ゴッホの作品と生涯、最期の真相にも迫る。映画『ゴッホ~最期の手紙~』

11月3日(金・祝)よりアカデミー賞受賞スタッフが贈る、ゴッホの死の真相に迫る絵画サスペンス『ゴッホ 〜最期の手紙〜 』が全国公開されます。世界中の人々を魅了する名画を残したことでも知られている、巨匠フィンセント・ファン・ゴッホの名画が織りなす、全編が動く油絵で構成された珠玉の本作品をご紹介します。
 新 麻記子 読者ライター

ゴッホの“人生”を辿る、アルマンの“旅”

物語の主人公、青年アルマン・ルーランは、郵便配達人の父からゴッホの手紙を託されます。ゴッホが遺した手紙をきっかけに、アルルからパリ、そして彼が最期の日々を過ごしたオーヴェールに行き着きます。一般的には銃による自殺とされているゴッホの死ですが、そこには説明のつかない不可解な真実が隠されていました。

ゴッホが描いた肖像画のモデルとなる登場人物がゴッホを語り、彼の情熱、孤独、愛、そして驚くべき人生が浮かび上がってきます。37歳という若さで、彼はなぜ命を絶たなければいけなかったのか?彼は本当に自分の腹を銃で撃ったのか?そして、彼が最期に見たものとは?アートがもたらす快楽と、スリリングに進んでいく謎解きの興奮、そして次第に姿を見せる偉大な画家の魂は、見る者の心を激しく揺さぶります。アルマンとともに、ゴッホの描いた絵画の世界へと誘われ、作品に入り込んだような感覚を覚えることでしょう。

影を落としたゴッホの“人生”

燃えあがるような情熱を感じさせる個性的な筆致で、今も世界中の人々を魅了してやまない天才画家フィンセント・ファン・ゴッホ。彼ほど多くの伝説と謎に包まれた芸術家はいないのではないでしょうか。

ゴッホは幼いころから不幸な子どもでした。自分が生まれる前に死産でこの世を去った同じ名前の兄がいて、本来愛されるべきは兄で、自分は疎まれていると強く感じていたといいます。画商、牧師の道を志すも挫折。28歳にしていまだ無職の彼は、弟・テオの献身的な援助を受けて絵筆をとります。パリに出て芸術家仲間と交流し、彼らから学ぶと南仏へと向かったのです。その後、アルルでの画家のゴーギャンとの共同生活が破綻したことで精神を病み、自分の耳を切り落としたことで精神病院に収容されました。

好色家、狂人、変人、天才、怠け者、様々なレッテルを貼られたゴッホの人生は、今までは彼が書き遺した手紙から解明されて神格化されています。その人生は既に何本かの映画作品でも描かれてきました。しかし、私たちはゴッホの実像を本当に知っているのでしょうか。

125名の画家たちが手がける“動く絵画”

CGアニメーションでゴッホ作品と合成させるため、グリーンバックを背景にゴッホ絵画に似せて作られたセットを使って、俳優たちが演じる実写映画として撮影されました。その後、映像を特殊なシステムでキャンバスに投影し、ゴッホのタッチを再現しながら画家たちが油絵に起こします。各国から選出された画家たちは各俳優の特徴を残しつつも、絵画に登場する人物の風貌や雰囲気を上手く混ぜ合わせ、動く肖像画へと生まれ変わらせました。

本編の1秒は、12枚の油絵を撮影した高解像度写真によって構成されています。こうして豪華キャスト陣の名演とともに、約6千枚の油絵がゴッホの世界に新たな生命を吹き込んでいます。

ゴッホの展覧会もチェック

2017年10月24日(火)~2018年1月8日(月・祝)には、浮世絵をはじめとする日本美術に影響を受けたゴッホを多角的に捉えた展覧会「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」が東京都美術館で開催されます。
本編に出てくるゴッホが最晩年に交友を持ったオーヴェールの医師 ガシェの家には、ゴッホ作品の多くが残されていたと言います。ガシェ家に残されていた、日本初公開となる3冊の芳名録や、それにまつわる美術作品なども展示されます。

本作品は、“Loving Vincent”という原題が示すように、エンディングに向けフィンセント・ファン・ゴッホに対する優しい眼差しと愛情が感じられます。映画と絵画、両方からゴッホの実像に迫ってみてはいかがでしょうか。

photo / (c)Loving Vincent Sp. z o.o/ Loving Vincent ltd.

『ゴッホ~最期の手紙~』

11月3日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国順次ロードショー!
監督・脚本:ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン
出演:ダグラス・ブース、ロベルト・グラチーク、エレノア・トムリンソン、ジェローム・フリン、シアーシャ・ローナン、クリス・オダウド、ジョン・セッションズ、エイダン・ターナー、ヘレン・マックロリー

http://www.gogh-movie.jp

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