PFCバランスでダイエット。女性に理想的なPFCバランス計算法【栄養士解説】

ダイエットといえば、カロリーや糖質制限が主流。しかし、間違った食事制限では、美しく痩せることは困難です。ダイエットにはたんぱく質・脂質・炭水化物のバランス(=PFCバランス)が重要。そこで「PFCバランス」の理想のバランスや計算法を、あんしん漢方の管理栄養士の小原水月さんに伺いました。
 Sheage編集部

そもそもPFCバランスとは?

photo:unsplash

無理のないダイエットで健康的に痩せるには、「PFCバランス」を整えることで理想的な食事をとることが大切です。PFCバランスとは何なのか、PFCバランスを整えることのメリット、女性にとって理想のPFCバランスの計算方法などをご紹介します。

PFCとはタンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)の略

「PFC」とは、三大栄養素であるたんぱく質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物(Carbohydrate)のそれぞれの頭文字を取ったものです。からだにとって必要な栄養素は数多くありますが、エネルギー源となるのはこの3つだけです。
摂取エネルギー全体の、三大栄養素の摂取比率を「PFCバランス」と呼びます。

厚生労働省では「エネルギー産生栄養素バランス」として、生活習慣病の予防・改善を目的とした場合の望ましい摂取比率を定めています。
・たんぱく質 13~20%
・脂質    20~30%(飽和脂肪酸は18歳以上において7%以下)
・炭水化物  50~65%
(『日本人の食事摂取基準(2020年版)』より)

この考え方は、疾病の予防だけでなく健康的なダイエットにも役立ちます。

女性がPFCバランスダイエットを行うメリット

摂取カロリーを適度に制限し、健康的なダイエットができる

PFCバランスを意識したダイエットでは、過不足なく必要な栄養素を摂ることができ、食べ過ぎを防止できるため、健康を保ちながら理想的な体型を目指すことができます。

また、しっかりと食べながら行うダイエットなので、ストレスが少なく継続しやすいという点も重要なポイントです。

理想的な栄養素のバランスを保つことができる

ダイエットでは、やみくもに摂取エネルギーを減らしたり、炭水化物を一切摂らないといった極端な食事制限を行ったりすることはおすすめできません。たとえ一時的に痩せたとしてもリバウンドしやすくなるためです。
それに加えハードな食事制限は、生理不順や体調不良、抜け毛や肌の不調、自律神経の乱れにもつながります。

健康的に、綺麗なボディラインを作るには、バランスよく栄養素を摂ることが不可欠。

PFCダイエットでは、同じ摂取カロリーでもタンパク質、脂質、炭水化物をそれぞれ理想的なバランスで摂取することができ、効率よく、かつリバウンドリスクも少なくダイエットが可能です。

PFCバランスの計算方法

photo:shutterstock

では、PFCバランスダイエットを行う場合、具体的にはどのように計算すればよいのでしょうか? 以下で女性の理想的なPFCバランスについて詳しく説明します。

■モデルケース
30歳・女性
身長158cm、体重56kg、体脂肪率25%

PFCバランス計算の前に…まずは1日に必要な摂取エネルギーを知る

PFCバランスを計算するうえで、まずは1日に必要とする摂取エネルギーを知る必要があります。この値は身長や体重、年齢によって異なりますので、自分にとっての必要量を計算してみることをおすすめします。
厚生労働省では、「推定エネルギー必要量」として「基礎代謝量」×「身体活動レベル」という式を用いて計算する方法をとっています。

PFCバランス計算STEP1:基礎代謝を計算する

基礎代謝量を計算する数式はいくつかありますが、ここでは誤差が少ないとされている下記の国立健康・栄養研究所が作成した式を使って計算してみます。

男性:(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢(歳)-0.4235)×1,000/4.186
女性:(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢(歳)-0.9708)×1,000/4.186
(『日本人の食事摂取基準(2020年版)』より)

モデルケースの数値を上記の計算式に当てはめると、
30歳・女性、身長158cm、体重56kgの基礎代謝は1,196kcalとなります。

PFCバランス計算STEP2:身体活動レベルを確認する

身体活動レベルは、日常生活のなかでの活動量に応じて3段階に分けられています。

ここでは、オフィス勤務の女性と仮定して「ふつう」の係数を使用します。

推定エネルギー必要量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル
1,196kcal×1.75=2,093kcal

