町に新たな価値を生み出した、長崎のリノベーション倉庫「ソリッソリッソ」とは
2015年、長崎県東彼杵(そのぎ)町で取り壊し寸前だった町の米倉庫をリノベーションした「Sorriso riso (ソリッソリッソ)千綿第三瀬戸米倉庫」がオープンし話題となりました。それから5年たった今、地域産業を次世代へとつなぐ取り組みの中で次々と店舗が独立。町はさらなる賑わいをみせています。
- 2020.6.25
- ライフスタイル
長崎街道の賑わいと、蘇生した米倉庫
長崎県の中央部、大村湾の東側に広がる東彼杵(そのぎ)町。江戸時代には300軒もの商家が軒を連ねる宿場が置かれ、参勤交代をはじめ長崎港から東彼杵を経由して続く長崎街道は、人と異国の物産、文化など時代の最先端が行き交う、まさに日本のシルクロードとして賑わいをみせました。
2015年、その街道沿いにある取り壊し寸前だった築40年以上の旧千綿第三農協米倉庫をリノベーションし、地域交流拠点となる「Sorriso riso(ソリッソリッソ)千綿第三瀬戸米倉庫」としてオープン。この倉庫をベースに、ふたたび町に賑わいを呼び起こすためのプロジェクトが始動しました。
Sorriso risoから次々と店舗が独立
Sorriso riso千綿第三瀬戸米倉庫を中心に、周辺の古民家をリノベーションした店舗や拠点づくりに取り組んでいるのが、一般社団法人「東彼杵ひとこともの公社」代表理事の森 一峻さんをはじめとした地元の若手有志。
東彼杵町出身の森さんは2008年に東京から地元にUターン。「2013年に町内に残る貴重な古い建物である米倉庫が取り壊しになるということがわかり、一年がかりで建物の存続を交渉し、様々な方々の協力をいただき、Sorriso riso千綿第三瀬戸米倉庫をオープンすることができました」と当時を振り返ります。
東彼杵町出身の森さんは2008年に東京から地元にUターン。「2013年に町内に残る貴重な古い建物である米倉庫が取り壊しになるということがわかり、一年がかりで建物の存続を交渉し、様々な方々の協力をいただき、Sorriso riso千綿第三瀬戸米倉庫をオープンすることができました」と当時を振り返ります。
Sorriso riso千綿第三瀬戸米倉庫は、アンティーク家具・古着、スタンドコーヒー、革卸・革製品販売の3つの店舗が入る複合施設として始動しました。その先10年で5つのお店の開業・独立を目指していましたが、予想を上回るペースで次々と店舗が独立。4年ほどで町の千綿エリアに魅力を感じた移住者が次々と町内で起業し、これまでに10店舗のサポートを実施しています。
半年ほど出店していたスパイスカレー専門店が独立して無人駅で開業したり、オーガニックスイーツなどを試験的に販売していた移住者の女性2人が、2年後に実店舗をオープンしたり、ここで好評を得て町内で独立する事業者が続々と誕生。新たな事業が生まれている背景には、町に魅力を感じて移住する方や、町の良さに気づいて戻ってくるUターン者が増加。また地元の方には良い刺激となる好循環が生まれています。
半年ほど出店していたスパイスカレー専門店が独立して無人駅で開業したり、オーガニックスイーツなどを試験的に販売していた移住者の女性2人が、2年後に実店舗をオープンしたり、ここで好評を得て町内で独立する事業者が続々と誕生。新たな事業が生まれている背景には、町に魅力を感じて移住する方や、町の良さに気づいて戻ってくるUターン者が増加。また地元の方には良い刺激となる好循環が生まれています。
現在はイベントが行われる共有スペース、その奥に1号室と2号室の3つのフロアで構成。1号室はオープン当時からの「Tsubame coffee(ツバメコーヒー)」、2号室には今年の1月にそのぎ茶のセレクトショップ兼体験型観光施設としてオープンした「くじらの髭」が入っています。
そのぎ茶の新たな味わいと価値を生み出す
