帆布バッグの職人こうだかずひろさんが、愛用しているアイテムたち<後編>
性別や年代を問わず根強い人気を誇る帆布バッグのブランド「ko'da style」。<前編>に続き、<後編>では、つくり手であるこうだかずひろさんに職人になった経緯と、ふだん使いしているベーシックなアイテムについてお話を聞きました。
- 2017.8.27
- ライフスタイル
販売の仕事からバッグ職人に転身
ko'da styleの帆布バッグづくりを一人で担うこうだかずひろさんは、サラリーマン時代を経て職人になった経歴の持ち主です。
「家具店に勤務したあと、長年、東急ハンズで販売の仕事をしていました。売る仕事はつくる人の代弁者であるべきという考えがあって、工場や作家さんの工房をよく訪ねていました」。
ある日、帆布バッグの作家さんに「つくってみない?」と声を掛けられ、手伝ってもらいながらバッグを1つ完成させました。
「家具店に勤務したあと、長年、東急ハンズで販売の仕事をしていました。売る仕事はつくる人の代弁者であるべきという考えがあって、工場や作家さんの工房をよく訪ねていました」。
ある日、帆布バッグの作家さんに「つくってみない?」と声を掛けられ、手伝ってもらいながらバッグを1つ完成させました。
「ミシンを踏んだことさえなかったんですが、これがおもしろかったんです。その後、愛用していたLLbeanのトートバッグに斜め掛けのストラップを手縫いしたのがバッグづくりのきっかけになりました。マウンテンバイクに乗るとき用に、どうしたら使い勝手がよくなるかなと思って」。
針の頭を押すための指貫(ゆびぬき)の存在も知らず、指に針で穴を開けるという痛い思いをしながらできあがったのはオリジナルのバッグ。既製品にストラップを付けるという小さな出来事ながら、“ないものは自分でつくろう”を実現した大きな一歩でした。
針の頭を押すための指貫(ゆびぬき)の存在も知らず、指に針で穴を開けるという痛い思いをしながらできあがったのはオリジナルのバッグ。既製品にストラップを付けるという小さな出来事ながら、“ないものは自分でつくろう”を実現した大きな一歩でした。
周囲にやりたいことを発信し続ける
新しいことを始めたいと思っている人へ、こうださんからのアドバイスはありませんか?と聞いてみると、「風はいつか吹きます。吹かないときに動いても、あまりよい方向へは進まないかもしれません」と、自身が独立に至った経緯を振り返りました。
こうださんは30歳のとき、退職を願い出たものの周囲の猛反対にあい断念。しかし、2年ほど経つと、少しずつ周囲が理解を示すようになりました。時を同じくして、工房に適した物件に出合ったり、工業用ミシンが手に入ったり……。「もちろん、ただ風を待っているだけではなくて、周囲に自分がやりたいことを言い続け、実現に向けて勉強を怠らないことです。そして、ちゃんとタイミングをキャッチすることが大事だと思います」。
こうださんは30歳のとき、退職を願い出たものの周囲の猛反対にあい断念。しかし、2年ほど経つと、少しずつ周囲が理解を示すようになりました。時を同じくして、工房に適した物件に出合ったり、工業用ミシンが手に入ったり……。「もちろん、ただ風を待っているだけではなくて、周囲に自分がやりたいことを言い続け、実現に向けて勉強を怠らないことです。そして、ちゃんとタイミングをキャッチすることが大事だと思います」。
3代目を愛用中。自作のバッグ「バンブー」
独学でバッグづくりを学び、時には、金具屋さんや糸屋さんなどに教えてもらいながら、技術を磨いてきたこうださん。自作のバッグは、やはりベーシックなアイテムの一つでもあります。
なかでもお気に入りは、竹のように節があることから「バンブー」と名づけたバッグです。ko'da style立ち上げ当初から支持され続けているもので、写真は、ほどよいこなれ感のあるこうださん愛用の3代目です。
よく見ると、黒い帆布をベースに生成りの帆布を一枚一枚重ねて縫い、ボーダー柄にしていることがわかります。
「ヒントになったのは、アンティークの昔の星条旗です。プリントではなく、布を重ねて縫い合わせたものを見て応用しました」。
