待望の大回顧展!多彩な才能に触れる『ゴードン・マッタ=クラーク展』

現在、東京国立近代美術館で開催されている『ゴードン・マッタ=クラーク展』は、1970年代のNYを中心に活躍したアーティスト、ゴードン・マッタ=クラークのアジア初の大回顧展です。40年前に彼が生みだしたアイデアやメッセージは、豊かに生きるためのヒントを与えてくれます。
 新 麻記子 読者ライター

斬新なアイデアに触れる

ゴードン・マッタ=クラークは1970年代のNYで、アート・建築・ストリートカルチャー・食など、様々な分野で活躍したアーティストです。35歳という若さで夭折する短い人生でしたが、彼によって生み出された斬新なアイデアは、今を豊かに生きるためのヒントを与えてくれるでしょう。
本展覧会『ゴードン・マッタ=クラーク展』は、「住まい」「ストリート」「港」「市場」「ミュージアム」の5つの場所に焦点を当て、彫刻・映像・写真・ドローイング・関連資料などの約200点の作品が展示されます。

キャプション:会場風景より《サーカス》模型など

彼の活動を追体験できる

本展の会場構成のコンセプトは「プレイグラウンド(公園)」。金属製のフェンスやカラフルなネットなど、通常の展示室には存在しない素材を使い、ゴードン・マッタ=クラークが活躍した1970年代のNYの雰囲気を感じ取ることのできる工夫がされています。
グラフィティの作品をモチーフにしながら、自由なぬり絵が体験できる常設ワークショップコーナーや、身近な「ゴードン的風景」をInstagramに投稿する企画など、体験・参加できる仕掛けが会場内外で展開されています。

キャプション:身近な“ゴードン的風景”を投稿するInstagramイベント「みつけてみよう!あなたのまちのGMC」

周囲を巻き込んで実現していく人物

彼の代表作は、「ビルディング・カット」。取り壊し寸前の建物を切断して見慣れた日常を新たな空間へと変容させる立体作品です。また、食堂「フード」の経営などの多岐にわたる活動もしていたそう。小さなアイディアを大きなものへと変化させ、周囲を巻き込んで実現にしていく力を持ったトルネードのような存在で、周囲からは「イタズラ好きの人」として知られていたそうです。

キャプション:ゴードン・マッタ=クラークPhoto: Cosmos Andrew Sarchiapone

ゴードンが危惧していたこと

ゴードン・マッタ=クラークは、芸術を通して日常の身近な問題を浮き彫りにし、解決策を指し示していたとも考えられます。世界経済が爆発的に成長した1970年代に生きていた彼は、都市計画・開発について疑問を持ち、NY都市の在り方そのものが、コミュニティを排除させる動きになっていると感じながら、制作をしていたのかもしれません。
2020年に開催される、オリンピック・パラリンピックを前に、東京では様々な社会問題に取り組もうとする動きがあります。この展覧会を通して豊かに生きるために今何ができるかを考えてみてはいかがでしょうか。

トップキャプション:会場風景より

photo / 新麻記子

『ゴードン・マッタ=クラーク展』

会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
会期:2018年6月19日(火)~2018年9月17日(月・祝)
開館時間:10:00~17:00(金・土曜は10:00~21:00)※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜(7/16、9/17は開館)、7/17(火)
観覧料:一般1,200円、大学生800円

http://www.momat.go.jp/am/exhibition/gmc/

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