東彼杵町は長崎県内で60%の生産量を誇る茶の一大産地。1853年には長崎の女性商人がアメリカにお茶を海外輸出している歴史があります。そんな伝統的なお茶を楽しむ新しい流れを作ろうとSorriso riso千綿第三瀬戸米倉庫とともに創設されたのが、若い世代の茶農家の息子たち6人によるユニット「Tsunagu sonogi tea farmers(ツナグ ソノギ ティーファーマーズ)」。
現代のペットボトルが主流のお茶のマーケットに新たな可能性を生み出そうと手を組み、2017年から3年連続して全国茶品評会の蒸し製玉緑茶の部で「産地日本一」を受賞しました。
「くじらの髭」は、そんなハイクオリティなそのぎ茶を手掛けている町の生産農家、その農家を支える茶商の取り組みを広く知ってもらうための場所でもあります。
現代のペットボトルが主流のお茶のマーケットに新たな可能性を生み出そうと手を組み、2017年から3年連続して全国茶品評会の蒸し製玉緑茶の部で「産地日本一」を受賞しました。
「くじらの髭」は、そんなハイクオリティなそのぎ茶を手掛けている町の生産農家、その農家を支える茶商の取り組みを広く知ってもらうための場所でもあります。
茶商とは、コーヒーのように、茶葉の合組(ごうぐみ=ブレンド)という、お茶の新しい味わいを生み出すプロフェッショナル。「くじらの髭」では、生産農家を支える茶商についてもっと打ち出したいと考えており、その伝える手法の一環として焙煎体験を組み込んでいます。ドライフルーツとの合組といったユニークな体験や、お客様のオリジナルのお茶やカスタマイズを楽しんでもらうことも考えています。
お茶だけではなく、地元で100年近く続いた印刷所の活版体験ができるのも興味深いところ。「それぞれの体験を通して、地域産業や文化、歴史を知ってもらいたい。また、その深掘りをしていくことで、新しい発見をしたい」と店長の菅野谷さんは話します。
東彼杵町にまた戻ってくるように
一方、1号室のTsubame Coffeeは「ツバメに巣帰りの習性があるように、この場所を訪れた方がまた戻ってくるように、そしてこの土地で生まれ育った方がまたこの地域に戻ってくるように。人が集う場所でありたいですね」と、店主の北川さんがカウンターから顔を覗かせます。
メニューには、お茶農家さんも関わっているものが多数。おすすめはそのぎ茶を使ったフラッペやラテ。今後はそのぎ茶のなかでも優しい味わいが特徴のほうじ茶を取り入れたメニューも提供していくそうです。
メニューには、お茶農家さんも関わっているものが多数。おすすめはそのぎ茶を使ったフラッペやラテ。今後はそのぎ茶のなかでも優しい味わいが特徴のほうじ茶を取り入れたメニューも提供していくそうです。
自身もUターンであり、この町に愛情を持った方をこの町で人材育成できることも楽しみの1つだという森さん。「これまで取り組んできたことはまだまだ途上にすぎないですが、町は一人ひとりが支え合うことで大きな力になり、とりわけ若者が多い地域には絶対的な強さがあることを実感しています。地元のUターン者や町に魅力を感じて移住された方など、この先も町づくりのカギとなる若者が活躍できる場をサポートし、東彼杵町で心豊かに暮らせるイメージを伝えていきたいですね」と、現在の心境を話してくれました。
東彼杵町で心豊かに暮らせるイメージを後世に伝え、いつか町から出たとしてもまた戻ってきたい、いつでも戻って来られるような場所でありたいというSorriso riso千綿第三瀬戸米倉庫。この場所は、いつ訪れても新たな発見があり、訪れた人と町を結んでくれる場所です。まだ訪れたことのない人でも、温かく迎えてくれて、東彼杵町の豊かな暮らしを体感することができますよ。
東彼杵町で心豊かに暮らせるイメージを後世に伝え、いつか町から出たとしてもまた戻ってきたい、いつでも戻って来られるような場所でありたいというSorriso riso千綿第三瀬戸米倉庫。この場所は、いつ訪れても新たな発見があり、訪れた人と町を結んでくれる場所です。まだ訪れたことのない人でも、温かく迎えてくれて、東彼杵町の豊かな暮らしを体感することができますよ。
Sorriso riso(ソリッソリッソ) 千綿第三瀬戸米倉庫
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