチ(オス・享年12歳)も、後から家族に加わった僕にはまったく心を開いてくれませんでした。もしかするとハチは、当時の僕が猫嫌いだって見抜いていたのかもしれない。でも、一緒に暮らしていくうちに、一向に態度を変えず媚びない感じを含めて、ハチが可愛くなってきちゃって」(ダイさん)

こちらを見つめる猫

「ハチと暮らすようになって8年目のある日、何の前触れもなく、突然、ハチが膝の上に乗ってきたんです。『エッ!今なの!?』ってすごく驚いたけど、微動だにしませんでした。少しでも長く乗っていて欲しくて(笑)。サビコともそういう日が来るかもしれないし、来ないかもしれない。どちらにしたって僕はサビコが大好きです」(ダイさん)

ご夫婦がハチとサビコから教わったのは、誰とでも上手くやろうとしなくたっていい。「媚びない」というフラットなマインドだと言います。

西荻窪のショップ「ウレシカ」の外観

「お店をやっていると様々なお客様がいらっしゃいます。私たちは常にオープンマインドでお客様を迎えますが、必ずしも全員に気に入っていただけるわけではありません。置いてある絵本や雑貨、ギャラリーの展示内容は気に入っていただけても、私たちの接客がお気に召さないお客様だって当然いるんです。
今はネットで個人が自由に発信できますから、お客様の率直な感想に凹むこともあります。でも、それだからって誰からも気に入られようとして、媚びるのは違うと思うんです」(カマタさん)

「お客様にはオープンかつフラットでいることさえできていればいいし、片思いでも十分に楽しいことは、もう猫から教わって知っていますから」(ダイさん)

ペットショップにいくまえに展2018

西荻窪のショップ「ウレシカ」の内観

ショップ&ギャラリー「ウレシカ」の1階は、絵本や雑貨のショップになっていて、2階はその時々で様変わりするギャラリー。そんなギャラリーで9月20日(木)~10月8日(月・祝)まで開催されるのが『ペットショップにいくまえに展2018』です。

「犬や猫を新しく家族に迎えたいと思ったとき、お金で買うのではなく、飼い主のいない動物をもらい受ける、ということが当たり前の世の中になってほしい」。絵本作家どいかやさんが作った、同名のフリーペーパーの主旨に賛同した作家さんたちのグループ展。

ペットショップ行く前に展のフライヤー

「今年で8回目を迎える、毎年開催している企画展です。絵本作家のどいかやさん、とりごえまりさんは固定で、その他は毎年違う作家さんに声を掛けて開催しています。今年も12名の画家さんや造形作家さんが出展してくださいます。
この企画を続けているのは『またやってるけど何だろう?』と興味を持ってくれる方が一人でも増えるように。動物モチーフを手掛けている作家さんに声を掛けるのですが、なぜか猫を飼っている作家さんが多くて。この企画をきっかけに繋がり続けているご縁もたくさんあります」(カマタさん)

誰にも媚びないから舞い込んでくる縁がある。今は亡きハチと、人見知りのサビコに教えられました。さて、次回は、猫きっかけでウレシカご夫妻に増えた「親戚」についてのお話です。お楽しみに!

筒井聖子

photo

ショップ&ギャラリー「ウレシカ」

http://www.uresica.com

ペットショップにいくまえに展 2018

http://bikke.jp/pet-ikumae/

この記事を書いた人

宇佐見明日香 編集者・ライター。女性の「生き方」「暮らし方」などライフスタイルにまつわるインタビューを中心に、企業人や起業家のインタビューを得意とする。“しつもんは愛だ”を...

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