1日の摂取エネルギーの目安は、2,093kcalとなります。

PFCバランス計算STEP3:PFCバランスを計算する

先ほど計算した1日に必要なエネルギー量をもとに、PFCのバランスを計算します。

それぞれの栄養素の1gあたりのカロリーを確認しましょう。
・P(たんぱく質)=4kcal/g
・F(脂質)=9kcal/g
・C(炭水化物)=4kcal/g

厚生労働省の示す「エネルギー産生栄養素バランス」をもとに、たんぱく質は最大値の20%、脂質は最小値の20%とします。

【栄養素別】女性のダイエットに理想的なPFCバランスは?1日あたりの摂取量の目安

PFCバランスの一般的にわかりやすい割合は P:F:C=2:2:6と言われています。
P(たんぱく質) 15%(13-20%):F(脂質) 25%(20-30%):C(炭水化物) 60%(50-65%)です。
※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より

しっかり運動しながら減量を目指す人はタンパク質多めの、 P:F:C=3:2:5の割合で摂るのが良いでしょう。

以下、1日あたりどのくらいの栄養素を摂取するべきかの目安を、P:F:C=2:2:6のバランスで計算しています。

(1)たんぱく質(Protein)

タンパク質は、皮膚や筋肉、内臓、髪などの体の主成分です。タンパク質が不足すると筋肉量の低下するだけでなく、抜け毛、肌荒れなど体調面・美容面でも不調が出やすくなるため、ダイエット中も欠かせない栄養素です。

2,093kcal×20%=419kcal
1gあたり4kcalですので、1日のたんぱく質の摂取目安量は105gです。
1日3食として、1食あたり35gとなります。

鶏ささみ100gあたりのたんぱく質量は23.0g、ローストビーフ100gあたりは21.7g、ゆで卵1個(50g)のたんぱく質は6.5gほどです。

(2)脂質(Fat)

ダイエットにおいて嫌煙されがちな脂質ですが、脂質が不足するとエネルギー不足になり、肌がカサついたり便秘などの原因にもなります。また脂質にはホルモンバランスを整える作用や脂肪燃焼効果があるため欠かせない栄養素です。
摂取する脂質は「質」が重要です。短時間でエネルギーになり脂肪になりづらい「中鎖脂肪酸」(ココナッツ・パーム油やMCTオイルなど)、悪玉コレステロールや中性脂肪を下げる働きがある「不飽和脂肪酸」(魚類やえごま油やアマニ油、オリーブ油、ナッツ類)を中心に摂るようにしましょう。

2,093kcal×20%=419kcal
1gあたり9kcalですので、1日の脂質の摂取目安量は47gです。
1日3食として、1食あたり約16gとなります。

(3)炭水化物(Carbohydrate)

炭水化物は、筋肉や脳のエネルギー源。炭水化物を極度に抜いてしまうと、集中力が低下したり、疲れやすくなります。
また、筋肉量を維持しながら体脂肪を落としたい人にとっても、炭水化物の適度な摂取は必須になります。

2,093kcal×60%=1,256kcal
1g当り4kcalですので、1日の炭水化物の摂取目安量は314gです。
1日3食として、1食あたり約105gとなります。

女性のPFCバランスダイエットで理想の体に近づくコツは

photo:unsplash

もし現在よりも体重を落としたいなら、このPFCバランスの比率をキープしながら摂取エネルギーを減らすことがおすすめ!

リバウンドしにくい減量ペース

急激な減量はからだの負担になりますので、現在の体重の5%程度を1か月1~2kgのペースで落としていきましょう。

脂肪1kg減量のための消費カロリー量

脂肪1kgを減らそうとすると、7,200kcalほどの消費エネルギーが必要です。つまり、1か月で1kg落としたいなら、摂取エネルギーを1日当り240kcal減らす、というのが目安となります。
あくまでも計算上のことなので絶対に痩せられるというわけではありませんが、参考にしてみてください。

PFCバランスダイエットの成功ポイントは?

