秋の夕焼けをバックに映画を楽しむ。1日限りの野外映画館「星降る町の映画祭」

9月30日（土）に開催される「星降る町の映画祭 with CINEMA CARAVAN」。これからの日本映画を担う映画監督を応援し、日本映画を活性化していこうという取り組みの一環として生まれた本イベント。第1回目となる今年は、三浦半島最果ての島である城ヶ島の公園にて3人の映画監督のオリジナル作品を野外映画館で初上映するのだそう。相模灘に突き出した城ヶ島は美しい海と海浜植物に恵まれた、まさに“緑の楽園”。美しい景色、気持ちのいい潮風、穏やかな波の音やススキが揺れる音。そんな自然が生み出す、さまざまな“心地よさ”を感じながら鑑賞する映画は、すべての“心地のいい感覚”とともにずっと思い出に残る作品になるはずです。

お昼から夜までたっぷりと楽しみが用意されたこちらのイベントでは、お昼から三浦半島のおいしい食べ物やドリンクをご提供。その他にも、監督のトークショーや『映画の小屋』という訪れた人々が集まれるおしゃべりスペースの用意もあります。何をするわけでもない自由な場所を多く用意することで、映画好きの方やアウトドアが好きな方、そして映画監督とも語り合ったり、飲んだりと自由に楽しめる空間の提供がなされています。

そして、今回のイベントの主役でもある『星のスペース』で上映される3つの映画。

1つ目の映画『浅草スマイル』のテーマは、自分の夢をひたむきに追い続ける主人公の姿勢。夫婦でコンビを組む漫才師が妻の事故による記憶喪失など苦難を乗り越えては、また壁にぶつかり…それでも諦めない。そんな主人公の姿は監督である林さん自身を重ねながら作られたのだそう。“多くの場合、夢は簡単には叶わない。だからって諦めるんじゃなく、一歩でいいから踏み出そう”。この映画を見た後、そんな風に思ってもらえたら…という願いが込められた、儚くも心がほっと温まる作品です。

2つ目はドキュメンタリー映画『大津 city 今恋心』。「消えゆく者たちに光を。それが映画の使命だ」。そう語る監督の太田さんが今回主役に選んだのは、かつて名を馳せたバンドのメンバーであったダンシング義隆さん。彼の、社会と向き合って紡ぎだされた歌詞や音楽に心惹かれてこの映画を撮影したそう。作中では戦争をはじめとする暗い現実にも触れ、彼の生き様をありのまま表現。見終わったあとは、自分を見つめなおすきっかけとなったり、心が勇気づけられるような作品です。

最後はSFコメディー『巣鴨救急2030』。2030年の超高齢化社会となった日本において、唯一経済成長が続いている巣鴨が舞台の作品です。なんだか既に好奇心が湧いてきますよね。監督である高島さんがコメディー映画を作る理由には、“笑い”によって、よりメッセージ性を伝えやすくなるのでは？という考えがあるのだそう。希望を持てないなぁと思われがちな今の世の中。具体的に13年後を見せることで、観客に笑いを交えながら“未来を見つけるきっかけ”を感じてもらえたら…という想いを込めて、こちらの作品は作られています。不確かで不安定な未来ですが、ちょっと見方を変えてみれば、『意外と明るいかも』という発見を与えてくれるかもしれません。

それぞれが個性的で好奇心をそそられる3作品。どれも見た後には自分を変えるきっかけを与えてくれそうな前向きな作品ばかり。この機会にフードやドリンクを楽しみながら、野外映画館を体感してみてはいかがでしょうか。

フード・ドリンク・トークショー・野外映画と様々な楽しみ方を用意している「星降る町の映画祭 with CINEMA CARAVAN」。気候も快適な今の時期が一番楽しめそうなこちらのイベントは、お昼から訪れてフードやドリンクを楽しみながら、秋の赤やピンクといった印象的な夕焼けの美しい景色を、ぼうっと眺めて過ごしても素敵。芸術の秋、食欲の秋。都会の喧騒から逃れて、何かと楽しみの多い秋の幕開けを「星降る町の映画祭 with CINEMA CARAVAN」で感じてみてはいかがでしょうか。