トキの住む、自然豊かな佐渡からの贈り物。野菜を使った「佐渡保存」のジャム
佐渡というと、江戸時代の金の採掘、あるいはトキの生息する島をイメージする方もいるかもしれません。新潟港から船で約1時間。自然豊かな島の産物を使った保存食「佐渡保存」をご紹介します。
- 2017.6.10
- グルメ・食
ジャムと言えば果物のイメージでしたが…!?
私が「佐渡保存」の前身「 PLUS HITOTOK!(プラスヒトトキ)」に出会ったのは、たぶんネットだったと思います。可愛らしく瓶に詰められたコンフィチュールの写真。いわゆるジャムですが、目を引いたのはゴボウや玉ねぎ、ニンジンといった、ジャムのイメージには結びつかない一風変わった素材。そして、そこに「佐渡」という地名が…、いったいこれはどんな味なのだろう?そして佐渡とはどんなつながりが?いろいろ疑問が湧き上がり、調べてみると台東区上野桜木のマルシェに出店するという情報を見つけ、早速出かけて行って、sweet onion spice(スイート・オニオン・スパイス)、green smoothie(グリーンスムージー)を購入。その素朴な美味しさに魅せられてしまったのでした。
佐渡の農産物を使って、島の活性化を
「プラスヒトトキ」は、親会社の社長が佐渡出身で、故郷の佐渡の活性化のために何かしたいという強い思いがあって発足したプロジェクトなのだとか。「佐渡は、どんどん過疎化が進んでいます。観光客も少なくなり、空き家が増えて、田んぼも休耕田が増加。そんな中、佐渡の産物を県外に持って行って売ることができれば、佐渡の人たちの生きがい、やりがいにつながって喜んでもらえるだろうというのが、成り立ちです」。そう語るのは代表の武田俊さん。実は佐渡は、放鳥されたトキが田んぼのドジョウや畑のミミズを食べて生きています。そんなトキを守るために、島全体として農薬や化学肥料をかなり減らして農業を行っているので、佐渡の産物は安全だということがわかります。その佐渡の産物を使って何か出来ないかと考えに考えて、野菜や果物を使ったジャムに行き着いたのだそう。2017年5月からは、より佐渡を前面に押し出し、保存食を作っているということをアピールするためにブランド名が「佐渡保存」に変更されました。
アクの少ない佐渡産のゴボウはジャムに最適
「ジャムと言えば、果物のイメージが強いと思います。でも、果物だったら、長野や山梨など、種類が豊富な地域がいっぱいあります。その点佐渡は、野菜が豊富。アクの少ないゴボウはジャムにも最適。そんな野菜を使ってみようと思いました」と語るのはプロダクトマネージャーの菅原香子さん。そこでゴボウや、玉ねぎ、人参などを使ったジャムが登場しました。「自分たちとしては、万能に使えるソースという風に考えていただきたいと思っています。パンに塗るという定番の使い方以外に、ごはんに合わせる、お肉に合わせる、魚に合わせる、野菜に合わせるなど、ソースや調味料的にも使えるので、そんな使い方の提案もしています」(菅原さん)。材料を供給してくれる農家の方には、東京ではお客様に好評だということを伝えると、まだ半信半疑のところもあるのだそうです。「でも、ゆくゆくは京野菜、加賀野菜と並んで、佐渡野菜と言われるぐらいにしたいです。そうすれば農家さんのモチベーションも上がってくると思うので」(武田さん)。
低農薬で安全、丁寧なもの作りの姿勢を発信していきたい
「佐渡保存」では、5月からパッケージをリニューアルしました。「佐渡保存」という文字がドーンと目に飛び込んでくる、何とも迫力のあるパッケージです。「今までは、佐渡産なのに佐渡という文字がなかったので、思い切って佐渡の保存食なんだということを全面に押し出しました」(武田さん)。とはいえ、この書体をどうするかは、デザイナーの佐久間栄介さんをずいぶん悩ませたようです。「当初は、漢字ひらがなを混ぜたり、いろいろ悩みました。確かに漢字4文字は、イメージ的には堅いですけれども、言いたいことがダイレクトに伝わるということで、ここに収まったんです」(佐久間さん)。トキの住む佐渡の農産物は安心・安全であるということもパッケージで表現したかったのだそうです。
(写真は、パッケージについて話し合う、左から菅原さん、武田さん、佐久間さん)
(写真は、パッケージについて話し合う、左から菅原さん、武田さん、佐久間さん)
今後は海産物や豚肉の加工品で、保存食を極める
現在、ジャムの製造は佐渡にある工房で行われているのだそうです。今は野菜や果物のジャムだけですが、今後はソースやスプレッド、ディップ、ドライフルーツ、ドライベジタブルなど、さまざまな保存可能な商品。そして甘エビのオイル漬けなどの海産物、佐渡の豚を使った生ハムなど一捻り、二捻りした商品を作っていきたいということです。そんなお話を伺うと、食いしん坊な私としては是非是非食べてみたい!と思わず前のめりになってしまいました。ゆくゆくは、工房で働く方の人数を増やし、保存食作りのワークショップやカフェなどもやってみたいとのこと。佐渡から日本各地へ、そして海外へ。夢はどんどん膨らむばかりのようでした。
photo / 佐渡保存、reeeko
佐渡保存
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