猫が教えてくれることvol.3「居てくれるだけでいい」/uzuraさんちのタビくんの場合

猫が教えてくれることvol.3「居てくれるだけでいい」/uzuraさんちのタビくんの場合

今日一番、気持ちいい場所を知っている。猫の猫らしさに自分の生き方を重ねてハッとする瞬間があります。夫婦でオーダーメイドの革靴店『uzura』を営む高橋宏美さんも飼い猫のタビくん(オス・10歳)から教わることがあると言います。3回連載の最終回、宏美さんがタビくんから学んだのは「究極の愛」でした。

夕方の猫パンチは追いかけっこのお誘い

歩いている猫のタビくん

『uzura』は高橋夫妻が営むオーダーメイドシューズ工房。夫婦で靴づくりをする傍ら、月4回は生徒さんを自宅兼工房に招いて、靴づくり教室も開催しています。生徒さんたちの足元を悠々と歩き回り「タビ先生」と可愛がられているのは、ご夫妻の飼い猫・タビくん(オス・10歳)です。「うちで一番貫禄があって、堂々としていて先生っぽいんです」と奥さんの宏美さんは笑います。

「子どもっぽいところもあるんですよ。寝ているだけの1日に飽きてくるのか、日が沈みかける夕方になると私の足に猫パンチ!次の瞬間、サッと逃げてクルッと振り返ったら“追いかけっこ”のお誘いです。タビは追いかけっこが大好き。誘いにやってきた顔は相変わらず無表情なのに、瞳だけは『いつものアレやろう』と期待に満ちていて断りづらいんです。しかも、無視すると何度でも猫パンチ・逃げる・すぐ振り返る、を繰り返して『まだわかんないの?追いかけっこだよ』とお誘いはしつこく繰り返されます(笑)」

ワーッと追いかけるとダーッと逃げていく

家の中をうろうろする猫のタビくん

「タビとの追いかけっこは、私がいつも追いかける役。ワーッと声を出しながら大げさに追いかけると、タビもダーッと逃げていきます。追いかけるのをピタッとやめて物陰に隠れて息を潜めていると、そろりそろりと様子を見に来るので、突然バッと出て行ってまたワーッと追いかけてはダーッと逃げていく。家の中をぐるぐるぐるぐるお互いの息が上がるまで繰り返します。

友人の3歳になるお子さんが遊びに来た時、退屈そうにしていたので『追いかけっこしようか』と私から誘って、いつもタビとやる要領で遊んだら『もう1回!もう1回』と、とても評判がよくて。タビと3歳児の遊びに対する精神年齢は同じなんだなって思いました」

ただ居てくれるだけでいい

窓から外を眺めている猫のタビくん

「タビと意思の疎通ができているな、と感じるのは追いかけっこの時くらいです。あとはタビにはタビの時間が流れているように感じます。でもね、居てくれるだけでいいんです。タビが居るというだけで、私も夫もどれだけ救われたかわかりません。夫婦で仕事をしているから意見の食い違いはしょっちゅう。時には喧嘩にまで発展することもあります。そんな私たち夫婦のやりとりをいつもの無表情で見ているタビ。『また始まったよ~。なに言ってるんだろうね~、高橋くんは(ご主人のこと)』とタビ相手に愚痴っても、当然のように我関せずの無表情。

でも、ただ居てくれるということが有難いです。何かの役に立つわけでも、愛情をかけた分お返ししてくれるわけでもない。でも、タビの存在が、タビがいるこの家の空気感がしあわせ。心が波立つような忙しい日は、家のどこかにいるタビを探してしまいます。タビのいつもビックリしているようなこの顔を見ると、すごく安心するから」

人が猫に「居てくれるだけでいい」と思えるように、人相手にもそう思えたら…。何かの文章で「愛することはもちろん憎むことでさえも、前提に相手を敬う気持ちがなくてはならない」と読んだことがあります。存在に感謝。誕生日や記念日はもちろん、なんでもない毎日でも「生まれて来てくれてありがとう」の気持ちを胸に、家族や大切な人と接することができたらいいですよね。案外、相手の言動に「むむ…」と思ってしまった時にこそ「存在に感謝」という呪文は、効き目を発揮するかもしれません。タビくん、いろんな教えをありがとう。

photo / 筒井聖子

手作り靴屋uzura

http://www.uzura-village.com/

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