あなたを悩ませる【便秘】の原因は?症状別に見る6つのタイプとセルフケア方法

便秘は、多くの人が悩んでいる身近な不調のひとつ。便秘の原因について、東洋医学では、からだ全体のバランスの乱れが影響していると考えます。今回は、便秘解消のための方法を、あんしん漢方の薬剤師・山形ゆかりさんに伺いました。
 Sheage編集部

東洋医学で考える便秘とは?

東洋医学では、便秘は単なる「便が出ない状態」ではなく、体内のバランスが崩れ、内臓の機能が低下しているサインだと考えます。

とくに「脾(ひ)」「肝(かん)」「腎(じん)」「大腸」などの臓腑が、便秘と深く関係しているとされています。

こうした観点から、便秘の原因をいくつかのタイプに分けられます。自分がどのタイプなのか、チェックリストで見てみましょう。

気滞 - きたい(気の滞り)

・ストレスを感じると便秘になる
・おなかが張って苦しい
・ゲップやおならが多い
・イライラしやすい
・胸やみぞおちが詰まった感じがする

気滞とは、からだを動かすエネルギーである「気」の流れが停滞している状態です。ストレスなどが原因で「肝」の「気」を巡らせる働き(疏泄作用)が低下することで起こります。

気滞タイプの便秘は、腸の動きが悪くなり、便秘に伴いおなかの張りやゲップなどの症状があらわれるのが特徴です。

気虚 - ききょ(気の不足)

・いきんでも便がなかなか出ない
・便が途中で途切れることが多い
・何をしてもすぐ疲れてしまう
・息切れしやすく、汗をかきやすい
・食欲があまりわいてこない

気虚タイプは、「気」の不足により便を押し出す力が弱くなることで便秘になります。

気虚の原因としては、消化器の総称である「脾」の機能が低下して、飲食物から「気」が十分に作られないことが考えられます。

血虚 - けっきょ(血の不足)

・ウサギの糞のようなコロコロした便が出る
・顔色が悪く、爪や唇の色が薄い
・めまいや立ちくらみがある
・髪や肌が乾燥している
・生理不順や生理痛がある

血虚は、からだに栄養や潤いを与える「血(けつ)」が不足した状態です。「血」は、「精」や「気」から作られるため、「精」を貯蔵する「腎」と、飲食物から「気」を作る「脾」の機能が低下すると、血虚になりやすくなります。

女性は月経や出産などで「血」が失われやすく、男性より血虚になりやすい傾向にあります。

陰虚 - いんきょ(潤い不足)

・かたくて乾燥した便が出る
・のぼせやほてりを感じる
・のどや口が渇きやすい
・寝汗をかきやすい
・不眠になりやすい

陰虚タイプは、からだの水分(津液)が不足し、腸が乾燥することで便秘になります。陰虚は、腎臓や膀胱の機能を担う「腎」の働きが低下し、体内の水分代謝が乱れることが主な原因と考えられています。

血虚と似ていますが、熱の症状を伴うことが多いのが特徴です。

陽虚 - ようきょ / 寒邪 - かんじゃ(冷え)

・便意をあまり感じない
・便を押し出す力が弱い
・おなかを温めると便が出やすくなる
・トイレに行く回数が多い
・手足が冷えやすい

陽虚タイプは、からだを温めるエネルギーである「陽気」が不足して、からだが冷えて腸の動きが鈍くなることで便秘になります。寒邪は、冷たい飲食物や低い気温などの、冷えを引き起こす外部要素を指します。

熱秘 - ねっぴ(熱のこもり)

・便がかたく、排便時に痛むことが多い
・便秘と下痢を繰り返すことがある
・口が渇き、水をよく飲む
・顔が赤みを帯びている
・口内炎ができやすい

熱秘は、からだに余分な熱がこもった状態です。からいものや味の濃いもの、脂っぽいものなどの摂りすぎが原因と考えられてます。熱秘タイプの便秘は、便がかたくなることで排泄しにくくなるのが特徴です。

タイプ別!便秘のセルフケア実践法を紹介

ここからは、タイプ別の具体的なセルフケア方法をご紹介します。

食事編

まずは白湯や常温の水で1日コップ5〜6杯のこまめな水分補給と、食物繊維や発酵食品(納豆、キムチ、ヨーグルトなど)の摂取を意識しましょう。

食物繊維は、整腸効果のある水溶性食物繊維と、便の排泄を促す不溶性食物繊維の両方をバランスよく摂るのが大切です。水溶性食物繊維は、果物や海藻類に多く含まれています。不溶性食物繊維が多い食材は、根菜や豆類、きのこ類です。

生活習慣編

どのタイプも、十分な睡眠時間やバランスのいい食事、適度な運動など、規則正しい生活が大切です。運動習慣がない場合は、まずはウォーキングやストレッチなどで、1日10分でも多くからだを動かす時間を増やしましょう。

また、排便リズムを整えるために、朝食後はトイレに行く習慣をつけることも重要です。腸は、自律神経の副交感神経が優位なとき(リラックス状態)に活発に動きます。腸の動きをよくするために、リラックスする時間をとりましょう。

便秘には漢方薬も役立つ

便秘には上記でご紹介した方法だけでなく、東洋医学の考え方に基づいた漢方薬の服用もおすすめです。

漢方薬は根本からの体質改善を得意としており、便秘になりにくい体質へと導いてくれます。また、西洋薬よりも一般的には副作用も少ないといわれています。

すぐに食事や生活習慣を変えられない人でも、漢方薬なら毎日飲むだけなので、日常生活に取り入れやすいのもうれしいポイントです。

便秘には、「腸の動きをよくして、便を出しやすくする」「自律神経を整え、ストレスが原因の便秘を改善する」「便の水分バランスを整える」といった効果が期待できる漢方薬を選びましょう。

<便秘におすすめの漢方薬>

・麻子仁丸(ましにんがん)
腸を潤し、便をやわらかくします。また、腸を刺激することでスムーズな排便を促します。水分不足でコロコロとした便が出る便秘におすすめです。

・大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
腸の動きを促し、便を出やすくします。比較的効き目が早いことが特徴で、便秘に伴うのぼせや食欲不振、おなかの張りなどにもおすすめです。

自分の体質に合わせた便秘ケアを取り入れよう

東洋医学では、短期間での効果を求めるのではなく、長期的に体質や不調を改善していくことを目的としています。食事や生活習慣、漢方薬など、自分の体質に合ったケアを続け、便秘に悩むことのない健やかな毎日を手に入れましょう。

山形 ゆかり(やまがた ゆかり)
病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-YouTubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
保有資格:
・薬剤師
・薬膳アドバイザー
・フードコーディネーター

あんしん漢方へのリンク

https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=21233zc8shea0127&utm_source=sheage&utm_medium=referral&utm_campaign=250513

※掲載内容は記事公開時点のものです。最新情報は、各企業・店舗等へお問い合わせください。
内容について運営スタッフに連絡

関連キーワード

おすすめ情報

関連特集