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PFCバランスダイエットを行ううえで、意識したいポイントがあります。

たんぱく質多め、脂質少なめのバランスが理想

たんぱく質は筋肉の材料となるため、基礎代謝を維持して脂肪が燃焼しやすいからだを作るために重要な栄養素です。意識しないと不足しやすいため、毎食適量を摂るようにしましょう。
脂質は摂りすぎると生活習慣病の要因となりますが、細胞膜やホルモンの材料となる栄養素なので、制限しすぎるとからだの不調を招くことがあります。脂の多い肉やバターなどは食べる機会を減らし、良質の脂肪酸が含まれる魚を増やすのがおすすめです。

忙しい方はコンビニを活用するのもひとつの手!
食品裏の栄養成分表示を見れば、PFCバランスの計算もラクラクです。たとえばおにぎりだけではなく、副菜に野菜やゆで卵をつけるとバランスよい食事に。意外と見落としがちなのが脂質です。サンドイッチやパンは脂質が多いことがあるので意識しましょう。

PFCバランスダイエット中でも運動は重要

食事を整えることに加え、日常生活のなかでできるだけからだを動かし、消費エネルギーを増やすことも大切です。運動する時間がとれない場合は、階段を使う、通勤中に一駅歩くなど工夫してみましょう。積極的に家事を行うことも有効です。
さらに筋トレを組み合わせれば、基礎代謝アップが期待できますよ。

漢方薬も活用してPFCバランスダイエットを加速

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食事や運動を意識するだけでは効果が出にくいという場合は、根本的に体質改善するために漢方薬を活用するのもひとつの方法です。

漢方薬はストレスによる食べすぎ、脂肪太り、水太りといった症状に対する治療薬として使われています。自然由来の医薬品として、脂肪代謝や血流・むくみの改善などに効果が認められています。

漢方薬のちからで、体内バランスを整え「よい体質」を取り戻すことは、太りにくいからだ作りのためにとても効果的です。自然由来、自然の生薬からできていて一般的に副作用が少ないとされていますので、安心してお試しいただけます。

ダイエットをしたい方におすすめの漢方薬2種

・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
からだの余分な熱を取り除き、血流や水分代謝を促す働きがあります。便や汗などで不要物を体外へ排出し、からだを軽くします。また、脂質代謝を促すので、ため込んでいる脂肪を減らすのに役立ちます。

・大柴胡湯(だいさいことう)
気のめぐりをよくし、食欲や気持ちを整えてくれるので、イライラすることによる過食や脇腹が張る便秘の解消をしたりするのに役立ちます。

漢方薬を使うときは、自分の状態や体質にうまく合った生薬を選んでいるかどうか、という点が重要です。合っていないと効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が起こることもあります。
どの漢方薬が自分に合っているのかを見極めるのはなかなか難しいですが、最近ではAI(人工知能)を活用した「あんしん漢方」のようなオンライン相談サービスも登場してきました。AIを活用し、漢方のプロが自分に適した漢方を見極めてで自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が可能です。是非活用してみてください。

PFCバランスを整えた食事で、健康とキレイを叶えよう

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たんぱく質、脂質、炭水化物をどれくらい食べたらよいのかがわかると、健康を保ちながら理想の体型を作るのに役立ちます。是非日々の食生活に活用してみてくださいね。根本的な体質改善を目指したい方は、漢方薬の助けを借りるのもひとつの方法です。信頼できる専門家に、一度相談してみてはいかがでしょうか。

■参考
日本人の食事摂取基準(2020 年版)厚生労働省

あんしん漢方
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https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=21233zc8shea0037

監修者
小原 水月(おはら みづき)

社員食堂で300以上の料理を修得、ダイエット合宿所・特定保健検診の業務に携わり600人以上の食事と生活習慣改善を個別サポート。
自身の出産後の体調不良から食事と漢方で体調改善した経験を生かし、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。「心も体も食べたものだけで作られる」をモットーに簡単で時間もお金もかけずに元気になれる食事の選び方、食べ方を発信中。また、症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」などでもサポートを行っている。

保有資格:
管理栄養士
健康食育シニアマスター
漢方養生指導士養成講座 初級修了

※掲載内容は記事公開時点のものです。最新情報は、各企業・店舗等へお問い合わせください。
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