棚DIY初心者さんにおすすめ。手作りに見えない、簡単おしゃれな棚の作り方

「いつか片付けよう」と思ったきり、部屋の隅やクローゼットの奥などに放置している物はありませんか?きちんと整理整頓するためには、物に定位置を作ってあげることが大切。今回は、片付けが楽しくなる棚のDIY術を伝授します。DIY初心者さんにもおすすめですよ。
 宇井原 クリ子

手作りだとメリットがいっぱい!棚のDIYをおすすめするワケ

棚をDIYすることには、以下のようなメリットがあります。

◆ぴったりサイズの棚が作れる
「置く場所」、「使う人の体型」、「乗せる物」に合わせて幅や高さなどを細かく調整できます。

◆予算内で収められる
工具などの初期投資が必要ですが、それでも既製品を購入するよりもリーズナブルである場合がほとんど。予算に合わせて材料を変えられます。

◆デザインの幅が広がる
インテリアや好みに合わせて素材、色、形を自由に選べるだけでなく、アイデア次第で機能面もしっかりカバーできます。

DIYなら自分の理想を詰め込んだ棚を作ることが可能。既製品の棚は、仕上がりが美しいものばかりですが、使い勝手がいまいちということも…。特に、棚を置くスペースが限られている場合や収納する物が決まっている場合は、既製品でぴったりの物を探すよりもDIYで自作するほうが適しているといえます。

初心者さん必見。DIY棚作りの基本・作り方

メリットはいろいろあるとしても、DIYは難しそう…と思うかもしれません。しかしポイントさえしっかり押さえておけば、初心者でも1人で簡単に棚を製作できるんです。
棚作りの工程を、「準備」と「作業」に分け、それぞれポイントをお伝えします。

初心者でも失敗しない!「準備」の4ポイント

◆準備1、簡単な設計図を作る:重要度★☆☆
設置する場所の高さ、横幅、奥行きを採寸し、仕上がりのイメージをラフスケッチします。サイズ以外に、素材のイメージや色などをどんどん書き込んでいきましょう。

◆準備2、材料の下見をする:重要度★☆☆
設計図を持ってホームセンターなどに足を運び、どの材料を使うかを決めます。材料を決めたらサイズ(重さ、厚み、長さ)や値段などの情報を設計図にメモしておきましょう。ホームセンターに加えてネットショップや100円ショップをチェックすると、プロ仕様のアイテムを格安で購入できたりリーズナブルな代用品を見つけたりできるかもしれません。

◆準備3、正確な図面を作る:重要度★★★
正面図(真正面から見たときの図面)、側面図(真横から見たときの図面)、平面図(真上から見たときの図面)の3つを作成し、各図面に釘打ちもしくはビス留めの位置、木材の接合形状、各所の寸法などを細かく書き込みます。

◆準備4、調達するものをリストアップする:重要度★★☆
買い物へ行く前に、必要な木材、塗料、工具、接合金物(釘、ビス、ボンドなど)をすべて書き出します。それぞれのサイズと数もしっかりチェック。うっかりミスを防ぐために、すでに家にあるものや借りられるものもリストに加えておくのがおすすめ。

以上が準備になります。簡単な棚を作る場合は割愛することもできますが、しっかりと準備しておくことで次の作業がスムーズに行えます。

5ステップで完成! 基本となるDIY棚の作り方

◆作業1、材料の調達
準備4のリストを元に材料を揃えます。全ての材料が揃ってから作業を始めましょう。

◆作業2、カット&穴あけ
木材を図面のサイズにカットし、釘やビスを使う場所にあらかじめ穴を開けておきます。この穴があると、組み立て間違いや釘打ちやビス留めの失敗を減らせます。

◆作業3、組み立て
図面通りに棚を組み立てます。

◆作業4、塗装
ニスや塗料を塗って見栄えをよくします。

◆作業5、金具の取り付け
最後にキャスターや取っ手などを取り付けます。

わずか5つの工程で理想の棚が完成。ホームセンターで木材をカットする、木材の塗装を省くなどの工夫をすると、棚作りはさらに簡単になりますよ。

DIYの仕上がり・難易度を左右する「木材」について知っておこう

ホームセンターに行くと、様々な木材があって悩むかもしれません。「スギ無垢材」「タモ集成材」など見慣れない表示を目にするかと思いますが、これらの表示は前半は材木の種類、後半は成形方法を示しています。ちょっと難しいかもしれませんが、この材木と成形方法の特徴を覚えておくと素材選びの際に役立ちます。