黒と生成りであればシーズンを問わず使えますし、青と白であればぐっと夏らしくなります。カラーを変えるとがらりと印象が変わるのも、このバッグの魅力なのかもしれません。
なかでもお気に入りは、竹のように節があることから「バンブー」と名づけたバッグです。ko'da style立ち上げ当初から支持され続けているもので、写真は、ほどよいこなれ感のあるこうださん愛用の3代目です。
よく見ると、黒い帆布をベースに生成りの帆布を一枚一枚重ねて縫い、ボーダー柄にしていることがわかります。
「ヒントになったのは、アンティークの昔の星条旗です。プリントではなく、布を重ねて縫い合わせたものを見て応用しました」。
黒と生成りであればシーズンを問わず使えますし、青と白であればぐっと夏らしくなります。カラーを変えるとがらりと印象が変わるのも、このバッグの魅力なのかもしれません。
ランニングの時間の良き相棒
ベーシックなアイテムの2つめはランニングシューズです。
「15年ほどランニングを続けていて、朝6~7時の1時間、海辺を走っています。葉山の人たちは早起きなので、走っていると知り合いに会うことも多いんですよ」。
長い日には、朝9時から夜10時までミシンを踏んでいることもあり、朝のランニングは身体を動かす貴重な時間です。
「ランニングの途中でバッグづくりのアイデアがひらめくこともあります。一定のリズムで走ることで、ポジティブシンキングになれる気がしますね」。
「15年ほどランニングを続けていて、朝6~7時の1時間、海辺を走っています。葉山の人たちは早起きなので、走っていると知り合いに会うことも多いんですよ」。
長い日には、朝9時から夜10時までミシンを踏んでいることもあり、朝のランニングは身体を動かす貴重な時間です。
「ランニングの途中でバッグづくりのアイデアがひらめくこともあります。一定のリズムで走ることで、ポジティブシンキングになれる気がしますね」。
ますますおもしろくなるバッグづくり
さいごに登場したのは20年に渡り飲み続けている珈琲です。これは、友人でもある横浜のバーキングカフェが生豆を自家焙煎したもの。
「自分と同じ頃に独立した友人を応援する意味を込めて飲み始めました」。
骨董市で買い求めたミルで豆を挽き、長年、珈琲を味わっているうちに気付いたことがあるそう。「年々、焙煎の技術が向上しているんですよ。近年は人にすすめると反応がますます良くて、リピートする人もいます」と笑顔を見せます。
「自分と同じ頃に独立した友人を応援する意味を込めて飲み始めました」。
骨董市で買い求めたミルで豆を挽き、長年、珈琲を味わっているうちに気付いたことがあるそう。「年々、焙煎の技術が向上しているんですよ。近年は人にすすめると反応がますます良くて、リピートする人もいます」と笑顔を見せます。
こうださん自身も職人になり約20年。気持ちの変化を聞いてみると、「バッグづくりがますますおもしろくなっています。次々と新しい発見がありますし、これからも格好いいバッグをつくっていきたいと思います」と頼もしい答えが返ってきました。
9月23日から10月1日には、恒例となっている「組む東京」(住所:東京都千代田区東神田1-13-16)での展示会が行われます。招待状がなくても自由に入場することができますので、ko'da styleの帆布バッグが気になる方は、ぜひ足を運んでみてください。
9月23日から10月1日には、恒例となっている「組む東京」(住所:東京都千代田区東神田1-13-16)での展示会が行われます。招待状がなくても自由に入場することができますので、ko'da styleの帆布バッグが気になる方は、ぜひ足を運んでみてください。
photo / キムラミハル
「ko'da style」
住所:神奈川県三浦郡葉山町堀内383
電話:046-875-7992
※週末の土・日・月曜を基本に、工房をアトリエショップとしてオープン。営業時間は12:00~18:00(冬期は~17:00)。
※アトリエショップの休業日は、ブログやインスタ、ツイッターのほか、メールや電話で事前にご確認ください。
※掲載内容は記事公開時点のものです。最新情報は、各企業・店舗等へお問い合わせください。
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