体験することで世界が変わる『レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル』
石川県・金沢21世紀美術館に恒久設置された「スイミング・プール」で広く知られているアルゼンチン出身の現代アーティスト、レアンドロ・エルリッヒ。現在、六本木・森美術館では彼の四半世紀にわたる活動の全容を紹介する、過去最大規模の個展『レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル』が開催されています。
- 2017.12.2
- アート・カルチャー
過去最大規模となる個展が開幕
レアンドロ・エルリッヒは、アルゼンチン出身の国際的に活躍する現代美術作家です。日本では、金沢21世紀美術館に恒久設置されている「スイミング・プール」をはじめ、越後妻有アートトリエンナーレ2006で展示した「建物」シリーズなど、彼の作品は老若男女問わず親しまれています。
本展覧会では、1995年の初期作品から2017年の最新作品までを網羅的に紹介。エルリッヒの四半世紀に及ぶ作家活動の全容を紹介する、世界でも過去に類を見ない最大規模の個展となっています。44点にも及ぶ出展作品のうち、なんと8割が日本初公開!今までに見たことないエルリッヒ作品の新しい魅力に出会うことができます。
本展覧会では、1995年の初期作品から2017年の最新作品までを網羅的に紹介。エルリッヒの四半世紀に及ぶ作家活動の全容を紹介する、世界でも過去に類を見ない最大規模の個展となっています。44点にも及ぶ出展作品のうち、なんと8割が日本初公開!今までに見たことないエルリッヒ作品の新しい魅力に出会うことができます。
現代アートの“難しい”を覆す
「現代アートって難しそう…ちょっと苦手だな…」と感じている人にこそ、会場に足を運んでもらいたい本展覧会。建物、教室、地下鉄、試着室、ボート、エレベーターなど…日常にあるものをモチーフとして用いているため、とても親しみやすく、現代アートに馴染みがなくても、大人から子供まで気軽に楽しむことができます。不思議と驚きに満ち溢れ、好奇心を刺激する作品は、鑑賞する私たちが体験することで初めて完成するのです。
例えば、日本初公開である「反射する港」では、手漕ぎ式のボートが作品の主役。ウッドデッキで作られた廊下と水面に漂うボートの様子から、誰しもが展示室内に船着場が現れたと思うことでしょう。しかし、実際にそこには水はなく、水面に映る反射イメージは、上部のボートと同じ素材でできた立体物なのです。そうした視覚トリックの不思議に触れてみてください。
例えば、日本初公開である「反射する港」では、手漕ぎ式のボートが作品の主役。ウッドデッキで作られた廊下と水面に漂うボートの様子から、誰しもが展示室内に船着場が現れたと思うことでしょう。しかし、実際にそこには水はなく、水面に映る反射イメージは、上部のボートと同じ素材でできた立体物なのです。そうした視覚トリックの不思議に触れてみてください。
作品に隠された社会的メッセージ
老若男女問わず親しまれているエルリッヒの作品ですが、その背景には社会的なメッセージが込められています。
例えば本展覧会のための制作された「教室」は、日本が抱える少子化や過疎化を背景にしています。廃校となった学校の教室が舞台となっている本作品。ガラスで区切られている2つの部屋の一方に入ると、ガラスに自身の姿がうっすらと映り込み、まるで亡霊となった自分の姿がもう一方の廃墟と化した教室に存在しているように見えます。まるで日本の未来像を描いているかのよう。他作品にも隠されたメッセージがあるので、会場を巡りながらじっくり考えてみてください。
例えば本展覧会のための制作された「教室」は、日本が抱える少子化や過疎化を背景にしています。廃校となった学校の教室が舞台となっている本作品。ガラスで区切られている2つの部屋の一方に入ると、ガラスに自身の姿がうっすらと映り込み、まるで亡霊となった自分の姿がもう一方の廃墟と化した教室に存在しているように見えます。まるで日本の未来像を描いているかのよう。他作品にも隠されたメッセージがあるので、会場を巡りながらじっくり考えてみてください。
当たり前に警告を!“気づき” を与えてくれる作品群
エルリッヒの作品は “驚き” という体験を与えてくれます。例えば、先ほどご紹介した「反射する港」。エルリッヒは、ボートの下には水面があって、水面にボートが反射しているはずだ…という私たちの思い込みを、うまく裏切り、驚かせてくれるのです。
私たちは鑑賞している中で仕掛けを発見すると、目の前の現実が錯覚によるものだと分かり、その認識に疑いの念を抱きます。しかし、それは自身が普段当たり前に囚われていることへの気づきでもあり、当たり前として疑いもせず受け止めている現実へのアンチテーゼでもあるのです。作品と向き合いながら“現実”を再考してみると、鑑賞後の世界はどこか違っているかもしれません。
私たちは鑑賞している中で仕掛けを発見すると、目の前の現実が錯覚によるものだと分かり、その認識に疑いの念を抱きます。しかし、それは自身が普段当たり前に囚われていることへの気づきでもあり、当たり前として疑いもせず受け止めている現実へのアンチテーゼでもあるのです。作品と向き合いながら“現実”を再考してみると、鑑賞後の世界はどこか違っているかもしれません。
作品の体験から生まれる“現実”
本展覧会では、エルリッヒの作品の中でも人気を博している、大規模な体験型作品「建物」シリーズが登場します。この作品は、私たちが床に置かれた建物のファサード(壁面)に寝転がってポーズをとると、鏡の効果により重力に逆らったようなアクロバティックな体勢で、壁や窓枠にしがみついているような光景が生まれます。作品の一部になった自分自身の不思議な姿を、写真を撮って楽しんでみては?
また、会期中には展覧会関連のプログラムである、ギャラリートークやトークセッション、ワークショップやパフォーマンスが実施されます。様々な角度からエルリッヒの作品を見つめることで、一つだけではない現実を受け止められる機会になるはず。ぜひ会場に足を運んでみてください。
また、会期中には展覧会関連のプログラムである、ギャラリートークやトークセッション、ワークショップやパフォーマンスが実施されます。様々な角度からエルリッヒの作品を見つめることで、一つだけではない現実を受け止められる機会になるはず。ぜひ会場に足を運んでみてください。
photo / 新麻記子
レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル
会期:2017年11月18日(土)~2018年4月1日(日)
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
開館時間:10:00〜22:00/火 10:00〜17:00
*いずれも入館は開館時間の30分前まで
*会期中無休
http://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/LeandroErlich2017/
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