独創的な手法で魅了する『Dear Ms.Crook 〜パメーラ・ジューン・クルック展〜』

7月8日(日)より開催中の『Dear Ms.Crook 〜パメーラ・ジューン・クルック展〜』。パメーラ・ジューン・クルックは、現代人で賑わう場所や群衆を主体とした、動物やファンタジーをテーマとした作品を生み出しています。独創的な画風と特徴的な技法で、描かれた作品をご覧下さい。
 新 麻記子 読者ライター

偶然の出会いから現在までの繋がり

パメーラ・ジューン・クルックは、イングランド出身の女性現代アーティスト。変形キャンパスを用いて額縁まで画面を拡張させる、独創的な技法を特徴としています。

現在、福島県にある諸橋近代美術館で開催中の「Dear Ms.Crook 〜パメーラ・ジューン・クルック展〜」。美術館の創設者でありコレクターの諸橋廷蔵は、95年にパリのギャラリーで開催されたクルックの個展に偶然立ち寄り、その場ですべての作品を購入しました。これらのクルックの作品は同館の創設時のコレクションになりました。
2016年に諸橋近代美術館が主催した回顧展を契機に、新たに4点の版画作品がクルックより寄贈され、また回顧展で好評を博した最新作を含む4点の絵画を諸橋近代美術館が購入することとなり、計8点のクルックの作品が新たに同美術館のコレクションに加わりました。

キャプション:パメーラ・ジューン・クルック 紙帽子 1995 公益財団法人諸橋美術館蔵 ©PJ Crook 2018

子育ての合間に制作活動をしていたクルック

パメーラ・ジューン・クルックは地元の美術学校で「染め物」の分野を専攻し、卒業後ロンドンでデザイナーとして活動するも、結婚を機に仕事を休止。その後、子育て中の余暇で絵を描いていたことが創作意欲を触発し、改めて芸術家として活動を再開したのだそう。以来、絵画作品を中心に発表し、現在に至るまで精力的に活動を行ってきました。
そんなクルックの作品が世間に広がったキッカケを作ったのは、英国ロックミュージシャンのロバート・フリップ。クルックの作品を気に入り、1997年以降、自身が主宰するプログレッシヴ・ロックバンド「キング・クリムゾン」のCDジャケットに起用したことで、クルックの世界観が広く知られるようになりました。

右:P.J.クルック《レッドドア》1995 年、油彩・カンヴァス・木製フレーム、162×71cm、公益財団法人諸橋近代美術館蔵 ©P.J.Crook 2016
左:パメーラ・ジューン・クルック ジャポニカ 2001(2003年に加筆) 公益財団法人諸橋美術館蔵  ©PJ Crook 2018

貴重なコレクションを鑑賞しよう

本展覧会は、2016年開催の企画展「ハロー、クルック~共感する記憶~」開催を契機に、クルック・コレクションの一層の充実が図られたことを記念しています。当館におけるコレクションの新たな章として、夜を舞台にした新所蔵の動物シリーズ4点をはじめ、所蔵作品31点を一堂に公開する大変貴重な機会です。
自身の体験や記憶をもとに身近なモチーフを組み合わせた、「事物のありえない組み合わせ」を表現することによって、目に見える現実を超えたもうひとつの現実を描いている彼女の作品。そんな作品を鑑賞しに、自然あふれる諸橋近代美術館に足を運んでみてはいかがでしょうか。

パメーラ・ジューン・クルック ふくろう 2016 公益財団法人諸橋美術館蔵  ©PJ Crook 2018
P.J.クルック《現在 - 過去》2001 年、アクリル・カンヴァス・木製フレーム、115×145cm、公益財団法人諸橋近代美術館蔵 ©P.J.Crook 2016

Dear Ms.Crook〜パメーラ・ジューン・クルック展〜

開催期間:2018年7月8日(日)〜10月21日(日)
会場:諸橋近代美術館(福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字剣ヶ峯1093番23)
時間:9:30〜17:30 ※入館は閉館30分前まで
観覧料:一般 950円、高校・大学生 500円 中学生以下 無料

http://dali.jp/exhibition

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