猫が教えてくれること「みんな違って、みんな良し」／寅印菓子屋の三毛猫姉妹の場合vol.2

顔のほとんどが黒いあずきちゃん（メス・4歳）と鼻だけ黒いささげちゃん（メス・4歳）。見れば見るほど個性的で愛らしい三毛猫姉妹の飼い主は、洋菓子店『寅印菓子屋』を一人で切り盛りする小嶋恭子さんです。あずきちゃん＆ささげちゃんと暮らし始めて4年。小嶋さんから見る二匹の性格は見た目以上にユニークだと言います。

「あずきは好奇心旺盛で、天真爛漫の甘え上手。運動神経がよくて…あと、とにかくおしゃべり。鳴き方のバリエーションが豊富で、私たち夫婦を起こす時、ごはんをねだる時、膝に乗りたい時、その時々で声色を変えて伝えてきます。しかも、人間の耳の位置がわかっていて、はじめは小さく徐々に大きく鳴いて、それでも応えないでいると、前足を私の背中について大きく伸びて、わざわざ耳の近くで鳴きますから。しかもフルボリュームで（笑）」

「ささげは成長も性格ものんびりマイペース。あずきとは真逆で、甘え下手でちょっとどんくさくて無口です。あずきが私の膝でゴロゴロのどを鳴らしているようなときも、ちょっと離れたところから『いいな』って見てて、いつも一歩引いているような感じ。

でも、そんなささげがいつの頃からか、お菓子の仕込みを終えて工房から夜遅く帰宅する私を玄関先で迎えてくれるようになったんです。2階の寝室で夫と寝ていたはずなのに、カギをかちゃかちゃする音で気づくのかサーッと階段を下りてきてくれる。『ただいま』と言って撫でると、ゴロゴロとのどを鳴らしながら、床に転がって足にじゃれついてきます。ささげはささげなりのやり方で甘えるようになってきました」

「ごはんが欲しい時、あずきはいつものようにニャーと鳴いて、ささげはいつものようにジッと目で訴える。二匹を見てると思うんです。みんな違って、みんな良しって。上手い下手じゃなくて、比べることのできない個性。あずきはあずきのやり方で。ささげはささげのやり方で。だから、私も私のやり方で良いんだって思います」

比べるものじゃないし、比べることなんて到底できない一人ひとりの個性。上手く出来なくていい。自分の思いつく限りを尽くして生きればいい。そして、その姿はとても愛らしい。小嶋さんの目を通して見るあずきちゃん＆ささげちゃんに、また教わってしまいました。

さて、次回は最終回。三毛猫姉妹の「距離感」についての教えです。お楽しみに。