◆DIYでよく使用させる材木の種類
・スギ
比較的リーズナブルで柔らかい材質。加工しやすく、DIY初心者におすすめ。

・パイン(マツ)
経年変化で飴色に変化し温かみが出やすい木。耐久性が低いため塗装などの加工が必要。

・SPF
丈夫で軽いマツ科針葉樹の総称。パイン材も含め、マツ科針葉樹のうちの何の木かは区別せずに売られることが多い。

・アッシュ(タモ)
美しい木目が人気。重さに耐える「強さとしなやかさ」を備えている。

・クリ
腐りにくく、キッチンや洗面所など水回りでの使用に適している。

・ケヤキ
耐水性、耐久性、防虫性、加工性などに優れた高級材代表格。

・キリ
とても軽いので小棚や引き出し棚に最適。湿気に弱く強度はいまいち。

・ウエスタンレッドシダー(米杉)
耐久性や加工性に優れた軽い木材。自然の防腐成分を含んでいるため屋外使用もOK。

・ウォルナット(クルミ)
衝撃に強く、反りや歪みが生じにくいので戸棚や食器棚におすすめ。

・オーク(ナラ)
ナチュラルかつクールな風合いが魅力。傷がつきにくく耐久性に優れている。

・チーク
塗装しなくてもワックスをかけたような光沢を放つ木。摩耗しにくいことから本棚によく使われる。

◆成形方法
・無垢材
原木から切り出したままの状態。素材そのままの風合いを楽しめるが、その材木の性質に合わせた加工やお手入れが必要。DIY上級者向き。

・集成材
ブロック状の材木を貼り合わせることで、比較的均一な品質と強度を実現。DIY初心者でも扱いやすいとされる。

・合板
薄くスライスした板を3枚以上貼り合わせたものでベニヤ合板とも呼ばれる。表面に塗装や突き板などを施したものは化粧合板という。強度が高く比較的安価。

・OSB
木材の小さな欠片を接着剤と混ぜて圧縮成型した板。安価で仕上げ塗装が不要。

初心者でも自分にぴったりのDIY棚に仕上げる作り方のコツ

棚づくりの基本を踏まえ、ここからは設置する場所や置く物に適した棚を作るコツや、自分好みの仕上がりにするコツをご紹介します。棚のタイプ、デザイン、材料にこだわることで使い勝手がぐんとよくなります。

1. スペースによってぴったりな棚のタイプを見極めよう

棚は、本棚のような「据え置きタイプ」と壁面収納や吊り棚のような「取り付けタイプ」の2つに分けることができます。スペースが広いなら据え置きタイプ、狭いなら取り付けタイプがおすすめ。ここでは、それぞれのメリットとデメリットをお伝えします。

◆スペースが広いなら「据え置きタイプ」
メリット:初心者でも挑戦しやすい/たくさん収納できる/安定感があり比較的丈夫/アレンジや移動が可能
デメリット:場所を取る/再利用しにくい/DIY作業をするスペースが必要

◆スペースが狭いなら「取り付けタイプ」
メリット:狭い場所や奥行きがない場所、家具の上などにも設置できるのでデッドスペースを有効活用できる/すっきり感がある/おしゃれに見える/低コストに抑えられる
デメリット:重い物を置く場合は補強が必要/安全性の不安

2. 置く場所や使用環境に合わせて手を加えよう

木材は湿度に応じて収縮と膨張を繰り返しすため、置く場所によって、反り、歪み、割れ、腐敗などが生じやすくなります。特に、キッチンや洗面所などの水回りに設置する棚は、湿気、カビ、サビに強い材料がおすすめ。水拭き掃除をしたい棚は、色落ちを防ぐために耐水性塗料やコーティング剤でカバーしてください。

窓の近くや屋外など、常に日光が当たり続けるような場所も注意が必要。弱い木材を使用する場合は、しっかり塗装して裏桟(うらざん)や裏板のような補強パーツを取り付けてください。

