猫が教えてくれること「ほどよい距離感」/寅印菓子屋の三毛猫姉妹の場合vol.3
- 公開:2017.12.10
- ライフスタイル
猫の猫らしい行動に、自分の生き方を重ねてハッとする瞬間があります。『寅印菓子屋』の店主・小嶋恭子さんも三毛猫姉妹のあずきちゃん(メス・4歳)&ささげちゃん(メス・4歳)に教えられた一人。連載の最終回は、人間関係を振り返る「ほどよい距離感」について教わります。
三毛猫姉妹が招く縁
三毛猫姉妹のあずきちゃん(メス・4歳)とささげちゃん(メス・4歳)。保護猫だった姉妹の飼い主は、洋菓子店「寅印菓子屋」の店主・小嶋恭子さんです。ココアにラズベリージャムを挟んだ『ザッハクッキー』や秋に人気の『紅玉のアップルパイ』をはじめマフィンやスコーン、ジャムなど小嶋さんの作る洋菓子のファンは多く、不定期営業(主に金・土曜日オープン)の小さな店舗に並ぶ商品は、夕方の閉店を待たずに売り切れてしまうことも。お客さんの中には、あずきちゃんとささげちゃんが繋いでくれたご縁も。
「インスタグラムに猫たちの写真をアップしているのですが、フォローしてくださった方が、お菓子にも興味を持ってくださって、わざわざお店まで足を運んでくれることもあります。妖怪や化け猫の絵で有名な絵描きの石黒亜矢子さんとも、猫つながりで知り合い、今では石黒さんの個展でお菓子を焼かせていただくことも。その他にもあずきとささげがきっかけでつながったご縁は数知れずで、猫の縁って本当にすごいなと思います」
共同生活4年目の大事件
お顔のほとんどが黒いあずきちゃん。鼻だけポチッと黒いささげちゃん。そんな三毛猫姉妹と暮らして4年。初めての大事件が起こりました。あずきちゃんが足の指を骨折したのです。
「ある日、帰宅したら、あずきが後ろ足をつけない状態になっていて、聞いたことのない声で鳴いていたんです。急いで動物病院に駆け込み、先生に診てもらうと、レントゲンに写った後ろ足の指が折れていました。自宅での絶対安静が言い渡され、やんちゃなあずきがしばらくケージで生活をすることに…」
「ある日、帰宅したら、あずきが後ろ足をつけない状態になっていて、聞いたことのない声で鳴いていたんです。急いで動物病院に駆け込み、先生に診てもらうと、レントゲンに写った後ろ足の指が折れていました。自宅での絶対安静が言い渡され、やんちゃなあずきがしばらくケージで生活をすることに…」
「ところが、ケージに入れられたあずきは『出して』とも言わず、普段はおしゃべりなのにまったく鳴かない。あずきの鳴かない家は、しんと静まり返りました。痛みにじっと耐えていて食欲もないし、水さえも飲んでくれない。脱水が心配で、あずきが好きな海苔を細かくちぎって飲み水に浮かべたことも。久しぶりにあずきが『お腹すいたー!ごはんー!』と鳴いた時は、飛び上がるほど嬉しかったです。結局、完治するのに3ヵ月くらいかかりました」
猫には教わる事ばかり
「あずきがケージ生活をしている最中は、さみしいとケガの治りもよくないだろうと思って、ケージの横に寝袋を敷いて夫と交代で寝起きするようにしていました。ささげはというと、まるで何事もないように普段通りのマイペースを貫いていて(笑)。時にはケージのあずきを心配そうにのぞきに来ることもあったけど、それ以外はケージの外からちょっかいを出したり、あずきがケージから出る隙を狙って、自分がケージに収まってくつろいだり、あずきのそばで丸まって眠ったり。
でも、そんないつもと変わらないささげに救われましたし、改めて二匹の付かず離れずの距離感がいいなと思いました。ベタベタしていないというか、フラットでお互いが心地よさそう。誰に教わったわけでもなく、そういう風にできる猫たちには、教わる事ばかりです」
寄り添って欲しい時があるように、ほっておいて欲しい時がある。相手の気持ちも、自分の気持ちも、両方が同じくらい大事だから、お互いにとってほどよい距離感でつきあいたい。そうすれば、寄り添う時間はもっと温かくなるかもしれません。あずきちゃん&ささげちゃん、たくさんの教えをありがとう。
でも、そんないつもと変わらないささげに救われましたし、改めて二匹の付かず離れずの距離感がいいなと思いました。ベタベタしていないというか、フラットでお互いが心地よさそう。誰に教わったわけでもなく、そういう風にできる猫たちには、教わる事ばかりです」
寄り添って欲しい時があるように、ほっておいて欲しい時がある。相手の気持ちも、自分の気持ちも、両方が同じくらい大事だから、お互いにとってほどよい距離感でつきあいたい。そうすれば、寄り添う時間はもっと温かくなるかもしれません。あずきちゃん&ささげちゃん、たくさんの教えをありがとう。
筒井聖子