ふんわり姉妹が経営するパン屋「粉花」から学ぶ本気の生き方
東京・浅草にある姉妹が経営する人気のパン屋「粉花」。趣味ではじめたパン作りに夢中になり「パン屋になる!」と一念発起した姉と、その言葉に「私も!」と薬剤師をやめた妹。それから8年…ふんわりとした雰囲気が魅力の姉妹が経営するパン屋はパン好きの間で評判のお店になっていました。
- 2016.8.31
- ライフスタイル
趣味ではじめたパンづくりのはずが…
もともと理系だった妹の藤岡恵さんが、ある日天然酵母から作るパンの本に出合ったのが全ての始まりでした。書いてある通りにやっても、なかなか上手にパンが膨らまず、姉の真由美さんに相談。興味を持った彼女の方がパン作りの面白さに目覚めたと言います。それでも、当時は仕事もあり単なる趣味でしかありませんでした。ところが、知人の紹介で訪れた整体の先生にパン作りの話をしたところ「パン作りを教えて欲しい」と頼まれ、先生とその知人を集めてパン作り教室を開催。生地をこね、成型して、オーブンから出したときに「わー」と、一斉に歓声があがったそうです。そのみんなの喜んでいる顔を見た瞬間「私、パン屋になる!」と真由美さんは決断しました。
パンフリークではないからこそ、美味しいパンを食べたい
真由美さんがパン作りに目覚めるきっかけを作った恵さんは、姉のひらめきに賛同し職場に辞表を。特別に野心があるわけでもない、ふんわりとした雰囲気の普通の姉妹が「パン屋になる」というひらめきからわずか半年後、実家から自転車で5分の場所に「粉花」をオープンさせたのです。パンを焼くのは真由美さんの仕事。併設したカフェで提供しているコーヒーや紅茶を淹れるは妹の恵さんが担当します。その真由美さん「実は私、パンフリークってわけではないんです」と驚きの発言。でも「だからこそ、本当に美味しいパンが食べたい」という想いから、小麦粉は北海道産、塩は沖縄の粟国の塩、そして自家製の天然酵母と素材にこだわったパンを作っています。
パン好きをもうならせる、厳選素材から作られた味
素材にこだわるというのは言うほど簡単なことではありません。素材で試行錯誤していた頃、最初に使っていた粟国の塩に似た別の塩で試作品を作ったところ、それを食べた友人に「塩を変えたでしょ?」と言われてしまったそう。それは、「ほんのちょっとの変化も、お客様には伝わってしまうんだ」と驚きつつも、素材はやっぱり大切だと改めて認識した瞬間だったと真由美さん。以来、安心して食べられる美味しいパンを目指し、地元はもちろん、パン好きを魅了するパンを作り続けています。
本気で生きると決意した姉の背中を押した、あの一言
「以前の私は、普通に幸せに暮らしていたのに、どこか虚しくて、本当の私はこんなんじゃない、“本気で生きたい”と思っていました」と真由美さん。そんな中、整体師の先生に依頼されたパン教室。最初は断ったものの、その先生から「本当は出来るのに、いつも出来ない、出来ないって言ってるよね。そんなんじゃ一生変わらない」と厳しい一言を言われ目が覚めたそう。「何かやりたいって思ってるうちは、好きなことをしてる自分になりたいだけなんですよね。でも、本当の自分を生きてないと何をしても意味がないんじゃないかな。何かをやれるようになるよりも、自分を生きることの方が大切だと思うんです」。そう語る彼女が本気で情熱を傾けて焼いたパンを求めて、今日もたくさんの人が下町の小さなパン屋を訪れています。
photo / カオリーヌ、粉花(花と丸パン)
粉花
東京都台東区浅草3-25-6 1F
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パン好き必見!食べた人を笑顔にする天然酵母パンの店「粉花」
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