取り付けタイプの棚は設置する場所の強度や下地の有無によって補強が必要な場合も。落下や破損の危険があるので必ずチェックしてから設置してください。
そのほか、隙間収納やキッチンまわりの棚にキャスターをつけて動かせるようにする、リビングのウォールシェフルにアイアンバーをつけて雑誌やレコードを飾れるようにするなど、プラスアルファの工夫で使い勝手が格段によくなります。

3. 置く物に合わせて手を加えよう

衣類やタオルなどの布製品を置く場合は、ヤスリをかけたりコーティング材を塗ったりして塗料の色移りや木材のささくれを防止。隠したい物を収納する場合は扉もしくは引き出し、ホコリが気になる場合はガラス扉をつけるといいかもしれません。
また、重い物や大量の荷物を置く場合は、棚の強度を上げる必要があります。例えば、棚を低く設定する、縦板や棚受けの数を増やす、L字金具を使って補強するなど、方法もさまざま。
困ったときやわからないことがあるときは、DIY上級者やホームセンターの売り場担当者に相談して、アドバイスをもらうことをおすすめします。

4. 好みの塗装で仕上げよう

塗装にムラをつくったりヴィンテージワックスを塗ったりするとアンティーク風の棚に、木材の風合いを活かすクリア塗装はナチュラルテイストの棚に。同じ作りの棚でも、仕上げ塗装を変えるだけで印象が大きく変わります。また、テープやプレートでデコレーションしたり、人気の男前インテリア風にステンシル塗装を施してもGOOD!
ただし、塗料やオイルの中には、研磨や仕上げ剤が必要となる場合もあるので使用方法を必ずチェックしてください。

5. 便利アイテムを活用しよう

簡単なDIYアイテムを使えば、時間がない人や面倒な作業が苦手な人でも棚を作ることができます。例えば、カラーボックスや木箱をアレンジしたり、ディアウォールやレクポストを使用したりすると、作業工程を簡略化することができます。最近はDIYに必要な物がセットになった工作キットを販売しているところもあります。また、100円ショップのすのこやDIY材を活用すればわずか数十分で小さなマガジンラックやちょい置き棚を作ることも可能。
難しいと決めつけずに、簡単なDIYからはじめてはみてはいかがでしょうか。

すぐに真似できる。簡単DIY棚のコーディネート例

最後に、驚くほど簡単につくれる棚を紹介。DIY初心者さんのヒントになるようなアイデア収納を集めました。ぜひ参考にしてください。

シンプル&ナチュラルな三角ウォールシェルフ

無垢材の木片で三角形を作りランダムに配置。中にお気に入りの写真や小物を置けば、ウキウキするような空間に。北欧テイストのインテリアとも相性抜群です。

木箱をリメイクしたヴィンテージ風収納棚

木箱を重ねただけの収納棚も、色や置く向きを変えれば表情豊かに。木箱同士をしっかり接合したり天板を設置したりするとより美しく仕上がります。

棚の下にも収納できる階段型飾り棚

ウォールシェルフの下にフックをつけて収納力をアップ。段数を増やしたり、上り下りさせたり、アイデア次第でさまざまな形に応用できます。

貨物用の木製パレットを再利用した収納棚

パレットを並べて、その片面の板を何枚か外すだけでこなれた雰囲気の棚がつくれます。そのままでナチュラルな風合いを活かすもよし、塗装して雰囲気を一新するもよし。

かわいくておしゃれなラダーシェルフ

据え置きタイプと取り付けタイプの良いところを併せ持つはしご状の棚。「ラダーブラケット」と呼ばれる専用金具などを使えば誰でも簡単に作れます。

工具や金具を使わない超簡単ラダーシェルフ

木製の脚立の踏み板に天板を渡すだけで、ヨーロッパの田舎町を思わせる素朴で温かみのある棚が完成。屋内外を問わずに使用できます。

くぼみを有効活用した壁面収納

柱や壁に囲まれたコの字型のくぼみは棚板を設置するだけで、備え付けの収納棚のような仕上がりに。ディアウォールを使えば壁に穴を開けずに棚を設置できます。
はじめて棚づくりに挑戦する人もそうでない人も、「基本」と「応用」だけでなく「手抜きテクニック」を取り入れてDIYを楽しんで欲しいもの。初めは上手にできないかもしれませんが、簡単な物から作り始めてみて、少しずつ難しいものに挑戦してみてはいかが? 使いやすい棚が増えれば増えるほど、部屋も心もすっきりするはずです。

photo / Shutterstock

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