イースト東京から世界へ日本文化を発信する。馬喰町の「組む 東京」が今、面白い
英国でキュレーション学を学んだオーナーの小沼のりこさんが東京、馬喰町に2015年にオープンした「組む 東京」。お洒落で新しいものに感度の高い人たちが集う注目のスペースを取材しました。
- 2016.12.5
- インテリア・生活雑貨
「ものづくり」の神髄にこだわった逸品に出会える場所
ショップ、ギャラリー、コミュニティ・スペースと多彩な顔を持つ「組む 東京」。築60年を超える建物をリノベーションした雰囲気ある店内には、大きなガラス格子の開口部からやわらかな光が降り注ぎ、暖かでいい気が流れているのを感じます。通常は、オーナーの小沼さんがセレクトした品々を販売していますが、あくまでもテーマは「場づくり」だと小沼さん。「人が行きかうためのリアルな場所」を生み出したいというその思いに共鳴した作家や職人、デザイナーが手掛けたものが、ここには自然に集まってくると言います。
「鉄」や「木」…素材の持つ本来の美しさを生かしたプロダクト
たとえば、金属造形作家・柴崎智香さんの手掛ける鉄の作品。鉄というと硬質なイメージですが、女性作家ならではの曲線が美しい「蚊やり」。スライド式の蓋を動かすとそこには三日月が現れます。すると、鉄表面の凹凸がまるでクレーターのように見えるから不思議です。これは、蚊やりとしてだけでなく、小物入れとして飾ってもお部屋のいいアクセントに。写真後方は、デザイナー山崎義樹さんが手がけた真鍮鋳物の朱肉入れです。
また、木工作家・小沼智靖さんの漆器はマットな表情の古色仕上げが特徴で、現代の食卓にもぴったりと馴染むモダンさ。芸術作品のような木目の美しさも魅力です。
東洋と西洋の香りが融合したオリジナル香袋!
さらにオススメなのが「組む 東京」オリジナルの「香袋」。フランスのグラースで調香を学んだペレス千夏子さんが立ち上げた「東京香堂」とのコラボ―レーションによって生まれました。白檀とラベンダーという東洋と西洋の香りを融合させた、安らぎと華やかさをあわせもつ、オリジナルの優しい香りが特徴です。これを和紙作家・森田千晶さんが作った、温もりのある和紙で包みました。使い方は様々ですが、名刺入れに忍ばせておくと、簡単にフレグランス名刺を作ることができます。ほのかに香る名刺は初対面の相手に、好印象を残すことができます。
キュレーターならではの絶妙な空間の使い方はインテリアの参考に
さらに「組む 東京」に行ったら是非注目して欲しいのが、その空間の居心地の良さ。キュレーターである小沼さんならではの空間の活かし方や、センスの良さがそこかしこに感じられます。小沼さんの祖父の時代に建てられた築60年を超える建物は、天井が高く開放感にあふれ、訪れた人を温かく受け入れてくれる場に生まれ変わりました。店内の白い壁にアクセントを与えているのは、木工作家・小沼氏が作った扉に、MATUREWAREが手掛けた真鍮鋳肌のノブを取り付けたオーダーメイドのドア。杉材の美しい杢目がほどよい存在感を放ち、まるでアート作品のよう。
魅力的なイベントや個展がもりだくさんの、ワクワクするスペース
また、1階のショップのほか、普段はクローズされている地下や2階のスペースでは、不定期で様々なワークショップ「落語会」や「朗読会」といったイベントが開催されます。「組む 東京」は「こういうスペース」という定義はあえてせず、この場を通して人々が出逢い、そこから生まれた連鎖反応で、さまざまな試みをしています。そして、その試みから生まれた新たな価値が、世界へと発信されていくのです。取材後、改めて「組む」を訪ねたところ、ちょうど多肉植物アーティストユニット「TOKIIRO」と陶芸作家、飯高幸作さんと竹村良訓さんのコラボレーション展が開催されていました。この展示会を訪れた人、TOKIIROさん、小沼さんが意気投合してなにやら楽しそうに会話をしていました。また、ここから何かが生まれそうな予感。人と人が自然に繋がり、引き合わされたモノ同士が“組む”ことで新しい価値が生れる瞬間を是非、「組む 東京」で体感してみてください。
photo / Kazushi Yoshinaga
組む 東京
東京都千代田区東神田1-13-16
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