知っていたらかなりの映画通。映画『カメラを止めるな!』がサブカル界で盛り上がっている理由
日本映画界の第一人者たちやサブカル好きの間で、話題になっているゾンビ映画『カメラを止めるな!』が6月23日(土)より公開に。ドラマシリーズ『ウォーキング・デッド』や映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』のようにゾンビ好きじゃなくても楽しめる作品です。映画通が注目する理由と作品の見どころをご紹介!
- 2018.6.15
- アート・カルチャー
日本映画業界が注目する、『カメラを止めるな!』とは?
『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督や映画評論家の町山智浩など映画監督や評論家、サブカルチャー好きな著名人が称賛する、映画『カメラを止めるな!』を知っていますか?ジャンルはホラー。さらに細分化するとゾンビ映画です。そう聞くと敬遠してしまう方も少なくないかもしれませんが、定石通りのゾンビ映画ではありません。なんと笑ってほろりとする物語で、ホラーが苦手な女性でも楽しめるコメディ作品でもあるのです。
話題になっている理由を紐解きます
ゾンビといえば、「人間を襲う」「噛みつかれた人は感染する」などをイメージするのでは?これは、モダン・ゾンビと呼ばれ、ゾンビ映画の第一人者ジョージ・A・ロメロが『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』で初めて登場させてから定着したゾンビ像です。ロメロはその後、消費社会の問題点をテーマに据えた『ゾンビ』を監督。社会問題を物語に取り入れ、B級映画の代表だったホラー映画の奥深さを知らしめました。ゾンビ映画は「ゾンビに襲われる=極限状態で人間がどう変化するか」ということを浮き彫りにし、傍若無人に振る舞う人間へ警鐘を鳴らしている物語でもあるのです。
そんなゾンビ映画ならではのエッセンスを巧みに盛り込み、自身の作風に沿った映像に仕上げたのが『カメラを止めるな!』です。生き残るために必死にゾンビに抵抗する姿を、現実社会のサバイバル感と重ねています。世知辛い世の中を生き残るために右往左往する人間の姿を「笑い」に変え、コメディ作品として仕上げました。今までに観たことがない画期的な作品だからこそ、映画関係者の間で話題になっているのです。
そんなゾンビ映画ならではのエッセンスを巧みに盛り込み、自身の作風に沿った映像に仕上げたのが『カメラを止めるな!』です。生き残るために必死にゾンビに抵抗する姿を、現実社会のサバイバル感と重ねています。世知辛い世の中を生き残るために右往左往する人間の姿を「笑い」に変え、コメディ作品として仕上げました。今までに観たことがない画期的な作品だからこそ、映画関係者の間で話題になっているのです。
監督のアイデアとセンスが光る、物語のあらすじを紹介
山奥の廃墟で、ゾンビ映画『ONE CUT OF THE DEAD』の撮影をしている自主映画の撮影隊。リアリティを求める監督はなかなかOKを出さず、撮影は進みません。撮影に煮詰まり、休憩していると、なにやら外が騒がしい模様。なんと本物のゾンビが現れ、撮影隊に襲い掛かっていたのです。実は撮影現場は、幽霊が出ると噂の曰く付きの場所。撮影クルーが恐怖に慄く姿に、「これこそ本物」と言い放ち、監督は喜々として撮影し続けます。ついにヒロイン役の逢花にゾンビが目を付け…。冒頭37分をワンカットで描くゾンビサバイバル映画と思いきや、実はその映画は番組の企画で、その映画を撮った人々が本作の本当の主人公。仕事への不満や家族の問題など、私たちと同じような悩みを抱えている人々に焦点を当てた物語なのです。
劇場長編映画は初めて。新星・上田慎一郎監督の才能とは?
作品を手掛けた上田慎一郎監督は滋賀県出身の34歳。「100年後に観ても面白い映画を作ること」を制作のテーマとして掲げ、エンターテインメントな作品を作り続けています。現在までに8本の映画を監督し、国内外の映画祭で20のグランプリを含む46冠を獲得。本作は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018で観客賞を、イタリアのウーディネ・ファーイースト映画祭ではシルバーマルベリーアワード(観客賞2位)を受賞。深夜0時からの上映にもかかわらず、劇場は観客で埋まり、上映後に5分間に及ぶスタンディングオベーションが起こったそう。さらに、南米最大級のファンタスティック映画祭であるブラジル・FANTASPOA映画祭では、インターナショナル部門で最優秀作品賞を受賞しました。
市橋浩治プロデューサーが語る上田監督の魅力とは?
本作は監督や俳優を養成するスクール「ENBUゼミナール」が主催するワークショップの一環で制作された作品です。そこで、上田監督に白羽の矢を立てた市橋プロデューサーに監督の魅力を聞いてみました。
「上田監督が手掛けた短編作品『テイク8』やオムニバス映画『4/猫』の1編『猫まんま』を観ていて、監督のことは知っていました。その時の印象はコメディ要素のあるドラマをしっかり作れる監督という印象でした。今回、一緒に作品を作って感じたのは、柔軟さとアイデアに溢れている監督だなと。冒頭のワンカットで撮ったシーンの撮影中に起きてしまったハプニングを後半のシナリオに反映していったことからそう感じました。また、脚本は当て書きです。俳優自身の気質を活かしているところもあり、人間味のあるキャラクターとして全員を見事に演出しています。このような点からも今後、上田監督は日本のコメディ、楽しいエンターテインメント映画の第一人者になりうると思います」と称賛を惜しみません。
アルフレッド・ヒッチコック監督が傑作『サイコ』を初めて関係者に披露したとき、映画の詳しい情報を伝えず上映したため、試写室はあまりの恐怖に悲鳴で包まれたそう。そんな感覚を味わってもらうためにも、この情報を一旦なかったものにして、映画館で観てほしい作品です。鑑賞後「面白かった!」と口にしながら、清々しい気分で劇場を後にすること請け合いです。
「上田監督が手掛けた短編作品『テイク8』やオムニバス映画『4/猫』の1編『猫まんま』を観ていて、監督のことは知っていました。その時の印象はコメディ要素のあるドラマをしっかり作れる監督という印象でした。今回、一緒に作品を作って感じたのは、柔軟さとアイデアに溢れている監督だなと。冒頭のワンカットで撮ったシーンの撮影中に起きてしまったハプニングを後半のシナリオに反映していったことからそう感じました。また、脚本は当て書きです。俳優自身の気質を活かしているところもあり、人間味のあるキャラクターとして全員を見事に演出しています。このような点からも今後、上田監督は日本のコメディ、楽しいエンターテインメント映画の第一人者になりうると思います」と称賛を惜しみません。
アルフレッド・ヒッチコック監督が傑作『サイコ』を初めて関係者に披露したとき、映画の詳しい情報を伝えず上映したため、試写室はあまりの恐怖に悲鳴で包まれたそう。そんな感覚を味わってもらうためにも、この情報を一旦なかったものにして、映画館で観てほしい作品です。鑑賞後「面白かった!」と口にしながら、清々しい気分で劇場を後にすること請け合いです。
photo / ©ENBUゼミナール
『カメラを止めるな!』
監督・脚本・編集:上田慎一郎
出演:濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰、細井学、市原洋、山﨑俊太郎、大沢真一郎、竹原芳子、浅森咲希奈、吉田美紀、合田純奈、秋山ゆずき(17/日本/96分)
製作・配給:ENBUゼミナール
6月23日(土)より、新宿k’s cinema、池袋シネマ・ロサにて公開
※掲載内容は記事公開時点のものです。最新情報は、各企業・店舗等へお問い合わせください。
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