はじめての寄席へ。江戸の風情が息づく浅草演芸ホールで落語を楽しむ

独特の間と味わいある芸で楽しませる伝統的な和の話芸・落語。東京には毎日、落語を聞ける定席の寄席が4つあります。そのひとつが浅草演芸ホール。浅草寺の雷門と東京スカイツリー、新旧の東京のランドマークがある街・浅草で落語を楽しむのはいかがでしょう。
 山根 大地

定席寄席で落語をきく

photo:山根大地

最近、伝統的な和の話芸・落語が注目を集めています。漫才の爆発的な笑いとは異なる、独特の間と味わいのある芸で楽しませてくれるのが魅力です。大がかりな舞台セットもなく、使用するのは扇子と手ぬぐいのみ。目線と手振り、そして、言葉のテクニックだけで観客を物語の中に引き込んでくれます。
日本の伝統芸能の中でも歌舞伎や能狂言より敷居が低く、フランクな庶民のための芸なのも落語の特徴です。
毎日、落語が聞ける落語定席のひとつが「浅草演芸ホール」。江戸の雰囲気を手軽に味わえるということで、外国人にも人気があります。たくさんの観光客で賑わう浅草寺の雷門から、歩いて5分の「浅草六区」と呼ばれる、古くからの歓楽街の中にあります。歓楽街といっても、最近は観光客向けのお店が増えたりしてきれいになっており、はじめての女性でも安心して歩くことができるエリアです。

フェスのように楽しむ

photo:浅草演芸ホール

定席の寄席は、お昼頃から夕方までの昼の部と夕方から始まる夜の部に分かれており、それぞれ20人くらいが出演します。
落語家の世界は、駆け出しの「前座見習い」や「前座」、少し力をつけた「二つ目」、そして一人前の「真打」と出世をしていきます。寄席では、早い時間に二つ目や若い真打の落語家が出演し、後になるほど実力のある落語家が出てきます。最後に出てくるのが、いわゆる「トリ」。ベテランの落語で締めます。

落語の間には、「色物」と呼ばれる曲芸や手品、漫才なども演じられます。テレビでおなじみのナイツのような実力派が出ることもありますよ。
演目は決まっておらず、その日そのときのお楽しみ。出演者リストである「番組」はだいたい10日ごとに変ります。ネットでも公開されているので、お目当ての落語家を目指して行くもいいですし、何も決めずに行っても楽しめます。
フェスのようにいろいろな落語家、いろいろな噺を楽しめるのが寄席のいいところです。知らないものを知る喜び、新しい出会いを楽しみましょう。

寄席のルールとマナー

photo:浅草演芸ホール

寄席のチケットは、原則的に前売り無しの当日券のみ。そして、全席自由席です。浅草演芸ホールでは、原則的に昼の部と夜の部の入れ替えは無く、丸一日楽しめます。
そうはいっても、はじめから終わりまでずっと観なくてもよく、好きなときに入って好きな席に座り、好きなときに出ればOKです。ひとつだけ気をつけたいのは、落語をやっている最中に入場してしまうこと。これは、落語家さんにも周りのお客さんにも迷惑です。「切れ場」と言われる演目と演目の間に入退場するようにしましょう。

浅草演芸ホールでは、席で食べたり飲んだり、お酒もOK。声を出して笑うのも、もちろんOK。ただし、携帯電話の着信音など、舞台と関係無い音を立ててしまうのはNG。それだけ気をつけて、リラックスして楽しみましょう。

お気に入りの落語家さんを見つけよう

テレビでおなじみの人以外にもおもしろい落語家さんがたくさんいらっしゃいます。それぞれの個性や得意なネタなど、知れば知るほど寄席は楽しくなります。
とっかかりとして初めての人におすすめの落語家さんを紹介します。

『柳家喬太郎』は、伝統的な古典落語も創作落語もでき、正統派の芸でも邪道なギャグでも笑わせるオールラウンドな平成の爆笑王。寄席のトリも務める実力者です。
若手ナンバーワンといわれるのが『春風亭一之輔』。21人抜きの飛び級で真打に昇進したホープで、とぼけた味の古典落語を得意としています。
人間国宝・柳家小三治の弟子で、古典落語が得意な正統派・『柳家三三』、艶やかな女性の仕草に定評のある『古今亭菊之丞』にも注目です。
また、若い人が多い二つ目の落語家さんの中からごひいきを見つけて、成長を見守りながら長く応援していくのもおすすめです。


一口に落語といっても、たくさんの落語家がいて、いろんな噺があり、おもしろさもさまざま。自分なりのお気に入りを見つけると寄席に足を運ぶのが楽しくなりますよ。

浅草演芸ホール
〒111-0032 東京都台東区浅草1-43-12

http://www.asakusaengei.com/

※掲載内容は記事公開時点のものです。最新情報は、各企業・店舗等へお問い合わせください。
内容について運営スタッフに連絡

関連キーワード

おすすめ記事

関連特集