「上・中・下」に分けて使うのがコツ。片付けも服選びもしやすい、クローゼット空間の作り方

クローゼットの中身は整理はしたものの、クローゼットのどこに何を収納したら良いか、空間の使い方や適材適所の収納方法がわからないというお悩みを収納相談でも多くいただきます。ポイントは「上・中・下」のスペースの使い方を知ること。服も選びやすく、片付けも簡単にできるクローゼットの作り方についてお伝えします。
 伊藤美佳代

クローゼット空間は「上・中・下」で分ける

クローゼットのような床から天井まで高さのある空間は、まず「上・中・下」に空間を分けることがポイントです。クローゼットでは、「中」の位置にハンガーを掛けるポールが設置され、上部が棚になっていることが多いと思います。ポールは「掛ける」収納とイメージしやすいですが、「中」以外の上下の空間もしっかり有効活用できるように「上・中・下」のどこに何を入れたら使いやすくなるかをよく考えることが使いやすいクローゼットづくりには欠かせません。

「中」は、よく着る服を「掛ける」収納に

出し入れしやすい位置は、「中」の位置です。イメージは目線の高さから腰骨くらいまでの範囲。手の届きやすい高さになるので、よく着る服など頻度の高いものを中心に収納するのがおすすめです。
そして、出し入れしやすい「中」の位置にポールが設置されているなら、一番ラクな収納法でもある「掛ける」収納で、よく着る服を収納していきましょう。ハンガーはトップス用だけでなく、用途に合ったボトムス用やスカート用などを取り入れ、頻度の高いものならトップスもボトムスも関係なく、できる限りハンガーに掛けて収納すると、服選びも片付けもよりラクになります。また、よく着る服以外にジャケットやおしゃれ着など「掛ける」収納に適している服もあると思います。よく着る服と分けて収納していきましょう。
分け方のコツは、クローゼットの大きさや扉の形にもよりますが、季節・人別・頻度などで分けるようにすると区別しやすく使いやすくなります。両開きの扉のクローゼットなら左右の扉でオンオフシーズンを分けたり、人別で分けたり、折れ戸なら両端に頻度の低い冠婚葬祭用などの服を掛けるようにしましょう。

ストールやマフラーなどは専用のハンガーに掛けたり、吊り下げ収納を活用しても良いと思いますが、よく合わせるアウターなどと一緒に掛けて収納するのも省スペース化できておすすめです。

コートなどの季節のものは、シーズンオフ時にホコリ避けに衣類カバーを被せておくのもおすすめです。長期保管で衣類を守るだけでなく、シーズンオンと同じ場所に掛かっていても一目でオンオフシーズンのものとわかりやすくなります。そして意外と湿気がたまりやすいクローゼット。カバーは不織布など通気性の良いものを選びましょう。また、クリーニングから戻ってきたビニールのまま掛けておくのは湿気が溜まりやすくカビの原因にもなるので気をつけましょう。写真は100円ショップで購入した不織布カバーです。100円でも機能性十分です。

「下」は、引出しケースで空間を有効活用

「中」の位置の次に使いやすい高さは「下」の位置です。掛けた服の下部が空間のままになってしまっていたり、引越したままのダンボールがそのまま置かれていたりしていませんか。クローゼットは「下」の位置の使い方によって収納力も変わってきます。引出しケースなどを活用して、空間をしっかり有効活用していくことが大切です。
引出しケースの選び方のコツは一段ずつ個別に分かれているタイプを選ぶことです。収納するものが変わったり、掛けた洋服の長さに合わせて引出しの段を増やしたり減らしたり、その時の生活スタイルに合わせて使いやすくなります。

引出しは上段が使用頻度の高いもの、下段にかけて、オフシーズンの服や使用頻度の低いものになるようにします。
引出し上段は頻度の高い下着、インナー類など、下段はオフシーズンのもの(夏ならセーターなどの冬物、冬なら半袖などの夏物)を収納します。シーズンになったら引出しの段を入れ替えるようにすると衣替えもラクにできます。
また、引出しの置く位置も、掛けているよく着る服の下に頻度の高い下着類の引出しを置くようにするなど、掛ける洋服の頻度やシーズンに合わせて引出しの位置も考慮すると、その場所に立つだけで身支度もラクにできるようになり、衣替えの負担も軽減されます。

引出しケースの場合は「畳む」収納になるので、畳む収納に適した下着類の他、ハンガーに掛けきれなかった頻度が低い洋服を収納していくと良いでしょう。また、引出しのメリットは、開けたら上から中身が見渡せることです。なので、立てて収納していくのがおすすめです。倒れこみ防止にL字型のブックエンドを挟んでおくと出し入れもスムーズです。

「上」は、あまり使わないものなどをボックス収納

「上」の位置は手を伸ばして出し入れしたり、脚立を使って取り出すなど、少し使いづらい高さになるので、頻度の低い保管品を中心に収納するのがおすすめです。オフシーズンの洋服を収納ケースで保管したり、奥行のあるクローゼットなら収納ケースに入れた季節外の布団を収納するのも良いでしょう。
少しでも取り出しやすいように収納ケースは取っ手付きを選ぶとより使いやすくなります。写真の上段は無印良品のソフトボックスシリーズの収納ケースです。軽い素材のものなので上から下ろす時も安全です。

「中」と「下」の「スキマ」空間を有効活用

ハンガーに掛けた洋服と引出しケースの間に空間があるなら、その「スキマ」を有効活用すると、さらに収納力がアップします。ただ、何もない隙間の空間は、ついものを置いてしまいやすく散らかりの原因になりやすいので気をつけましょう。「スキマ」を有効活用する際は何を収納するかしっかり決めて、収納するものに合わせてカゴや小ぶりの引出しなど「枠」をしっかり作るようにしましょう。ここから「スキマ」を有効活用した収納事例を少しご紹介します。

靴下、ハンカチは専用カゴに

カゴに仕切りケースを入れて、靴下やハンカチを収納します。靴下やハンカチは頂きものなどで増えやすいアイテムでもあるので、「ここに入るだけ」というように枠を決めることで増えすぎ防止にもなります。もし収納しきれない時は、よく履く靴下とハンカチだけをカゴ収納して、シーズンオフやストック用は引出しに収納するなど、頻度や季節で分けても良いでしょう。

時計などのアクセサリーをボックスに

時計やアクセサリーなどの小物も「スキマ」を利用して小ぶりの引出しやケースに収納してみるのもいかがでしょうか。写真は無印良品の木製小物収納一段に時計を収納しています。洋服に合わせて時計も選べてコーディネートもラクに楽しめます。
クローゼットの「上・中・下」の空間を、使う頻度で分けて収納することで、使いやすさは本当に変わります。定位置が決まり何がどこに入っているか一目瞭然になることで毎朝の身支度もラクになると思います。スッキリ使えるクローゼット作りのご参考になればと思います。

photo / 伊藤美佳代

住宅収納スペシャリスト/整理収納・照明アドバイザー
伊藤美佳代

ハウスキーピング協会認定
整理収納アドバイザー2級認定講師
住宅収納スペシャリスト認定講師
インテリアコーディネーター

instagram @ito_mikayo

ブログ「笑顔あふれる住まいづくり」

http://mikayo-ito.jugem.jp

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